選挙

吉川 「選挙の投票率が低い!」


藤村 「今日はいつになく社会派だな」


吉川 「俺はいつだって、いつになく社会派だ」


藤村 「いつだっていつになくはおかしいだろ」


吉川 「じゃ時と場合を選んで社会派だ」


藤村 「別に選ぶ必要はないんじゃ……」


吉川 「TPOに応じて社会派だ」


藤村 「はぁ」


吉川 「選挙の投票率の低下は由々しき問題である」


藤村 「確かにそうかもしれないけど……」


吉川 「俺はその問題を解決策を提言する!」


藤村 「どうぞ。提言してください」


吉川 「そもそも、なぜ投票率の低下が起こったのか。それはみんな選挙に興味がないからだ」


藤村 「まぁ……、確かに一理あるね。誰を選んでも同じというのもあるし」


吉川 「ならば根本的な話、選挙に興味を沸かせればいい」


藤村 「ほぉ。どうやって?」


吉川 「みんなの大好きなものと選挙をコラボレーションすればいい」


藤村 「それは確かにいいアイデアかもしれない」


吉川 「みんなが大好きで、尚且つ選挙と合わせて違和感のないもの」


藤村 「なんだろう……」


吉川 「もちろんカレーだ」


藤村 「カ、カレー? あの……食べる?」


吉川 「みんなが大好きなモノと言えば、カレー以外ないじゃないか」


藤村 「わぁ。断言した」


吉川 「これは適当に言ったわけじゃない。信頼のおけるデータに基いた結果だ」


藤村 「データですか」


吉川 「ここにある報告書によると、実にインド人の9割5分がカレーを好きだといっている」


藤村 「え、インド人?」


吉川 「そうだ。つまりみんなカレーが好き」


藤村 「みんなってインド人かよ」


吉川 「インド人といえば日本人だろ!」


藤村 「だろって言われても。なんかキレ気味だし」


吉川 「インド人と日本人との違いなんて、インドか日本かくらいだ」


藤村 「それが大きすぎる違いなんじゃないか……」


吉川 「とにかくカレーはみんなから好まれていることは確かだ」


藤村 「まぁ、そういわれれば……」


吉川 「どこの食卓でも、月に数回はカレーを食べるはずだ。 しかし、月に数回選挙をする食卓はない!」


藤村 「回数の問題じゃなくて、食卓で選挙はあんまりしない」


吉川 「だから、選挙もこのカレー人気に便乗すればいい」


藤村 「どうも釈然としない」


吉川 「具体的には、投票所をカレー臭くする」


藤村 「うわぁ……」


吉川 「なんとなく、においにつられてきちゃう作戦」


藤村 「ずいぶん単純な……」


吉川 「あと候補者にインド人を入れる」


藤村 「えー」


吉川 「このままじゃ、カレー人気によってインド人が当選しちゃうから……」


藤村 「しちゃうんだ。カレー人気おそるべし」


吉川 「対抗馬として、タイ人とパキスタン人も入れる」


藤村 「いったいなんの選挙だ」


吉川 「実際にカレーを配っちゃうと、公職選挙法違反になるから……」


藤村 「そういうのはキチンとしてるんだ」


吉川 「美味しいカレーのレシピとかを公開する」


藤村 「地味な活動だな……」


吉川 「当然、選挙の公約も変わってくる」


藤村 「インド人が立候補するんじゃなぁ……」


吉川 「私が当選した暁には、辛さ5倍を保証します!」


藤村 「そんなの保証されても困る」


吉川 「本場インドのシェフが腕を振るっております!」


藤村 「ただのカレー屋の宣伝じゃないか」


吉川 「サフランライスを増量いたしました!」


藤村 「もはやカレーフェスになってる」


吉川 「チャパティーを! チャパティーをよろしくお願いします!」


藤村 「なんの選挙だっ!?」


吉川 「最終的には、ナンが当選」


藤村 「ナンの選挙か……」



暗転

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