海賊

海賊  「キャプテン! 島です! 島が見えます!」


キャップ「縞々か! ゼブラか!」


海賊  「ゼブラではありません。陸の島です!」


キャップ「な~んだ、ゼブラじゃないのか」


海賊  「海にゼブラはいません!」


キャップ「絶対だな! お前、絶対だなー!」


海賊  「た、多分いません」


キャップ「もしいたらどうするよー!」


海賊  「いや、どうするって」


キャップ「お前あれな、本当にあった怖い話の刑な!」


海賊  「えー。なんか刑って言うわりには緩めな」


キャップ「ばっか! 超こえーよ! 俺なんか二度泣いたよ。感動で」


海賊  「感動で!? すごい深みのある怖い話だなぁむしろ聞きたい」


キャップ「まじこえーよ! 今思い出しても二の腕がプルプルしちゃう!」


海賊  「二の腕が。やっぱり海難事故とかの話ですか?」


キャップ「いや地蔵でてくんぜ! 地蔵! こえー」


海賊  「地蔵!? 海なのに!?」


キャップ「あとトンネル! 恐怖トンネル!」


海賊  「あ、全然海の話と関係ないんだ。海賊なのに」


キャップ「あとおばあちゃんも出てくる。すげーシワシワの」


海賊  「シワが怖いのか。おじいさんは?」


キャップ「おじいさんは正直者。村一番」


海賊  「昔話じゃないですか。本当にあった話じゃないでしょ」


キャップ「ばか! 本当にあったんだよ! 海賊達の間じゃ常識だぞ」


海賊  「そんな常識まったく知らなかった」


キャップ「やべー! 怖くなってきちゃった! どうしよう」


海賊  「お落ち着いてください」


キャップ「こえー。怖舵いっぱーい!」


海賊  「そんな舵ないですよ! どこに行こうとしてるんですか」


キャップ「怖いよぉ! もうやだ! 家に帰る!」


海賊  「しっかりしてください。怖いものナシの海賊じゃないですか!」


キャップ「はっ! そうだった。ガハハー! 俺様は海賊!」


海賊  「やっと持ち直した」


キャップ「ギャー! ドクロがこんなところに!」


海賊  「自分で持ってきたんじゃないですか! 何で急に!」


キャップ「そうだったマイドクロだった」


海賊  「しっかりしてください!」


キャップ「ギャー! 肩が重い! なにか取り付いてるー! 死ぬーー!」


海賊  「キャプテン! 肩にオウムがとまってるだけです!」


キャップ「そうだった。こいつはしゃべるオウムエディーさんだった」


海賊  「ずっと前からとまってるじゃないですか」


キャップ「ギャー! 手が手がなんか、ハンガーのかける部分っぽくなってる!」


海賊  「元からでしょ! ワニと戦った時に食べられたんじゃないですか」


キャップ「そうだった。元からだった。ガッハッハ! ワニ恐るるに足らず!」


海賊  「ワニの霊は?」


キャップ「ワニの霊こわいー! 死ぬー! 祟りで死ぬー!」


海賊  「饅頭は?」


キャップ「饅頭怖いー! 口の中の水分が取られてパサパサになるぅ!」


海賊  「そんな理由で怖いんだ」


キャップ「ばか者! 船の上での水は貴重品だ!」


海賊  「あ、いつものキャプテンに戻った」


キャップ「海の男は何事も恐れない!」


海賊  「さっきのは、なんだったんだ」


キャップ「ちょっとした、コワコワパフォーマンスだ」


海賊  「パフォーマンスか。ところでキャプテンあの島に上陸しますか?」


キャップ「縞々? ゼブラ? もしくは手ブラ?」


海賊  「だから海にゼブラはいないって言ってるでしょ! 手ブラもない!」


キャップ「絶対だな! もしいたら本当にあったおばあちゃんの思い出の刑な!」


海賊  「なんですか、そのいい話っぽいタイトルは」


キャップ「泣くぞぉ! 恐怖で」


海賊  「あ、怖いおばあちゃんなんだ」


キャップ「ううん、超優しい。いつも見守っていてくれる」


海賊  「えー! 恐怖なさそぉ~」


キャップ「そんなおばあちゃん、初めてのインターネットの巻」


海賊  「え、もう何の話か全然わからなくなってきた」


キャップ「戸惑うぜー! おばあちゃん、超戸惑う!」


海賊  「はぁわかりました。その話はまた次の機会にでも」


キャップ「ギャー! おばあちゃんこえー!」


海賊  「いったい何があったんだ! インターネットで何が!」


キャップ「うぅ、しくしく。おばあちゃん」


海賊  「キャプテンあの島は?」


キャップ「縞々? ゼブラ!? フロントホックブラ?」


海賊  「もう、なんでもありか! そんなのいねーよ!」


キャップ「絶対だな!」


海賊  「絶対です!」


キャップ「じゃ、いたら本当にあった地蔵秘話な!」


海賊  「秘話なんだ」


キャップ「おっと、いいタイミングでフィッシュオン!」


海賊  「あ、何釣れました?」


キャップ「イシダイ。ゼブラ模様の」


海賊  「いやいやいや、これゼブラじゃないですよ! 言わないでしょ、イシダイをゼブラ模様って!」


キャップ「うん、昔々あるところに」


海賊  「わぁー! しかも本当にあった話っぽくねぇー!」


暗転




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る