ゆめ

藤村 「寝るなっ! 寝たら死ぬぞ!」


吉川 「うぅ……」


藤村 「おいっ! 寝るな!」


吉川 「パトラッシュ……僕、なんだか眠いんだ」


藤村 「しっかりしろ! 俺はパトラッシュじゃない」


吉川 「パトラッシング……」


藤村 「現在進行形でもない!」


吉川 「ドレッシング……」


藤村 「もはや原型がまるでないじゃないか! なんでもありか!」


吉川 「うぅ……俺のことはほっておいてくれ」


藤村 「バカヤロー! 放って置けるか」


吉川 「だって夕べとか寝てないんすもん」


藤村 「だから睡眠はしっかりととっておけといったのに」


吉川 「一人黒ヒゲ危機一髪やってたら盛り上がっちゃって」


藤村 「一人で!? どうやって盛り上がったんだ」


吉川 「いやぁ。もう樽の中はコリゴリ」


藤村 「自分が黒ひげ!?」


吉川 「超危機一髪だったよ」


藤村 「その状況で盛り上がってる姿が想像できない」


吉川 「結局、朝まで樽の中でまんじりともせず」


藤村 「だれも刺してくれないんだ。剣刺す役の人いないんだ」


吉川 「そういう部分は想像力で補った」


藤村 「一番大事じゃん。そこが想像力ならなんでも可能だ」


吉川 「うぅ……というわけで、俺もう寝ますわ」


藤村 「寝るなよ! なんで緊張感なく寝ちゃうの?」


吉川 「だってオネムなんだもん。目シバシバしちゃってる」


藤村 「そういう問題じゃないだろ! 寝たら死ぬぞ」


吉川 「えー。もういいよ」


藤村 「いいの!? 死んじゃうんだよ?」


吉川 「一機死ぬだけでしょ?」


藤村 「なんだ一機って、概念がわからない」


吉川 「さっき、多めに亀踏んどいたから平気」


藤村 「マリオか。亀踏んでもダメだよ! たぶん何も増えてないよ!」


吉川 「昨日はキノコ食べたし」


藤村 「関係ないよ!」


吉川 「心もち成長したような気がする。スーパーに」


藤村 「してない! 100%思い過ごしだ」


吉川 「気持ち的にね。大人になった」


藤村 「そういう成長か。精神面なんだ。キノコ食ったくらいで」


吉川 「だから、何があっても落ちついて対処できる。おやすみ」


藤村 「だからって寝るなよ。死んじゃうだろ!」


吉川 「なんでだよ!」


藤村 「え……」


吉川 「何で死んじゃうんだよ!」


藤村 「なんでって……」


吉川 「ここは雪山か!?」


藤村 「違います……」


吉川 「フレディでも来るのか!?」


藤村 「……来ません」


吉川 「じゃ、いいじゃんか! 寝る」


藤村 「あぁ! 寝ないで! 先に寝ないで! 寂しくて……死んじゃう」



暗転

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