超能力探偵

超能力探偵 「犯人はお前だっ!」


吉川    「え……」


超能力探偵 「犯人は……ズキューン★お前だ!」


吉川    「いや、なんですか、いきなり」


超能力探偵 「俺は……ズキューン★超能力探偵だ」


吉川    「なんですか、ズキューンて」


超能力探偵 「効果音だ」


吉川    「こ、効果音。口で言うんだ」


超能力探偵 「犯人は、おま、おま、おま、お前だっ!」


吉川    「どもってるの?」


超能力探偵 「違う。カメラが、シュッシュッシュってカット切り替わってる」


吉川    「カメラないでしょ」


超能力探偵 「そんなことは問題じゃない」


吉川    「なんですか、だいたい犯人て」


超能力探偵 「俺は超能力探偵だ」


吉川    「なんですかそれ」


超能力探偵 「あらゆる難事件を超能力で解決する名探偵」


吉川    「それが……なにか?」


超能力探偵 「犯人はお前だ!」


吉川    「違います」


超能力探偵 「即否定! おっどろいた」


吉川    「いや、こっちが驚きますよ。なんですかあなた」


超能力探偵 「世間様は騙せても、この俺の超能力は欺けないぞ!」


吉川    「別にあざむいてませんて」


超能力探偵 「じゃぁ、その証拠に今からコインが消えるマジックをする」


吉川    「マジックじゃないですか!」


超能力探偵 「しまった! 今の嘘。コインが消える超能力」


吉川    「嘘って。あ~あ、もう全然説得力ない」


超能力探偵 「じゃぁ、コインが自然に消える」


吉川    「自然に消えたら超能力じゃないじゃん。自然がすごいんじゃん」


超能力探偵 「違う! 俺がすごいの! 俺が裏で色々やってるの!」


吉川    「裏で色々やるんだ。インチキじゃん」


超能力探偵 「んもう! そういうのじゃないの!」


吉川    「もう行っていいですか?」


超能力探偵 「ダメだよ! 犯人じゃん」


吉川    「違いますって」


超能力探偵 「ズキューン★ この俺の前では嘘は通用しない!」


吉川    「例の芸能人、不倫疑惑ですって」


超能力探偵 「まじでっ!?」


吉川    「いや、あの……」


超能力探偵 「怪しいなって思ってたんだよ!」


吉川    「嘘なんですけど」


超能力探偵 「まじで~っ!? なんだよ、一瞬信じたよ」


吉川    「通用してるじゃん。嘘」


超能力探偵 「……違う。今のは油断させようという作戦」


吉川    「もういいよ」


超能力探偵 「待て! 逃がすか犯人め」


吉川    「犯人じゃないって」


超能力探偵 「動けると思ってるのか?」


吉川    「動けますよ」


超能力探偵 「ハハハ、お前はすでに超能力によって捕まえられてる」


吉川    「ちょっ、抱きつかないで下さいよ。気持ち悪い」


超能力探偵 「どうだぁ」


吉川    「どうじゃない。邪魔」


超能力探偵 「子泣き爺の術」


吉川    「超能力じゃないじゃん。術って、忍法みたいになってる」


超能力探偵 「間違えた。子泣き超能力の術」


吉川    「なんかもう、ぐちゃぐちゃになってるじゃん」


超能力探偵 「うるさい!」


吉川    「逆切れか。もうたち悪いなぁ。どけって!」


超能力探偵 「イタッ! 痛い! ハートとかが主に傷ついた!」


吉川    「ハートかよ。知ったこっちゃない」


超能力探偵 「くそぅ! 逃がさないぞ!」


吉川    「だいたい俺が何の犯人なんだ」


超能力探偵 「俺のハートを傷つけた犯人だ!」


吉川    「今じゃん!」


超能力探偵 「ズキューン★未来予知!」


吉川    「じゃんけんぽいっ!」


超能力探偵 「負けたっ!」


吉川    「あっちむいてホイッ!」


超能力探偵 「わぁ。ひっかかった!」


吉川    「……」


超能力探偵 「いや。今のはね、予想してたの。ひっかかるように予知してたの!」


吉川    「……」


超能力探偵 「あれ? 犯人? どこ行ったの??」


吉川    「……」


超能力探偵 「フフ~ン! 逃げられるのだって予想してたもんねーだ! それで、あれだよ? この後、暗転するのもちゃーんとお見通し!」

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