強盗

強盗 「金を出せ」


吉川 「うわぁ! 何!?」


強盗 「強盗……か?」


吉川 「か? って強盗ですよね」


強盗 「おうともよ!」


吉川 「でもホラ、うち金ないですよ」


強盗 「いいからあるだけ出せ!」


吉川 「あの、強盗はいいんですけど。その……」


強盗 「なんだよっ!」


吉川 「その手……」


強盗 「ピストルだよ!」


吉川 「いや、ピストルって。田舎チョキじゃないですか」


強盗 「田舎チョキじゃない! ピストルだ!」


吉川 「いや、それで脅されてもなぁ」


強盗 「霊ガン!」


吉川 「え、えー! ちょっとそれは古いなぁ。完璧に忘れてた」


強盗 「金ださないと撃つぞ!」


吉川 「撃つって言われても、何もでないんじゃ……」


強盗 「バカッ! 出るよ! なんか色々と出るよ!」


吉川 「色々だされても困る」


強盗 「オーラとかでるぜ」


吉川 「そんなの勝手に出しててくださいよ」


強盗 「えーと。じゃ、そうだな。鳩とか出る」


吉川 「マジックじゃん。ビックリはするけどさ」


強盗 「もうここまで出かかってる!」


吉川 「まじで!? なに? 鳩が?」


強盗 「ク……クルッ……クー……」


吉川 「口で言っちゃってるじゃん。しかもちょっと照れちゃってるし」


強盗 「いいから金だせよ」


吉川 「え~! でもなぁ」


強盗 「なんだよ! 煮え切らないなぁ」


吉川 「そんなのに煮えきりたくないよ」


強盗 「わかった! じゃ、金ださないとぶつよ」


吉川 「えー! ぶつって」


強盗 「リキマンマンでぶつよ」


吉川 「そんなの強盗じゃなくてただのカツアゲじゃ」


強盗 「じゃ、つねるよ!」


吉川 「つね……」


強盗 「ギッチーッ! ってつねる。5cmは伸ばすね」


吉川 「痛そうだけども! いやだけども!」


強盗 「だったら金だせよ」


吉川 「いやですよ。警察呼びますよ?」


強盗 「やめて! それはやめて!」


吉川 「やめてって。なんて無防備な強盗なんだ」


強盗 「本当は俺だって強盗なんてしたくないよ」


吉川 「そうなんだ。じゃなんで?」


強盗 「一度犯罪に手を染めてしまうとな。どうしても……」


吉川 「そういうもんですかねぇ」


強盗 「戻りたくてもな、そう簡単には」


吉川 「なんなら、うちのバスルームで洗っていいですよ?」


強盗 「バカッ! 手を染めるってそういう意味じゃないっ!」


吉川 「いや、洗うのは手じゃなくて足です」



暗転

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