大臣 「王様、一大事ですぞ!」


王様 「どうした大臣?」


大臣 「国家が未曾有の財政難に見舞われておりますぞ!」


王様 「えー、そんなの知らないよ」


大臣 「知らないじゃないですぞ。大ピンチですぞ!」


王様 「そんなのさ、税金とか上げればいいじゃん100%とか」


大臣 「そんな適当な! クーデターが起りますぞ!」


王様 「どうでもいいけど、お前の、その~~ぞ! って喋り方、鼻につくなぁ」


大臣 「そんなこと言われても」


王様 「今度言ったら死刑にしていい?」


大臣 「そんな無茶な! いくらなんでもそれは飲めませんにょ」


王様 「なんだ、にょ。って。余計ダメだ。ぞ。の方がまだよかった」


大臣 「王様、少しは国政に興味を持ってください」


王様 「知らないよ。そういうのは大臣とか、国民が頑張るもんじゃん。王様なんて、言わばシンボルみたいなもんだろ?」


大臣 「くっ、意外と核心を突いたことを」


王様 「余はもっと大変な政務があるんじゃ。美女にフルーツあ~んて♪ されたり」


大臣 「そんなの政務じゃないですよ」


王様 「試食だよ! わが国で取れたフルーツがどれほどのものか、王自ら試食」


大臣 「残念ですが、フルーツは全て輸入物です」


王様 「まじで!? フルーツ作ろうよ。ザクロとか」


大臣 「なんで、りによってザクロなんですか」


王様 「例えばだよ。なんでもいいよ。芋とかで」


大臣 「全然フルーツじゃなくなってる! その前にわが国のやせこけた土地では農業は無理です」


王様 「えー! なんだよそれ。じゃ、穴掘ろうぜ。穴ほりゃなんとかなるよ」


大臣 「なんですか、その漠然とした提案は」


王様 「ほら、油田とか温泉とか、遺跡とかでそうじゃん? 埋蔵金とか」


大臣 「そう言うのはちゃんと調べてから掘りましょうよ。闇雲に掘っても」


王様 「芋とか出るかもしれないじゃん」


大臣 「芋大好きだな。芋の虜ですか」


王様 「お前は、いちいち余の意見を否定しやがって。せっかく考えてあげてるのに」


大臣 「だって掘るとかそんな」


王様 「これ以上、余の機嫌を損ねると国外追放とかするぞ」


大臣 「いや、そんな」


王様 「余が」


大臣 「亡命する気か! 卑怯な」


王様 「だってこんな農業もできない。石油も出ない。象もいないような国、やだよ」


大臣 「象の存在がそんなに大切とは」


王様 「象のいない国なんて、象のいない動物園みたいなもんだ」


大臣 「いや、国家と動物園はだいぶ違いと思います」


王様 「こんなチンケな国の王だって知れたら、親に笑われちゃう」


大臣 「先代の国王じゃないですか」


王様 「国家の収入源が観光だぜ?」


大臣 「そういう国家は意外と多いのですよ」


王様 「余の生活費だって、なんか裸の男と女がヒコヒコ動いていやらしいモーションを繰り返すエロキーホルダーで賄ってるんだろ?」


大臣 「いや、エロキーホルダーは一部ですよ」


王様 「もう、こんな国の王様、やめてやる!」


大臣 「そんな! 早まっては」


王様 「だいたいさぁ、前から思ってたんだよ」


大臣 「なんですか?」


王様 「王様ゲームって、こういうのじゃないだろ?」



暗転



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