解禁

吉川 「ついに解禁だね」


藤村 「そうだねぇ」


吉川 「そろそろ、俺もしようかと思ってたんだ」


藤村 「え? なにを?」


吉川 「解禁」


藤村 「いや、解禁て何か封印してたの?」


吉川 「色々と規制を掛けていた」


藤村 「そうなんだ」


吉川 「自分を律する為にね」


藤村 「そんなの、勝手に解禁すればいい」


吉川 「解禁するぞぉ。自分の心の中の悪魔とか」


藤村 「ダメだよ! そんなもん解禁するなよ」


吉川 「いい機会だしさ」


藤村 「どういう機会なんだ」


吉川 「いままでこっそり育てた甲斐があったよ」


藤村 「育ててたんだ! 悪魔を」


吉川 「なんど取り込まれそうになったことか」


藤村 「ものすごいリスクを背負った育成だな」


吉川 「ついに神秘のベールを脱ぐ時が!」


藤村 「脱がなくていい。一生着続けてくれ」


吉川 「ダメだ。もう誰も止めることは出来ない」


藤村 「とめてよ。なに解禁しちゃってんのさ」


吉川 「グギギギギギ……」


藤村 「うわぁ!」


吉川 「スルメが歯に挟まった」


藤村 「歯軋りか! なんてはた迷惑なタイミング」


吉川 「取れねぇ」


藤村 「緊張感のないやつめ。スルメなんか食うなよ」


吉川 「スルメは悪魔の大好物」


藤村 「そんな枯れた悪魔、聞いたことない」


吉川 「あと人肉」


藤村 「ひぃ!」


吉川 「質のいい筋肉を見ると……うっとりしちゃう」


藤村 「食べないんだ。うっとり止まりなんだ」


吉川 「目で味わう」


藤村 「上手いこと言っちゃった」


吉川 「フフフ……このボジョレーは、まるで血のようだな」


藤村 「やっぱり、血をすするんだ!」


吉川 「正直、ワイン苦手で……」


藤村 「飲めないんだ! とんだ腰抜けた悪魔だ」


吉川 「一口飲んだら、気分悪くなってきた」


藤村 「だ、大丈夫?」


吉川 「オエ……なんか出そう。悪魔が生まれそう」


藤村 「それはゲロだ。限りなく悪魔的だが、ただのゲロだ」


吉川 「うおぉ! 俺の中の悪魔が目覚める!」


藤村 「それは、単純に酔っ払って理性がゆるくなっただけだ」


吉川 「グヒヒヒ……おっぱいもみたい」


藤村 「最悪だ。酔った挙句エロくなった」


吉川 「もませないと、世界を滅する!」


藤村 「規模が大きいんだか小さいんだか見当がつかない」


吉川 「おっぱい! おっぱい!」


藤村 「全然悪魔じゃない。ただのセクハラおやじだ」


吉川 「俺は悪魔だ!」


藤村 「違う、ただの酔っ払いだろ」


吉川 「悪魔だ!」


藤村 「あくまでも言い張るつもりか……」



暗転

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