裏切り

藤村 「たいがいにしろよ?」


吉川 「へへ、ごめん」


藤村 「ごめんじゃないよ! 何度目だよ」


吉川 「えっと5? 6?」


藤村 「もっとだろ」


吉川 「そ、そうだっけ?」


藤村 「お前の裏切りには、ほとほと呆れさせられるよ」


吉川 「ほら、裏切りは女のアクセサリーってルパン三世も言ってることだし」


藤村 「言ってることだし、なんだ?」


吉川 「ことだし……。埋蔵金でも掘りにいくか」


藤村 「行かないよっ! なんでだ。そもそもお前は男じゃないか」


吉川 「裏切りは男の汗臭い」


藤村 「いや、ダメだよ。韻を踏んでも」


吉川 「ダメかぁ」


藤村 「なんでもうちょっと誠実に生きられないんだ?」


吉川 「生きてるよ」


藤村 「誠実とまでは言わない。せめて普通にしろ」


吉川 「普通だよ」


藤村 「じゃ、なんで裏切るんだよ。すぐに」


吉川 「ん~、なんかね。面白いかなぁと」


藤村 「裏切られた方は面白くない」


吉川 「もっとさ、なんていうか広い目で見ようよ」


藤村 「何でお前がアドバイスしてるんだ! あん? 人にモノ言える立場か?」


吉川 「ゴメンね」


藤村 「お前のゴメンは聞き飽きた」


吉川 「反省してるよ。本当に」


藤村 「前回もおなじこと言ってた」


吉川 「前回って?」


藤村 「ほら、ドッヂの俺が最後の内野で」


吉川 「あぁ。あれは笑ったなー!」


藤村 「笑えないよ。死んだじゃん!」


吉川 「突然ボールもらった敵も面食らってたし」


藤村 「俺の方が面食らった」


吉川 「あの空気が凍る瞬間がたまらないよなー」


藤村 「本当にたまらない」


吉川 「生きてるっていう充実感がね」


藤村 「ないよ! お前の充実感のせいで死んだじゃんか!」


吉川 「そんなむきならなくても」


藤村 「まぁ、そうだな。でも本当に今回限りにしてくれ」


吉川 「わかった。もうしないよ」


藤村 「しょうがない。信じてやるよ」


吉川 「うん。でね、今度のヤツは確実に儲かる話なんだけどさ」



暗転



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