インタビュー
吉川 「ハッハッハー! 骨壷は用意しなくていいぜ。すでに俺様が骨を粉々に砕いているから火葬場で焼かれても、なにも残らない!」
聞き手 「相手のドギア選手は、あなたのサイズの棺おけを用意しているそうですが」
吉川 「ドギア! お前の棺おけはこのダンボールで充分だ。俺様がバラバラにして火葬場まで宅配してやるぜ。ハッハッハー!」
聞き手 「これはまた、勇ましい発言。ドギア選手はトルコの大怪人と呼ばれてますが……」
吉川 「あいつがトルコの大怪人だったら、え~と……俺様は世田谷の……人だ」
聞き手 「え?」
吉川 「世田谷の人だ!」
聞き手 「それは……普通なんでは?」
吉川 「えっと……世田谷区民だ!」
聞き手 「いやいや。全然異名になってませんが」
吉川 「うるさいっ! 世田谷の……偉い人だ!」
聞き手 「なんですかそれは? 区長ですか?」
吉川 「な、なんかない?」
聞き手 「え……」
吉川 「ちょっと、強そうな異名。相手がビビるようなやつ」
聞き手 「そんなこと言われても……私が考えちゃっていいんですか?」
吉川 「だって、思いつかないんだもん」
聞き手 「そうですね。世田谷の……ってのは、ちょっとセコいですね」
吉川 「えー? 引っ越すの?」
聞き手 「いや、そうじゃなくて。もっと広い場所にすればいいんですよ」
吉川 「広い……駒沢公園?」
聞き手 「そうじゃない。逆に狭くなっちゃってる」
吉川 「広いよ! 駒沢公園!」
聞き手 「いや、広いですけど、名前をとどろかすには狭いですよ」
吉川 「そ、そうかぁ?」
聞き手 「もっと、東京の! とか日本の! の方がいいですよ。相手はトルコですよ?」
吉川 「だって……そんなの断りもなく名乗っちゃっていいの?」
聞き手 「いいんですよ。言ったもん勝ちですよ」
吉川 「じゃ、日本の……人?」
聞き手 「それはただの日本人じゃないですか。もっと怪人とか怪獣とか」
吉川 「そんなの、なんかバカそうじゃん」
聞き手 「だったら……格闘王みたいな、なんとか王とか」
吉川 「日本の発明王!」
聞き手 「いや、格闘家なんだから発明関係ないでしょ?」
吉川 「そっか。じゃ、日本の……ホームラン……いや……三冠王?」
聞き手 「どっちもダメですよ。そもそも日本の三冠王は他にいるでしょ。野球で」
吉川 「じゃ、日本の……あー、もう思い浮かばないよ。王とかもう無いよ」
聞き手 「無いことは無いでしょ。まぁ……王とかじゃなくてもいいですけど」
吉川 「大臣てのはどう?」
聞き手 「位下がっちゃってるじゃないですか」
吉川 「日本の発明大臣」
聞き手 「だから、発明から離れましょうよ」
吉川 「日本の節約大臣」
聞き手 「あの……格闘家ですよね?」
吉川 「グハハー! そうだ! 俺様が日本の節約大臣だ!」
聞き手 「へぇ……」
吉川 「ゴメン。やっぱやめる」
聞き手 「うん。やめた方がいいね」
吉川 「大臣がいけなかった。もっと他のがいい」
聞き手 「他のかぁ……古館伊知郎風だと、ひとり何々ってのがありますね」
吉川 「日本のひとり何々だ!」
聞き手 「いや、何々じゃなくて、そこには他の言葉が入るんですよ。ひとり民族大移動とか」
吉川 「ひとり旅とか?」
聞き手 「それは普通じゃないですか。クロスワードパズルじゃないんだから」
吉川 「わかった! ひとり相撲!」
聞き手 「クイズじゃなくて。ひとり何々、で形容するんですよ。ひとりフランス革命とか」
吉川 「あ~、なんとなくわかった。ひとり米騒動とか?」
聞き手 「う、うん、まぁ。そうですね」
吉川 「それいいな。ひとりオイルショック」
聞き手 「全然意味わかりませんけど、まぁいいんじゃないですかね」
吉川 「ひとり消費税反対」
聞き手 「そんな地味な反対運動しないで下さい」
吉川 「いまいちパッとしない」
聞き手 「もっと、自分のキャラクターを入れるんですよ。身体が大きいから民族大移動とか」
吉川 「えーと……ひとり……発明……」
聞き手 「なんで、発明にこだわってるんだ」
吉川 「ひとり……ぼっち。太平洋で」
聞き手 「随分寂しいキャッチフレーズになってきちゃったなぁ」
吉川 「ひとり……じゃんけん」
聞き手 「なんだそれは」
吉川 「ばかっ! ひとりジャンケン馬鹿にするなよ! 奥が深いんだからな!」
聞き手 「はぁ。わかりましたけど……異名は?」
吉川 「あー、もうこう言うのすごい苦手だよ。よくトルコの大怪人とか思いついたなぁ。感心するよ」
聞き手 「感心するほどのことでもないと思いますけど」
吉川 「何も思い浮かばないもん」
聞き手 「アレですよ。得意技とかは?」
吉川 「間接技だけど……ひとり間接技?」
聞き手 「ヨガやっててほどけなくなった人じゃないんだから。もうこの際、ひとりからは離れた方がいいですね」
吉川 「日本の間接技」
聞き手 「お国紹介みたいになってるなぁ。じゃ、アレは? 人間なんとか」
吉川 「人間間接技!」
聞き手 「もっと、考えて! 人間発電所みたいな、人間じゃ無いものを無理やりくみ合わせるんですよ」
吉川 「人間クイックルワイパー」
聞き手 「罰ゲームみたいになってる。もっと強そうなやつ」
吉川 「人間ウォッカ(40度)」
聞き手 「いや、強いけど……強さがちょっと違う!」
吉川 「人間カブトムシ!」
聞き手 「強いっちゃぁ、強いけど。昆虫界でじゃ……」
吉川 「人間安岡力也!」
聞き手 「それは元から人間だ」
吉川 「人間……もうない!」
聞き手 「無くないでしょ。ダムとか鉄鋼所とか」
吉川 「別に強くないじゃん」
聞き手 「強そうな感じがすればいいんですよ」
吉川 「へぇ~」
聞き手 「じゃ、今までのを踏まえて決めましょう」
吉川 「ゲハハー! この俺様が、日本のひとり人間発明大臣だ!」
聞き手 「以上、試合を前日に控えた発明大臣でした」
暗転
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます