猿の惑星

猿  「……」


吉川 「……」


猿  「ウキ?」


吉川 「あぁ、ウキだ」


猿  「ウキッ!」


吉川 「おっ! 釣れたっ!」


猿  「ウキウキー!」


吉川 「あぁ、ウキウキするな」


猿  「ワクワクも」


吉川 「あぁウ、キウキワクワクするな」


猿  「釣りって面白いなー」


吉川 「あぁ、面白いな」


猿  「なぁ、ここの生活慣れた?」


吉川 「まぁ、環境自体は地球と一緒だからなぁ」


猿  「でもあれだろ? 地球の猿は喋らないんだろ?」


吉川 「少なくとも、人間と同じ言葉は喋らないな」


猿  「俺らにしてみれば、人間の癖に猿と同じ言葉を喋るお前の方がビックリだ」


吉川 「最初はビックリしたよ。猿が喋ってるんだもん」


猿  「俺もだよ。人間が喋ってるんだもん」


吉川 「いや、もっとビックリしたのは喋ってる内容でさ」


猿  「あれはお前が暴力をふるおうとするから」


吉川 「だからって、いくらなんでも」


猿  「猿に何をなさる!」


吉川 「ダジャレだもんなぁ」


猿  「思わずでたね。ユーモアが」


吉川 「ユーモアかなぁ? 猿のギャグは奥深いなぁ」


猿  「それよりもお前これからどうするの?」


吉川 「どうするったって地球には帰れそうにないし」


猿  「永住しちゃえば? 奴隷にしないから」


吉川 「まぁ、いいっちゃいいんだけどさ一つ問題が」


猿  「何々? できることなら協力するけど?」


吉川 「俺、毛深いの嫌いなんだよ」


猿  「あちゃー。それを言うなよ」


吉川 「ごめん。傷ついた?」


猿  「俺は、ほら、平気だけどさ。メスゴリラとかには言わない方がいいよ」


吉川 「そうだね。撲殺されるもんな」


猿  「ここに住むにせよ、どこかに行くにせよ。俺は干渉しないよ」


吉川 「さる者は追わず。か」


猿  「早速でたね。猿ユーモア」


吉川 「そんなつもりじゃ」


猿  「ブッ」


吉川 「?」


猿  「……」


吉川 「?」


猿  「ごめん、屁こいた」


吉川 「マジかよ!」


猿  「思わず木から落ちた」


吉川 「その使い方であってるわけ?」


猿  「ばれないように、スカそうとしたんだけど」


吉川 「っていうか、クッセ! なんだこれ?」


猿  「そんなに臭いとかいうなよ。へこむだろ?」


吉川 「お前、こりゃないよ! 臭いよ! 半径5km以内の犬のテンションが軒並み下がるくら臭いよ」


猿  「言いすぎだよ! このくらいの匂いは常識。ここをどこだと思ってるんだよ!?」


吉川 「猿の惑星だろ!」


猿  「だから、猿のは」


吉川 「クセェのか……」



暗転



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