異世界転生2

管理人 「あなたはここから新しい世界に旅立ちます。その際にスキルを三つ得るか、もしくはお寿司食べ放題か選択できます」


吉川  「お寿司食べ放題? どういうことですか?」


管理人 「お寿司食べ放題になります」


吉川  「スキルは?」


管理人 「なんのスキルも得られません」


吉川  「ただ食に困らないのはいいなぁ」


管理人 「今から2時間です」


吉川  「いきなりなの? ずっと異世界で通用するんじゃないの?」


管理人 「今から2時間、お茶はお変わり自由です」


吉川  「今さっき死んだばっかりで、食事とかそういう気分じゃないんだけど」


管理人 「わかりました。特別大サービスで色のついたお皿も食べ放題にします」


吉川  「今まではダメだったのか。何が食べ放題だったんだ」


管理人 「ツナマヨと桜でんぶです」


吉川  「そんなものは寿司とは言わない!」


管理人 「魚貝類をつかってるので、完全にお寿司です」


吉川  「最近は魚貝類じゃない寿司も多いけど、それにしてもその二品は魅力が少なすぎる」


管理人 「ちなみに色のお皿には炒り卵と鶏そぼろもあります」


吉川  「うちのお母さんが作ってくれた三色弁当だ」


管理人 「スパムもプリンもあります」


吉川  「もっとこう、寿司っぽいものちゃんとしてよ。生の魚とか」


管理人 「生のエンゼルフィッシュです」


吉川  「エンゼルフィッシュ! 熱帯魚じゃん。これ食べてる人見たことないよ」


管理人 「そこまで言うなら特別に金の皿もOKとします」


吉川  「どうしてもスキルよりお寿司食べ放題を選ばせたいのか。ちなみに金のさらには何があるの?」


管理人 「様々な魚が追加されます。毒や棘のある魚もいますので、ハラハラドキドキのエンタメ体験ができます」


吉川  「求めてねーんだわ。寿司食べ放題にドキドキハラハラは」


管理人 「ちなみにこれはフエフキダイの一種で通称ドキという魚のハラです」


吉川  「知らないよ! そういうの求めてないんだわ」


管理人 「そうこうしている間に2時間がどんどん過ぎてますよ」


吉川  「まだ食べ放題をえらんだわけじゃないから! というか、そんなんだったら絶対スキル選ぶわ」


管理人 「5皿ごとにガチャが引けるようにしますが?」


吉川  「なんで引き下がるんだよ! スキルじゃダメなのかよ」


管理人 「想像してみて下さい。お寿司食べ放題が選ばれると信じて朝も早くから市場に出向いて仕入れをして待っている職人さんを」


吉川  「情に訴えかけるなよ。そもそも、そんな職人さんに桜でんぶとツナマヨを握らせないでくれよ」


管理人 「軍艦ですが?」


吉川  「寿司のフォルムは別にいいんだよ。握ってようが軍艦だろうが。スキルにします」


管理人 「ガリも食べ放題ですよ?」


吉川  「アピールがどんどんしょぼくなってるんだよ。ここまで来た人間が、ガリなら考えようかってなると思ってるの?」


管理人 「お醤油もかけ放題」


吉川  「寿司の良さを殺す方向にばっかりサービスが来るのよ」


管理人 「あなたは死んでるのでプリン体などを気にする必要はもうありませんよ?」


吉川  「そこでもないのよ。別に気にしてないし、死んでるって改めて言われるとそれはそれで悲しい気持ちになるよ」


管理人 「スキルと言っても大したものじゃないですよ? 本当に。なんだったらあとから練習すればできるようになるやつとか多いので」


吉川  「なんなの? なんでそんなにお寿司食べ放題させたいの?」


管理人 「別にそういうわけではありません。わかりました。じゃ、スキル三つですね。ランダムになります。一つ目は腰痛軽減、本来なるはずだった腰痛を軽減させます。こちらはパッシブスキルです。二つ目はしゃっくり停止、即座に自分と周囲の人間のしゃっくりを止めます。こちらはアクティブスキルです。三つ目は知識拡張、ある一定の分野の知識が増えます。こちらもパッシブスキルです」


吉川  「一つ目と二つ目はハズレっぽいけど、三つ目が当たりなのかな。寿司食べ放題と天秤にかけると微妙な感じになったな。これ有用なレアスキルとかって入ってるの?」


管理人 「ドキッ!」


吉川  「フエフキダイの一種のイトフエフキの通称だ!」


管理人 「知識拡張してますね」


吉川  「分野これかー!」



暗転



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