ピノキオ

ピノキオ 「あ~だるい」


吉川   「え、あの……」


ピノキオ 「なんか肩こったなぁ」


吉川   「ピノキオ……だよね?」


ピノキオ 「そうだよ」


吉川   「肩こるんだ」


ピノキオ 「パソコンの前に長時間いるとねー」


吉川   「パソコンの前に……。あの、本当にピノキオ?」


ピノキオ 「そうだよ」


吉川   「えぇ~!」


ピノキオ 「なんだよ! 嘘じゃないよ。のびてないだろ?」


吉川   「あぁ、鼻……」


ピノキオ 「鼻の下」


吉川   「鼻の下なの!?」


ピノキオ 「そうだよ? 嘘つくと鼻の下が伸びる」


吉川   「可愛らしを微塵も感じない」


ピノキオ 「エッチなこと考えてものびる」


吉川   「ただの助平なオッサンじゃないか」


ピノキオ 「いつまでも子供のままじゃいられないさ」


吉川   「もっともらしいことを。木の人形のくせに」


ピノキオ 「フフフ、いつまでも木だと思ったら大間違いだ」


吉川   「木じゃないの!?」


ピノキオ 「大腿部はチタンでできている」


吉川   「えー! すごいんだけど……なんか、無駄っぽい」


ピノキオ 「腕はカーボン」


吉川   「す、すごいね」


ピノキオ 「そして脳みそは、ゼラチンだぁ!」


吉川   「だぁって……急にお手軽な素材になった」


ピノキオ 「コラーゲンたっぷりだぜ」


吉川   「そんなもんがたっぷりあっても嬉しくない」


ピノキオ 「三桁の計算までなら……いや、やっぱ二桁の計算は……大丈夫」


吉川   「言い直したよね。自信ないんだ」


ピノキオ 「一桁なら平気! 八割方当たる」


吉川   「一桁で八割かよ。どうしようもないゼラチンだな」


ピノキオ 「右脳派なんだよ!」


吉川   「とんでもない言い訳するデク人形だな」


ピノキオ 「人形って言うなっ! ロボっていえ」


吉川   「えー! ロボなの?」


ピノキオ 「ロ、ロボだよ……」


吉川   「ちょっと鼻の下伸びてる」


ピノキオ 「これは違う! ボって言うと鼻の下伸びるんだよ!」


吉川   「へぇ……」


ピノキオ 「あれだよ。マシーンだよ。殺人マシーン」


吉川   「殺人しなくていいじゃん。物騒な」


ピノキオ 「ミサイルとかでるぜ!」


吉川   「まじで!?」


ピノキオ 「う、うん……」


吉川   「鼻の下伸びてる」


ピノキオ 「見るなよぉ!」


吉川   「ものすごいわかりやすいなぁ」


ピノキオ 「ミサイルは嘘だけど……乳搾りとか上手いぜ!」


吉川   「そんな自慢されても対処に困る」


ピノキオ 「搾乳マシーン」


吉川   「応用の効かなそうなマシーンだ」


ピノキオ 「いいんだよ! 俺は自分の生きたいように生きるんだ!」


吉川   「生きたいことが搾乳なのか……」


ピノキオ 「俺はな、操り人形じゃねーんだよ!」


吉川   「鼻の下、伸びてる……」


ピノキオ 「見るなよぉ!」



暗転

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る