毛深い
藤村 「あの人、なんて人だっけ?」
吉川 「どの人?」
藤村 「ほら、あの……。毛深い」
吉川 「あぁ。バーバモジャ」
藤村 「そうだ! バーバモジャだ」
吉川 「なんで?」
藤村 「え?」
吉川 「なんで突然、バーバモジャ?」
藤村 「いやぁ、なんとなく気になって。だって彼だけなんか規格外じゃない?」
吉川 「そう?」
藤村 「だって他のは色の違いはあれどみんなつるりんとしてるじゃん」
吉川 「そんなことないよ。色々なバーバファミリーがいるし」
藤村 「そうなの?」
吉川 「そうだよ。あんまり知られてないけど」
藤村 「他にどんなのがいるの?」
吉川 「バーバ泡」
藤村 「泡!?」
吉川 「見た目はそうだなぁ……、泡状」
藤村 「泡状なの? それでなんか化けたりするの?」
吉川 「いや、化けはしないけど毒攻撃をする」
藤村 「攻撃! 好戦的なバーバファミリーもいるんだ」
吉川 「あとは……、バーバメタルとか」
藤村 「メタル! 材質だ!」
吉川 「倒すと経験値が高い」
藤村 「それってスライムじゃん!」
吉川 「バカだなー。スライムの方がモデルにしてるんだよ」
藤村 「そうなの!? バーバファミリーは懐が広いなぁ」
吉川 「あとはバーババー」
藤村 「なにそれ!? ひょっとして棒状?」
吉川 「いや、バーバママのお母さん」
藤村 「バーバ婆か。なんか番場蛮みたいだな」
吉川 「あとはバーバネバとか」
藤村 「ネバ!」
吉川 「すごいネバついてる」
藤村 「それが特徴なんだ。特技は?」
吉川 「特技は特にないけど性格はねちっこいよ」
藤村 「うわぁ、嫌なやつじゃん」
吉川 「あとバーバ水」
藤村 「水なの!?」
吉川 「うん。だいたい溜まってるか流れてるか」
藤村 「意志薄弱なやつだなぁ」
吉川 「バーバ空気ってのも」
藤村 「見えないじゃん!」
吉川 「まぁ長年暮らしてるからね。お互い空気みたいな存在で」
藤村 「そういう意味なの? 雰囲気の問題?」
吉川 「あとはバーバ愛」
藤村 「なんか概念になってる!」
吉川 「ステキだよね」
藤村 「ステキだけど……、存在してるの?」
吉川 「もちろん。疑うの?」
藤村 「いや、そういうわけじゃないけど。しかしよく知ってるねー?」
吉川 「まぁ、ファミリーだからね」
藤村 「え……」
吉川 「バーバ吉川」
藤村 「えー!? そうなの? だって人じゃん!」
吉川 「モジャモジャもいるんだから人だっている」
藤村 「そういうものなの?」
吉川 「むしろバーバモジャなんて俺なしじゃ成立しないよ」
藤村 「じゃ、化けたりできるの?」
吉川 「いや、できない」
藤村 「なら特技は?」
吉川 「髪の毛切るのが上手い」
藤村 「あぁ……」
暗転
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