未来人

未来人「クー!」


吉川 「……」


未来人「いやいや、失敬。この時代にはまだこの挨拶は一般的ではないらしいですね」


吉川 「なんですか?」


未来人「こういうものです」


吉川 「はぁ、未来人?」


未来人「ちなみにその名刺は、未来の最先端技術がつぎ込まれた再生紙です」


吉川 「いや普通の再生紙でしょ」


未来人「主に忘れたい過去とかがリサイクルされてます」


吉川 「そういうのは捨てておいてあげましょうよ」


未来人「ともかく、あなたから見たら未来人です。よろぴく」


吉川 「にわかには信じられない」


未来人「そうでは証拠を見せましょう」


吉川 「どんな?」


未来人「スモールライト!」


吉川 「げげーっ! それは」


未来人「小型ライトです」


吉川 「普通だ! 普通のペンライトだ!」


未来人「かなりスモールにできてる」


吉川 「全然未来の技術を感じない」


未来人「馬鹿言うな! なんとこれは太陽電池で動く」


吉川 「へー」


未来人「だから暗いところでは使えない」


吉川 「持ちネタ?」


未来人「う、うん」


吉川 「へぇ」


未来人「いい国作ろう鎌倉幕府!」


吉川 「なんだ突然」


未来人「未来人だけあって過去の出来事に詳しい」


吉川 「そんなの俺だって知ってる。鎌倉時代から見たら俺も未来人だ」


未来人「臭うおっさん、タマちゃん出現」


吉川 「なんだそれは」


未来人「2003年の語呂合わせ」


吉川 「2003年の主だたるトピックはタマちゃんなのか。覚えてないよ、そんなの」


未来人「ちなみに2025年にはオットセイがやってくる」


吉川 「どうでもいい」


未来人「さて私が未来人だということを理解していただきましたようで」


吉川 「まったく理解してない。うそつけ」


未来人「とんだペンネームだ!」


吉川 「なんだいきなり」


未来人「未来で大ブレイクのギャグです」


吉川 「使いどころと意味がわからない」


未来人「時がたてばいずれわかりますよ」


吉川 「あんまりわかりたくないなぁ」


未来人「モノマネします。ポヨン大統領の真似『カマキリはやめてくれたまえ!』」


吉川 「誰だそれは」


未来人「我々の時代の現職大統領です」


吉川 「知らん」


未来人「まぁ、そのー」


吉川 「田中角栄のマネじゃないか! それは逆に古すぎて元ネタをよく知らない」


未来人「歩み寄って見ました」


吉川 「歩む方向性も違う。だいたい未来人がなんの用だ」


未来人「そうそう、あなたは未来において輝かしい業績を残します」


吉川 「え? 俺が?」


未来人「そうです。まさに10000年に一人、でるかでないかの人物」


吉川 「知らなかったそうだったのか」


未来人「未来であなたの事を知らない人はいませんよ」


吉川 「そんなに! 俺何するの?」


未来人「あなたは作家になります。そして世界を揺るがす作品を書き上げます」


吉川 「なんてこった! 俺にそんな才能が」


未来人「でも悲しいかな評価されるのは死後なのです」


吉川 「そうかぁでも、それが聞けただけで嬉しい」


未来人「というわけで、生きているうちにサインをいただきにきました」


吉川 「そんな用でわざわざ来たのか!」


未来人「わざわざ来ました。サインください」


吉川 「まだサインなんてないよ!」


未来人「今、作ってください!」


吉川 「えぇ! ちなみに、どんな作品を書き上げるのでしょうか?」


未来人「現代の人間が未来人と遭遇すると言う一大スペクタクルロマンです」


吉川 「そ、それって」


未来人「サインください」


吉川 「吉川でいいですか?」


未来人「いや、作品を書くときの、ムーチョン田河でお願いします」


吉川 「とんだペンネームだ」



暗転




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