FA宣言

吉川 「俺もそろそろさぁ……」


藤村 「うん」


吉川 「FA宣言しようと思ってるんだ」


藤村 「え……」


吉川 「そんなに驚くなよ」


藤村 「いや、だって」


吉川 「そろそろ潮時かと思ってたんだよ」


藤村 「そうじゃなくて、どこにいくの?」


吉川 「どこって、オファーがあればどこでもいくよ」


藤村 「オ、オファーなんてあるの?」


吉川 「あるだろ。ほら、こうみえても俺って結構家庭的な一面があるし」


藤村 「いや、家庭的とかオファー対象にはなりにくんじゃないかな……」


吉川 「メジャーも視野に入れてる」


藤村 「メジャー!?」


吉川 「あぁ、この恵まれた体躯を活かして」


藤村 「いくらなんでも、メジャーは……」


吉川 「計るぜぇ~。恵まれた体躯のスリーサイズ計っちゃう」


藤村 「そのメジャーか。巻尺か」


吉川 「ミリ単位で計るね!」


藤村 「別に計ってもらってもかまわないけどさぁ」


吉川 「あぁ。夢は膨らむなぁ」


藤村 「そもそも、なにからFAするんだ」


吉川 「何って……ほら俺も色々としがらみ抱えてるからさ」


藤村 「しがらみからFA宣言て。ただの逃避じゃないか」


吉川 「まずは日本人からFAしたいね」


藤村 「無理だよ! FAとかそういうシステムじゃないじゃん」


吉川 「日本と言う国は俺には狭すぎる」


藤村 「でかいこと言いはじめた」


吉川 「狭くて寝返りがうてない」


藤村 「だいだらぼっちか。物理的に狭いのか」


吉川 「イタリアとかからオファー来ないかなぁ」


藤村 「絶対来ないと思うよ。イタリア側になんのメリットもない」


吉川 「食うぜぇ! パスタ」


藤村 「一消費者じゃん。視点が低い!」


吉川 「というかね、もう人間からFAする」


藤村 「なにを世迷い言を……」


吉川 「キリンさんになりたい」


藤村 「急に夢見がちだ」


吉川 「常々、高いところの葉っぱを食べたいと思ってた」


藤村 「そんなこと思ってたのか。可哀想な人だ」


吉川 「高いところの新芽食べ放題だぜ」


藤村 「まことに羨ましくない」


吉川 「ほら、スラっとしてるしさ20頭身くらい」


藤村 「しすぎだよ」


吉川 「キリンからオファーこないかなぁ」


藤村 「なにが、どういう状況になったらキリンからオファーが来るんだ」


吉川 「キリン側にとっても損な話じゃないと思うんだよね」


藤村 「なんでキリン側の事情をご存知なんだ」


吉川 「とりあえず人間はやめます」


藤村 「いやいや、FA宣言とかってそういうのじゃないよ」


吉川 「俺が人間FA一号になる」


藤村 「なれないよ! 人間とか、そういう属性はやめられないよ」


吉川 「やめられるって!」


藤村 「なに言ってんだ」


吉川 「ほら、この薬で。人間やめますか? ってやつ」


藤村 「ダメ! ゼッタイ!」




暗転

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