続・カレー大好きマン

編集 「いやぁ~吉川先生! 前回の読みきり最高でしたわ」


吉川 「えー。あんなのが最高なのか」


編集 「なんでしたっけ? カレー大好きマン?」


吉川 「はぁ」


編集 「でね。読者の反応もなかなかなんで、これを連載にしようという話があがりまして」


吉川 「あんなのが連載かよ。あれは読みきりで終わりだから膨らませようがないよ」


編集 「そこを膨らませるのが吉川先生の吉川先生たるゆえんじゃないですか」


吉川 「そんなゆえんなくても、初めから吉川だけど」


編集 「もうね。実は発表しちゃいましたー!」


吉川 「するなよ! 俺の許可取れよ」


編集 「嬉しい裏切り」


吉川 「全然嬉しくない。だいたいアレはただのカレー好きな人の話じゃないか」


編集 「そうなんですよ。でね、私ちょっと考えてみたんですよ」


吉川 「へぇ、なにを?」


編集 「カレー大嫌いマンと対決ってのはどうでしょう?」


吉川 「本当にちょっとしか考えてないなぁ」


編集 「どう? 盛り上がると思うんですよねー」


吉川 「そんなの誰でも思いつく」


編集 「そうですか? これ思いついたときにはキタナって思いましたよ」


吉川 「……で、カレー大嫌いマンの特徴は?」


編集 「なんと! カレーが……」


吉川 「大嫌いなんでしょ?」


編集 「なぜそれをっ!? まさか先生の正体がカレー大嫌いマン?」


吉川 「なんだ正体って。俺はただの漫画家だ。誰でもわかる」


編集 「まぁ、私が与えられるのはこんなヒントくらいですね」


吉川 「何のヒントにもならない」


編集 「じゃ、こういうのはどうでしょう?」


吉川 「なに?」


編集 「カレー大嫌いマンと勝負の方法は……うどん対決」


吉川 「料理でかよ。しかもうどんか」


編集 「最終的にはカレー大好きマンが……」


吉川 「カレーうどんで勝利」


編集 「なぜそれをっ!?」


吉川 「ものすごく先の見通せる展開だな」


編集 「でも、すぐに勝っちゃうと面白くないから、ピンチが訪れる」


吉川 「うどんでどうピンチになるんだ」


編集 「コシが強くてなかなか噛み切れない時に仲間が助けてくれる」


吉川 「情けないピンチだなぁ。じゃ、福神漬けとらっきょう」


編集 「それいただき! さすが先生。天才!」


吉川 「おちょくられてる気がする」


編集 「仲間の福神漬けとラッキョウとクリリンがカレー大好きマンのピンチを救って……」


吉川 「ちょっと待て。変なの一人入ってた」


編集 「え、福神漬けと、ラッキョウと、クリリン……」


吉川 「そこだ! なんだクリリンて」


編集 「最強の地球人ですよ」


吉川 「思いっきりパクリじゃないか。ビックリしたわ。ストレートすぎて」


編集 「クリリンだめですか。じゃ、天津飯」


吉川 「ちょっと食べ物で歩み寄ったけど、カレーと天津飯は食べ合わせないだろ」


編集 「じゃ、ナッパでいいですわ」


吉川 「パクるなよ。福神漬けとラッキョウで十分じゃないか」


編集 「えぇ~。まぁいいですけどぉ~」


吉川 「なんでホッペをぷくーってふくらましてんだ」


編集 「で、カレー大好きマンのピンチを救って勝利。これで4年はもちますね」


吉川 「もたないよ! どれだけ引っ張るんだ」


編集 「だってもうアイデア無いですもん」


吉川 「じゃ、こういうのは? カレー大嫌いマンがカレー嫌いになったのには理由があって……」


編集 「辛いから!」


吉川 「普通じゃんか! 違う。両親をカレーによって殺されたという過去が判明」


編集 「おぉ! 影を背負ってキャラが立ってきた」


吉川 「しかし、真の犯人はカレーではなかった。黒幕ライス伯爵の差しがねだったのだ!」


編集 「ライス伯爵! 恐るべし」


吉川 「それを知ったカレー大嫌いマンは、カレー大好きマンと力を合わせライス伯爵を倒すことにする」


編集 「最高じゃないですかッ! 泣けましたよ。話聞いてて泣いちゃった」


吉川 「ライス伯爵の野望は世界中を美白の世界に変えること」


編集 「それじゃカレーは天敵だ!」


吉川 「強大なパワーをもつライス伯爵。かなわぬかと思ったその時!」


編集 「クリリンが生き返ったー!」


吉川 「生き返らないよ! というか初めから出てこない」


編集 「生き返らないのか……」


吉川 「しょんぼりするなよ」


編集 「……で、その時?」


吉川 「謎の女性、ミセスヌカの助力により、究極のスパイスを手に入れる」


編集 「ミセスヌカ!」


吉川 「実はその正体はライス伯爵夫人ことマダム玄米」


編集 「やられたー! あの女が一枚噛んでたとは!」


吉川 「あの女って……今言ったばっかりなのに」


編集 「究極のスパイスによって勝つわけですね?」


吉川 「そう。そして和解」


編集 「その時、また新たな刺客が!」


吉川 「えー。まだ続かせるのかよ。もう敵なんか思いつかない」


編集 「あ! すごい斬新なアイデア考えました!」


吉川 「いや、別に聞きたくない……」


編集 「カレー大好きマンに新たな敵。その正体は……関西からの刺客。そいつの名は……」


吉川 「カレー大好きヤン」


編集 「なぜそれをっ!?」



暗転

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