罰ゲーム

吉川 「ちょうどトランプもあることだし、ゲームをしよう」


藤村 「なにするの?」


吉川 「こんなこともあろうと、新しいゲームを考案した」


藤村 「どんなことがあると思ってたんだ」


吉川 「とりあえず、はじめよう」


藤村 「とりあえずやられてもルールが分からない」


吉川 「教えながらやるよ。負けたら死んだほうがマシと思える屈辱の罰ゲームね」


藤村 「やだよ! なんだ、その無茶苦茶な条件は! こっちはルールも知らないのに」


吉川 「それもそうだな。じゃ、オマケして死に至る罰ゲーム」


藤村 「そうじゃない! 根本的になにもかわってない! 罰ゲームが不公平なんだ」


吉川 「じゃ、公平にちょっとエッチな罰ゲームにしようぜ」


藤村 「なんだそれ! なんでエロい感じの目つきになってるんだ。なにを期待してるんだ」


吉川 「そんなこと俺の口から言わせる気か?」


藤村 「なんかもう本格的に気持ち悪いなぁ」


吉川 「むしろ気持ちいい、みたいな」


藤村 「全然みたいじゃない。馬鹿か」


吉川 「どんな罰ゲームにしよう」


藤村 「罰ゲームが嫌なんだって!」


吉川 「じゃなんだ? 恥辱ゲーム?」


藤村 「言い方の問題じゃないか。違う。ただゲームを楽しもうよ」


吉川 「リスクの伴わないゲームほど退屈なものはない」


藤村 「お前、全然リスク背負ってないじゃないか! 自分の考えたゲームで!」


吉川 「じゃ、わかった。俺が負けたら死ぬ」


藤村 「ほら! その自信が汚い! 絶対勝つ気じゃんか」


吉川 「お前が」


藤村 「俺が死ぬのか! なんでだぁ! 俺が負けたらどうなるんだ?」


吉川 「お前が死ぬ」


藤村 「成立してない!」


吉川 「じゃ、安田が死ぬ」


藤村 「誰だ! どこの安田だ!」


吉川 「大統領が死ぬ」


藤村 「一大事じゃないか!」


吉川 「俺もそのうち行くから」


藤村 「なに寂しいこと言っちゃってるんだ」


吉川 「二泊する」


藤村 「小旅行か!」


吉川 「本場の味を楽しみに」


藤村 「グルメツアーじゃん! どこに行くつもりだ」


吉川 「群馬」


藤村 「話がまるでかみ合ってない。勝手に群馬に行け!」


吉川 「じゃ、さっそく群馬を賭けてゲームしようぜ」


藤村 「勝手に群馬を賭けるな」


吉川 「じゃ、まず適当にカードを配ります」


藤村 「うわぁ本当に適当だ。俺の方が倍くらい多い」


吉川 「で、適当に捨てます」


藤村 「適当にと言われても何枚残せばいいんだ」


吉川 「それも適当で」


藤村 「適当すぎだ」


吉川 「そんで、適当に俺が勝ちます」


藤村 「待て待て待て」


吉川 「わーい」


藤村 「わーいじゃない。ゲームじゃない。お前はなんだ? 頭のネジが飛んじゃってるのか?」


吉川 「じゃ、まず俺から群馬ね」


藤村 「発言の意味が理解できない」


吉川 「ヒヒーン!」


藤村 「完全に何かを間違えてる」


吉川 「ヘイ、パスッ!」


藤村 「パスされても困る」


吉川 「早く! 群馬、群馬!」


藤村 「ヒヒヒーン!」


吉川 「ハッハッハ、馬鹿みたい!」


藤村 「クッ。死んだほうがマシと思える屈辱」



暗転




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