ターザン

ターザン「ア~アア~!」


吉川  「……」


ターザン「ア~アア~~!」


吉川  「……」


ターザン「ア~アア~~~~ッ!」


吉川  「……」


ターザン「っておい! 無視かよ!」


吉川  「え? 私ですか?」


ターザン「当たり前じゃんか! 全体的にお前しかいないし、さっきから3回も、絶叫しながらいったりきたりしてアピールしてたのに!」


吉川  「はぁ、なんですか?」


ターザン「なんだじゃないよ! 猛獣だよ! 猛獣が追いかけてきたぞぉ!」


吉川  「はぁ猛獣ですか」


ターザン「そうそう、それがもう! すごい猛獣。例えるなら犬とライオンを足してライオンを引いたような感じ!」


吉川  「それ、犬じゃないですか」


ターザン「バカッ! 猛獣だよ! プードルとチワワを足して二で割ったような雑種!」


吉川  「だから雑種の犬じゃないですか」


ターザン「しまったー! 自分でオチいっちゃったぁ!」


吉川  「なんなんですか」


ターザン「俺か? 俺は、ジャングルの王者ターザンだ!」


吉川  「……」


ターザン「ノーリアクション! ピクリともしないほどのノーリアクション! なんでぇ!?」


吉川  「はぁ」


ターザン「もっといろいろ聞くことあるでしょ! なんでこんなところにいるんですか? とか、服着てるんですかとか」


吉川  「なんでこんなところにいるんですか?」


ターザン「まぁ言うなれば、都会はコンクリートジャングルだからな! 上手いッ!」


吉川  「……」


ターザン「無視ーッ! 今のわからなかった? 難しすぎた? インテリジェンス要求しすぎた?」


吉川  「いや。コンクリートジャングルですか。はい」


ターザン「リアクション薄っ! なんだ、お前は都会の暗部か!」


吉川  「でもターザンなのに服着てますよね?」


ターザン「ナイス! ナイス振り! そうそう、服着てるんだけどね、見てみて、パンツは豹柄」


吉川  「……」


ターザン「見てないー! 何で見ないの! 何で俺のパンチラショットを見ないの?」


吉川  「何でって見たくないですよ」


ターザン「そこは見とけよ! 人として見とけよ! 興味津々しとけよ!」


吉川  「はぁ」


ターザン「ちなみに、この豹柄パンツはドンキホーテで買いました」


吉川  「……」


ターザン「なぜかと言うと、いつでも開いてる激安ジャングルだから! 上手い! 今日一!」


吉川  「……」


ターザン「シーンか! なんだお前、一人シーンか! 俺に対する抗議行動か?」


吉川  「なんで私にからんでくるんですか」


ターザン「なんでってターザンたるもの、森の動物達と常にコミュニケしてないといけないからな」


吉川  「……」


ターザン「あれ? 怒った? プンスカ?」


吉川  「あ、すみません。聞いてませんでした」


ターザン「ズコー! ターザンズコー! ターザンも木から落ちる! 全治6秒! 一、二、はい、完治!」


吉川  「……」


ターザン「無視かー! 俺の脅威の治癒能力を無視か! なにメール打っちゃってるの?」


吉川  「……」


ターザン「ことごとく無視かぁ! なんだお前、顔文字か! 顔文字打ってもじもじしちゃってるのか! 上手い! いぶし銀!」


吉川  「フフフ~ン♪」


ターザン「鼻歌! 俺を無視して、あまつさえ鼻歌! おぉ! 森が泣いておる! ターザン様のお怒りじゃ!」


吉川  「フ~ンフ~ン♪」


ターザン「まぁ、よいよい。いくぞチータ! 森を駆け抜けろ! あ、チータかと思ったら人だった! 猿顔だったから、ウッカリ間違えちゃった。テヘ」


吉川  「……」


ターザン「怒った? 怒った? 目くじら立てた?」


吉川  「あ、もしもし?」


ターザン「聞いてない! 俺の振りはアレか! 着信に負けるのか! 電波がそんなに大事か! 電波大事にか!」


吉川  「うん、じゃ今からいくわ」


ターザン「いくのか! ガンガンいこうぜ! か! 電波大事にでガンガンいくのか! よぉし、じゃ、俺は命令させろだ! チータ! 俺とともに森を駆け抜けろ!」


吉川  「は~い、じゃまた~」


ターザン「よし、行くぞ! チータ」


吉川  「……」


ターザン「無視か! そして、本当に行っちゃうのか! と言うか行っちゃった。はぁ。……あ、すみません、そこの人。王者ゲームやりません?」


藤村  「王者ゲーム?」


ターザン「この割り箸を引いて。はい、王者だ~れだ! あ、あなたがジャングルの王者です」


藤村  「あ~ああ~!」



暗転




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