手術

藤村 「手術、成功だったみたいだな」


吉川 「なんとかな」


藤村 「具合はどうだ?」


吉川 「まずまず」


藤村 「難しい手術だったんだろ?」


吉川 「それは移植される側だ。ドナーの俺は簡単なもんだ」


藤村 「そうか。ドナドナか」


吉川 「術後で疲れてるから無視するぞ」


藤村 「ドナドナド~ナ~ド~ナ~♪」


吉川 「用が無いなら帰ってくれ」


藤村 「格子戸のせて~♪」


吉川 「術後で疲れてるから無視するぞ」


藤村 「手術の副作用で冷たくなったね」


吉川 「元からだ」


藤村 「子牛が売られるのに涙一つ流さないなんて」


吉川 「そっちか」


藤村 「移植される人ってのは、どんな人なの?」


吉川 「残念ながら、相手の情報は教えてもらえないんだ」


藤村 「なんだよなぁ? 好きな色くらい教えてくれてもいいのに」


吉川 「それだけ知ってどうするつもりだ」


藤村 「風水的なアドバイスとかできるじゃん」


吉川 「なんで手術と一緒に風水豆情報もらわないといけないんだ」


藤村 「南に点滴を置くとすごい吸い込むとか」


吉川 「色関係ないじゃん。なんだ、吸い込むって」


藤村 「黒い点滴は死ぬ」


吉川 「イメージじゃん。そりゃ死ぬよ。そんなの注入したら」


藤村 「お見舞いに鉢植えは、根付くといって縁起が悪い」


吉川 「風水じゃないじゃん。縁起担ぎじゃん」


藤村 「香典は、割り切れないように2万はタブー」


吉川 「死後の心配か。しかも、それはご祝儀のタブーだ」


藤村 「結婚には、三つの袋というものがありまして」


吉川 「何がいいたいんだ。疲れるから帰ってくれ」


藤村 「ゴメンゴメン。思わず盛り上がってオンステージを開いてしまった」


吉川 「人の病室でオンステージを開くな」


藤村 「しかし、お前もよくドナーなんかになったな」


吉川 「まぁ、困ってる人がいるからな」


藤村 「ちょっと感動したよ」


吉川 「それほどでもない」


藤村 「だって、乳首移植手術なんてなかなかできないよ」


吉川 「なぁに。一個ついてれば、なんとかなるからな。ただ」


藤村 「どうした?」


吉川 「胸にぽっかりと穴があいた気分だ」



暗転

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