博士
吉川 「博士、なにをこそこそしてるんですか」
博士 「ん~? 別に~」
吉川 「別にじゃないでしょ。そんな隅っこでこそこそと、またつまみ食いしてるんでしょ?」
博士 「つまみ食いなんかしてないよ~」
吉川 「嘘おっしゃい。この間も、そうやって隅っこでクリープ舐めてたじゃないですか」
博士 「クリープは美味いもん。主食だもん」
吉川 「そんなもん主食にしてる民族はいない」
博士 「わしは独自の文化を形成したの!」
吉川 「ものすごい勝手な解釈を! ともかく、その隠してるものを見せなさい」
博士 「やじゃー」
吉川 「やじゃない。ほら、出しなさいって!」
博士 「いやー! 暴力反対! ED反対!」
吉川 「EDじゃなくてDVだ。全然違う。いいから見せなえっ?」
博士 「えへへ」
吉川 「ななんじゃこりゃ!?」
博士 「キリン」
吉川 「キリンはわかるよ。なんで、こんな小さな」
博士 「手乗りキリンだよ」
吉川 「手乗りって、うわぁ! 本当に生きてる」
博士 「生きてるよ。16cmだけど。首だけで5cm」
吉川 「どうしたんですか、これは!?」
博士 「う~ん、なんか遺伝子とかいじくってたらできちゃった」
吉川 「できちゃったじゃないよ、バカ! 倫理観とかないのか!」
博士 「君はそういう瑣末な概念にとらわれてるから、飛びぬけた珍発明ができなんだよ」
吉川 「飛びぬけた珍発明なんてこっちからお断りだ」
博士 「かわいいのぉ~。キリコ」
吉川 「手乗りキリンのキリコか。相変わらずネーミングセンスが皆無」
博士 「こんなのも作ってみた。手乗りオオアリクイ」
吉川 「オオじゃないじゃん。コアリクイじゃん」
博士 「たまにアリに負けるんだよねー」
吉川 「生態系くずしまくってるな。というか、そんな簡単に作っちゃうなよ」
博士 「だって、できちゃうんだもん」
吉川 「あのね、ダメなんだよ。こういう生き物ってのはね、もっと大切に」
博士 「生き物じゃないのも作った。これ、車の概念を一新! 手乗りカー」
吉川 「ばか。一新しちゃダメだろ。概念こそが全てだ。乗れないじゃんか!」
博士 「あ! 乗れない!」
吉川 「今、発見したのか」
博士 「せっかく、画期的なエコエネルギーを発明したのに」
吉川 「バックさせるとエネルギーがチャージされるんでしょ?」
博士 「なぜそれをっ!」
吉川 「それね、後ろのバンパーのところに10円玉差すとウイリーするよ」
博士 「ほんとだ! え? なに? 預言者?」
吉川 「うん。そうそう。預言者、預言者」
博士 「なんか、面倒くさそうに返答するなぁ」
吉川 「もういいよ。とにかく、軽はずみに遺伝子とか操作するんじゃない!」
博士 「そんなこと言われても」
吉川 「他にも何か作ってるのか!」
博士 「そんな怒らないでよあと、一人だけ」
吉川 「一人!? ダメだよ! 人間はダメだ! なに考えてるんだ」
博士 「でもこれ、バカ受けだぜー」
吉川 「なに作ったんだ」
博士 「手乗り相撲取り。略して手の力士」
吉川 「力士」
博士 「トントン相撲が、トントンしなくてもできる!」
吉川 「そんなことのために、大馬鹿者め」
博士 「確かに、この手の力士に関してはちょっと考えるものがあった」
吉川 「だろ?」
博士 「予想以上に太っちゃって」
吉川 「そういう問題じゃない!」
博士 「もう、すごいアンコ型。手に乗せられないの」
吉川 「だから人間はっ!」
博士 「うん、手に余る存在だった」
暗転
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