名探偵

探偵 「犯人は、お前だっ!」


吉川 「なんですか、突然」


探偵 「突然ですが、名探偵です」


吉川 「はぁ……」


探偵 「見事なトリックでしたよ」


吉川 「え?」


探偵 「並みの人間なら、気づかなかったでしょうね」


吉川 「な、何がですか?」


探偵 「まだシラを切るつもりとは。……よろしい」


吉川 「あの、人違いじゃありませんか?」


探偵 「あなたは吉川さんですよね?」


吉川 「はい」


探偵 「犯人はお前だっ!」


吉川 「違うって」


探偵 「違うのかっ!?」


吉川 「違うも何も、何の犯人だ」


探偵 「犯人はお前じゃなかったっけっ!?」


吉川 「疑問系か。自信ないのか」


探偵 「犯人は誰だ!」


吉川 「俺に聞かれても……」


探偵 「犯人は、俺か!?」


吉川 「しらねーよ!」


探偵 「犯人は、俺かも!」


吉川 「なんだ、かもって……」


探偵 「犯人は、俺っぽい」


吉川 「お前かっ!」


探偵 「……多分」


吉川 「人騒がせな……」


探偵 「じゃ、名探偵は誰だ!」


吉川 「知らないよ!」


探偵 「お前かっ!」


吉川 「そ、そうなの?」


探偵 「お前だな!?」


吉川 「そうかも……」


探偵 「いや、俺だ!」


吉川 「あんたは犯人だろ」


探偵 「そうだった! じゃ、お前も名探偵だ!」


吉川 「も、ってなんだ。俺が名探偵だ!」


探偵 「なおかつ、俺も名探偵だ」


吉川 「俺だって!」


探偵 「俺もだ!」


吉川 「お前は違う! 俺がそうだ!」


探偵 「何を!? ずるいぞ!」


吉川 「ずるくない! 俺こそが名探偵だ!」


警官 「名探偵!」


探偵 「なんだ!」


吉川 「俺だって!」


探偵 「いや、今のは俺だ」


吉川 「でも、俺だ!」


警官 「名探偵……犯人は?」


探偵 「俺だ!」


吉川 「俺だってば!」


探偵 「コイツだ!」


警官 「逮捕だ!」


吉川 「あ~れ~」


探偵 「一件落着」



暗転




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