天の邪鬼

天邪鬼「ちげーよ! 人間だって!」


吉川 「いや、妖怪だよね?」


天邪鬼「どこからどう見ても人間」


吉川 「角生えてるし」


天邪鬼「これは無造作ヘアだよ」


吉川 「へぇ、髪型なんだ」


天邪鬼「髪型じゃねーよ! たんこぶだよ」


吉川 「自分で言ったくせに」


天邪鬼「自分で言ってねーよ! トーマスが言ったんだよ」


吉川 「誰だよ。トーマスって」


天邪鬼「知らねーよ」


吉川 「完璧に妖怪だよね。肌赤いし」


天邪鬼「色白だよ。UVケアもバッチリだよ」


吉川 「へぇ」


天邪鬼「納得するなよ」


吉川 「もういい。疲れたし、興味ない」


天邪鬼「じゃ、俺の能力を教えてやるよ」


吉川 「知りたくない。どっか行ってくれ」


天邪鬼「絶対いかない。ここが俺のホームグランド。俺ね、読心術できるんよ」


吉川 「じゃ、俺の考えてること当ててみてよ」


天邪鬼「やだ。絶対当てない」


吉川 「あそ」


天邪鬼「やっぱ当てる。えーっ!? そんなこと考えてるの!?」


吉川 「なにを読んだんだ」


天邪鬼「教えない」


吉川 「くそぅっ!」


天邪鬼「トイレは行かない」


吉川 「別にそういう意味じゃない」


天邪鬼「知ってた。知っててわざと言った」


吉川 「もういいや、興味ない」


天邪鬼「こいつ、むかつくなー。って思ってた」


吉川 「すごい!」


天邪鬼「すごくない。庶民的」


吉川 「庶民的ってのはいまいちわからないけど、本当にわかるんだ?」


天邪鬼「わからない。嘘」


吉川 「なんとなくコツがつかめてきた」


天邪鬼「つかめてない。二度とつかめてない」


吉川 「文法がおかしい。お前の名前なんか知りたくない。どっかいってくれ」


天邪鬼「俺は妖怪天邪鬼。読心術を用い、お前の意思の反対の行動を取ることでストレスを溜め、胃に穴をあける妖怪だ」


吉川 「やな奴だなぁ」


天邪鬼「違う。いい人。あ、肩にゴミがついてますよ」


吉川 「やな奴ぅ」


天邪鬼「あれ? 喉渇いた? 買ってこようか? 豚汁とか」


吉川 「豚汁なんだ。詰めが甘いなぁ」


天邪鬼「完璧。詰めすぎてる。ギッチギチに詰めてる。乗車率300%未満」


吉川 「まったく、おまえと言う奴はわからない奴だなぁ」


天邪鬼「嘘つけ。全部お見通し。山羊座のAB型までお見通し」


吉川 「まさか、俺の嫌いな物なんて持ってこれるわけないよなぁ」


天邪鬼「すぐに持ってくる。全然余裕」


吉川 「いやいや、それは無理でしょ。何が嫌いかなんてわかるわけない」


天邪鬼「待ってろ、今、持ってくる」


吉川 「本当に天邪鬼だなぁ」


天邪鬼「はい、もってきたぞ。饅頭」



暗転

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