雪男

吉川 「エステって言ってもねぇ」


雪男 「いや、自分マジなんすよ」


吉川 「マジだからどうとか言う問題じゃないでしょ」


雪男 「ぶっちゃけ自分、山よりも海派なんすよねー」


吉川 「えらいぶっちゃけちゃったな」


雪男 「ね、あんまイメージないっしょ? チューブとか聞いてるんすよ」


吉川 「いつの時代の海なんだ」


雪男 「でもあれでしょ。海で開放的になるとどうしても気になるっしょ?」


吉川 「開放的になられても困る気がするけど」


雪男 「あ、ひょっとして男のくせにとか思ってます? 古いなー。考え方が封建的」


吉川 「いや、男のくせに以前の問題があると思うんだけど」


雪男 「男だってね。無駄毛の処理とか気にしたほうがいいっすよ」


吉川 「そもそもどこからが無駄毛なんだ。全部毛だらけじゃないか」


雪男 「全部って失敬っすね。手のひら! 肉球になってるでしょうが!」


吉川 「手のひら以外全部生えてるってことじゃないか」


雪男 「今回はデリケートゾーンをなんとかしたいんすよ」


吉川 「そこだけ脱毛しちゃってもダメだろ。余計卑猥だろ」


雪男 「なに想像してんすか! エロい! ちゃんと水着きますよ!」


吉川 「別に何も想像してない。 雪男なんだからさぁ、雪山にいりゃいいじゃん」


雪男 「わかってないなー。そんなんじゃギャル食えないじゃないすか」


吉川 「うわぁ、生々しいな」


雪男 「雪山なんてね、ワンゲル部しか来ないっすよ! ワンギャル部なんて来ないんすよ!」


吉川 「そもそもワンギャル部はなんの部なんだ」


雪男 「海は水着の娘とかいるじゃないすかー。ギャル食えるじゃないすかー」


吉川 「あの、非常に聞きにくいんだけど、ギャルを食うってのは……その……文字通り?」


雪男 「なに考えてるんすか! 言葉のあやですよ! 実際にはプラトニックですよ!」


吉川 「あぁ、そっちのね! ビックリした。いや、ひょっとして本当になんというか……食べちゃうっていうか」


雪男 「まぁ、相手がその気なら最期までもアリっちゃアリですね」


吉川 「最期! ……ってあの……アレだよね?」


雪男 「なんすか! エロいっすねー」


吉川 「あ、そっちだよね。よかったぁ」


雪男 「骨まで愛するっすよ!」


吉川 「骨まで! え、あの……どっちなのかなぁ……」


雪男 「どっちっって言われればSですけど」


吉川 「いや、別に性的嗜好は聞いてない。あの……食べるってのは……」


雪男 「あ!? やだなぁ……いくら雪男だからって女の子は食べないっすよ!」


吉川 「ははは、そうだよね」


雪男 「なんだ。そんなこと考えてたんすか。無理っすよ! 女の子なんて」


吉川 「そ、そうだよねぇ」


雪男 「食うのはもっぱら遭難した男っすよ」


吉川 「え……」


雪男 「美味そうっすね」


吉川 「え、俺? 俺まずいよ! 風呂はいってないし! あと病気! 性病!」


雪男 「ちょっと、味見していいっすか? 指先だけ……」


吉川 「ギャー! たーすーけーてー!」


雪男 「なーんて、嘘っすよ」


吉川 「へ……」


雪男 「人間なんて食べるわけないじゃないすか。この飽食の時代に」


吉川 「そうだよねぇ、冗談?」


雪男 「冗談っすよ」


吉川 「はは。なんとも人を食った冗談だな……」



暗転

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