クイズ

挑戦者 「ポロロッカ!」


司会  「正解!」


挑戦者 「よっしゃ!」


司会  「さぁ、挑戦者の破竹の連続正解でチャンピオンとの差はすでに7ポイント。 これはもしかして、第17代目チャンピオンの誕生なるかー!」


チャンプ「クッ……」


司会  「どうですか? チャンピオン」


ピンコーン


チャンプ「正直、キツイっすね」


司会  「正解!」


挑戦者 「……え?」


司会  「さぁ、挑戦者との差を6ポイントに縮め、ここから怒涛の巻き返しがはじまるのかーっ!?」


ピンコーン


司会  「はい、チャンピオン!」


チャンプ「はじまります」


司会  「正解っ!」


挑戦者 「え? え?」


司会  「いよいよ、その差、5ポイント!」


挑戦者 「え? ちょっと待って。なにそれ? なに今の?」


司会  「はい?」


挑戦者 「今のは、問題だったの?」


司会  「そうですよ」


挑戦者 「だって……なんか、感想とか……そう言うのじゃ……」


ブブー


司会  「おーっと、残念、不正解です」


挑戦者 「え? なにが?」


司会  「今のは感想ではありませんでした。挑戦者、焦りましたね。ここで自らポイントを失ってしまいました」


挑戦者 「や。ちょっと待ってよ。だって今の……問題じゃなかったでしょ?」


ブ……ブ……ブ……


挑戦者 「いや、うそうそ。問題でした。そうでした」


司会  「そうです。問題でした。危ないところでしたねー」


ピンコーン


挑戦者 「え?」


チャンプ「はい! 危ないところでした」


司会  「正解!」


挑戦者 「なにそれ? なんなの? なんかそこ、結託してない?」


ブ……ブ……ブ……


挑戦者 「あ、うそうそ。結託してない。してません」


司会  「そうです。してません。危ないところでした」


ピンコーン


挑戦者 「はい! 危ないところでしたっ!」


司会  「あ、感想を言う時は、ボタンを押さなくても結構ですよ」


挑戦者 「え? あ……はい」


司会  「それでは次の問題です。……どうですか?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「……え?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「え? なに? 問題?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


ピンコーン


チャンプ「いい感じっす!」


司会  「……正解!」


挑戦者 「なに? なに今の? なんなのさ?」


司会  「ここに来てチャンピオン、いよいよ本領発揮だ」


挑戦者 「いや、なんか今の問題、おかしくなかった?」


司会  「難しかったですね」


挑戦者 「ちがっ、難しいとかじゃなくて。……なんか、なに今の?」


司会  「挑戦者、落ち着いてください。取り乱すとわかる問題もわからなくなりますよ」


挑戦者 「……はぁ」


司会  「さて、それでは次の問題です。……なに?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「……いや、ちょっとちょっと」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「なにがなにさ?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


ピンコーン


チャンプ「ちょっとわかりません」


司会  「……正解!」


挑戦者 「なにが? なにが、なんなの!?」


司会  「その通り『ちょっとよくわかりません』でした。よくわかりました」


チャンプ「フゥ……」


挑戦者 「なんか、全然意味がわからなくなってきたんですけど」


司会  「ここからは、さらに問題のレベルがアップします」


挑戦者 「問題のレベルじゃないでしょ? なんか、問題がわからない」


司会  「挑戦者、焦らず、よぉ~く聞いてください」


挑戦者 「……はい」


司会  「さて……どうする?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「え、えっと……」


……コッチ……コッチ……コッチ……


ピンコーン


挑戦者 「がんばります!」


司会  「……え?」


チャンプ「……え?」


挑戦者 「いや、がんばり……ます」


司会  「はい、すみませーん。一旦カメラ止めてくださーい」


挑戦者 「え? え?」


チャンプ「チッ」


挑戦者 「えー?」


司会  「あのさ、ふざけてる?」


挑戦者 「いや、そんなつもりは……」


司会  「こっちも、遊びじゃないんだからさ。わかるでしょ?」


挑戦者 「は……はぁ」


司会  「ほんと、いい加減にしないと、次やったら出てってもらうからね」


挑戦者 「は、はい……すみませんでした」


チャンプ「これだからトーシローはやなんだよ」


挑戦者 「ト、トーシローって……」


司会  「はい、それでは気を取り直してまいりましょう」


ピンコーン


チャンプ「参ります!」


司会  「正解」


挑戦者 「……」


司会  「それでは、最後の問題です。さて……どうする?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


挑戦者 「……」


……コッチ……コッチ……コッチ……


司会  「わかりませんかぁ?」


……コッチ……コッチ……コッチ……


ピンコーン


チャンプ「優勝します!」


司会  「……正解!」


挑戦者 「おい! ちょっと待てよ! おかしーじゃねーか」


司会  「チャンピオンの鮮やかな大逆転!」


チャンプ「やったー!」


挑戦者 「理不尽だ! 納得がいかない!」


司会  「もはや、無敵のチャンピオンを止められるものはいないのかー!?」


ピンコーン


挑戦者 「いる!」


司会  「……」


チャンプ「……」


司会  「それでは来週も……」


挑戦者 「無視かよっ!」


司会  「『クイズ! えこひいきはキミに』で会いましょう~。さようなら~」



暗転




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