タイムマシーン

博士 「ついにやっちゃったよ」


吉川 「やっちゃいましたか」


博士 「やっちゃったね」


吉川 「いつかはやると思ってました」


博士 「どうしよう?」


吉川 「大人しく自首した方がいいですよ」


博士 「え? なんで?」


吉川 「なんでって、やっちゃったんでしょ? 法に触れることを」


博士 「そんなことしてないよ! 法に触れたのなんか、ここ二週間はない!」


吉川 「二週間前に触れてたのか」


博士 「いや、ギリギリ」


吉川 「ギリギリじゃダメだろ」


博士 「ギリギリアウト」


吉川 「余計ダメじゃん。アウトじゃん」


博士 「まぁ、それはともかく。とんでもない発明をしてしまった」


吉川 「博士の発明は常にとんでもない」


博士 「今回ばっかりはすごいことになった」


吉川 「いったいなにを発明したんですか?」


博士 「ジャジャーン、ジャジャジャーン!」


吉川 「……」


博士 「ジャンジャカジャーン、シャバダデュビッデュブデュバッ♪」


吉川 「早く言えよ」


博士 「興奮のあまり効果音まで発明してしまった」


吉川 「それも発明か」


博士 「実はタイムマシンを発明した」


吉川 「へぇ」


博士 「しかも超小型」


吉川 「どうせ、また冗談みたいな機能がついてて役に立たないんでしょ?」


博士 「バカ! 超役立つ。お役立ち情報満載」


吉川 「そんなもん満載しなくてもいい」


博士 「見たい? 実物見たい?」


吉川 「まぁ」


博士 「実はね、ウププもうつけてんのー! これー!」


吉川 「へぇ、腕時計?」


博士 「びびったでしょ? 苦労したよ。ここまで小型化するのに」


吉川 「確かに小さいですね」


博士 「最初作った時は80平米あったからね。マシンが」


吉川 「えらい小型化されちゃったなぁ。技術でどうにかなるもんなのか?」


博士 「しかも、デザインにもこだわってみた。シャキーン!」


吉川 「C-SHOCK! パクりじゃないすか」


博士 「クリストファーのイニシャルをとってC-SHOCKにしてみた」


吉川 「誰ですか? クリストファーって」


博士 「いや、わしは知らないけど知り合い?」


吉川 「知ってるわけないじゃないですか! 何で俺が」


博士 「まぁ、どこかの誰かさんだ」


吉川 「どこかの誰かさんのイニシャルを、わざわざとる理由がわからない」


博士 「でもかっこいいでしょ?」


吉川 「同意しかねますね」


博士 「なんで!?」


吉川 「だって思いっきりC-SHOCKって書いてあるし、腕時計にしてはわりかしゴツイし」


博士 「腕時計じゃねーよ! タイムマシン!」


吉川 「でもこれなら普通のタイムマシンの方がなぁ」


博士 「それ以上言うと泣くよ? 隅っこで」


吉川 「いや、別にけなしてるわけじゃないですけどね」


博士 「なんだよ」


吉川 「つけるのはちょっと恥ずかしいかな」


博士 「恥ずかしい?」


吉川 「恥ずかC-SHOCK」


博士 「何それ!?」


吉川 「いや、ごめんなさい」


博士 「ひょっとして」


吉川 「忘れてください」


博士 「ダジャレ? ダジャレなの!?」


吉川 「違います。魔が差しました」


博士 「おもしれー」


吉川 「どういうセンスしてるんだ」


博士 「ねね、そのギャグ使っていい?」


吉川 「いや、別にいいっすよ」


博士 「よぉし。使おう。わしが考えたことにしよう」


吉川 「えー、それはなんかずるい」


博士 「だって著作権放棄してるじゃん」


吉川 「著作権て。いや、あんなダジャレでも盗られると思うと」


博士 「今更なんだよ! わしが考えたの! 恥ずかC-SHOCK!」


吉川 「あ! 振りまでつけてる!」


博士 「もう完全に自分のものにした」


吉川 「ちょっ、ズルいっすよ!」


博士 「往生際の悪いやつだな」


吉川 「だって、そう言われてみると面白い気がしてきたし」


博士 「うるさい! 恥ずかシシシシC-SHOCK!」


吉川 「なんかスクラッチまでしてる! かっこいい! それは俺のダジャレだ!」


博士 「そこまで言い張るなら仕方ない。これがなんだかわかるか?」


吉川 「C-SHOCKでしょ?」


博士 「タイムマシンだ。こいつで過去に行って、わしが考えたことにしてやる!」


吉川 「きたねー!」


博士 「さらばだっ! ハッハッハッハ」


吉川 「消えた! しかしまぁ、冷静に考えればやっぱり面白くないわ」



暗転

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