GO TO

吉川 「そろそろ行く?」


藤村 「あぁ、もうそんな時間か」


吉川 「5分前行動を心がけよう」


藤村 「まったく、お前は生真面目だなぁ」


吉川 「こういう性格なんだ。仕方ないだろ」


藤村 「なんか緊張しておなか痛くなってきた」


吉川 「トイレ行って来いよ」


藤村 「トイレとも違う感じ」


吉川 「どうしようか?」


藤村 「いや、大丈夫」


吉川 「こういうのはだな、120%完璧じゃなきゃダメなんだ」


藤村 「ゴメン」


吉川 「そんなに緊張しなくても平気だよ」


藤村 「だってさぁ初めてだもん。強盗なんて」


吉川 「大丈夫。あれだけ練習したんだし」


藤村 「セリフとかトチッたらどうしよう」


吉川 「もう一回、練習する?」


藤村 「う~ん、練習してもなぁ」


吉川 「練習で流した汗の数だけ、本番で冷や汗が流れないんだよ」


藤村 「後半の語呂が異常に悪い格言だな」


吉川 「俺も言ってて思った」


藤村 「あぁ、緊張する!」


吉川 「最終確認するか」


藤村 「うん」


吉川 「覆面は?」


藤村 「ちゃんとクリーニングした」


吉川 「パンストは?」


藤村 「持ってる」


吉川 「予備は?」


藤村 「履いてる」


吉川 「銃は?」


藤村 「ここに」


吉川 「弾は?」


藤村 「5発」


吉川 「安全装置は?」


藤村 「まだ、かかってる」


吉川 「お守りは?」


藤村 「学業成就」


吉川 「え?」


藤村 「だめ?」


吉川 「だって学業じゃないだろ」


藤村 「いや、安産か悩んだんだけど、安産も違うかなぁて」


吉川 「違うだろ。この場合は」


藤村 「なに?」


吉川 「家内安全?」


藤村 「強盗って家内?」


吉川 「違うな。交通安全だ。ほら、逃げるときとか」


藤村 「あぁそうか! 参ったな」


吉川 「どうしようか?」


藤村 「どうって、お守りくらい」


吉川 「くらいってことはないだろ。こういうのは、最後の最後で詰めを誤ったりするもんだ」


藤村 「そうなの?」


吉川 「これでもかってくらい完璧じゃなきゃ話にならない」


藤村 「どうしよう」


吉川 「神社にするか」


藤村 「そうだね、まず神社にしよう」


吉川 「で、お守り全種類コンプリートしよう」


藤村 「完璧すぎる」


吉川 「そうと決めたら、また計画の練り直しだ」


藤村 「どのくらいかかる?」


吉川 「そうだなぁ一ヶ月と言うところか」


藤村 「また練習のやり直しだな」


吉川 「どうせなら、完璧にしなくちゃな」


藤村 「よぉし、完璧にするぞ」


吉川 「あぁ。完璧にしよう」


藤村 「オレたちほど強盗にむいてる奴らもいないだろうな」


吉川 「なんてったって完璧だからな」


藤村 「20年間強盗の計画を練ってるのにまだ一度も捕まってないからな」


吉川 「完璧すぎるな!」



暗転



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