クローン


クローン「よぉ! 俺」


吉川  「わぁ! 俺だ!」


クローン「そうだ。俺だよ」


吉川  「そっくりさんだ!」


クローン「そっくりさんじゃない。俺は、クローンだ」


吉川  「え……。クロマティー?」


クローン「ズコー! クロしかあってないよ!」


吉川  「ズコーって……。俺ってそんなリアクション取る人間だったんだ」


クローン「自分の振り見て我が振り治せ」


吉川  「まさか、ズコーなんてなぁ」


クローン「こういう時こそ、人間の深層心理に潜むリアクションがでるもんだ」


吉川  「がっかりだ」


クローン「ともかく、俺はクローンだ」


吉川  「ロバート?」


クローン「それはデ・ニーロだ! 『ー』しかあってない! 『ー』しか!」


吉川  「よくわかったなぁ。さすが俺」


クローン「なにせ、クローンだからな」


吉川  「俺の考えてることは、全部わかるのか」


クローン「というよりも、同じ思考形態をもってると考えていただきたい」


吉川  「と言うことは……。お前もやっぱりクローンとデ・ニーロのダジャレを?」


クローン「あぁ、口に出す勇気はなかったが」


吉川  「わぁ。なんか気が合うね」


クローン「いや、気は合うよ。同一人物だもの。話聞いてた?」


吉川  「聞いてたよ。デ・ニーロでしょ?」


クローン「ズコー! そこかよ!」


吉川  「今のズコーは、ちょっと狙ったでしょ?」


クローン「う、うん。わかる?」


吉川  「俺の考えることなんてだいたいわかる」


クローン「本当はね、ヘコーにしようか迷ったんだけど」


吉川  「パーマン風だ」


クローン「うん。でも、ズコーをかぶせた方が効果的かと……」


吉川  「あざといなぁ……。俺は」


クローン「あざといよね……。俺」


吉川  「ヘコーか……。本当に?」


クローン「ど、どういう意味だよ?」


吉川  「いや、他にも候補があったんじゃないかと、俺なら……」


二人  「オター!」


二人  「やっぱり! オバQ風だ!」


クローン「いやぁ、わかってくれるとは」


吉川  「だって、俺だもん」


クローン「でも、Qちゃんのオターはパーマンのヘコーに比べて、幾分マニアックなのではないかと杞憂してしまって」


吉川  「あぁ。その気を回しすぎるところも、俺だ」


クローン「いやはやまったく」


吉川  「参りましたなぁ」


クローン「ははは、あなたも相当」


吉川  「それでは、また。コレでも!」


クローン「コレですか! はっはっは。さすがお若い」


吉川  「いやぁ、もう身体ガタガタですよ」


クローン「なにをおっしゃる。まだまだアレもやるらしいじゃないですか」


吉川  「まぁ。アレは、ナニですからね」


クローン「ソレもそうですな」


吉川  「はっはっは……」


クローン「はっはっは……」


吉川  「……」


クローン「……」


吉川  「……ゴメン、全然わからない」


クローン「俺も。適当に言っちゃった」



暗転




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