患者
医者 「じゃ、次の患者さん呼んで」
看護婦 「吉川さーん、吉川さーん」
… 「……」
看護婦 「吉川さーん、ガンの吉川さーん」
医者 「ば、ばかっ!」
患者 「ガ、ガン!? ガンなんですか、僕!」
医者 「ガン……ノスケ。吉川雁ノ助さん!」
患者 「そんな名前じゃないですよ!」
医者 「あだ名です。よくコンビニ店員が常連客につけるやつです」
患者 「それも失礼な話だな」
医者 「もう、いいじゃん別に……どうせ死ぬんだし」
患者 「やっぱりガンなんだ!」
医者 「いや、人はみな、いつかは死ぬものですよ」
患者 「なにもこんな時に言わなくても。寿命が縮まりましたよ」
医者 「じゃ、もうすぐか……」
患者 「やっぱりガンなんだ!」
医者 「もう、しつこいなぁ。ただの風邪ですよ。風邪ガン」
患者 「なーんだ、風邪ガンかって、ガンじゃないですか! しかも聞いたことのないやつ!」
医者 「もういいじゃん、ガンで。なんとなくガンぽいもん」
患者 「なにそれ!! 診てないじゃん! ちゃんと診てないじゃん!」
医者 「ほら、その顔つき、濁った瞳、カモシカのような足、どれをとってもガン」
患者 「カモシカのような足って、アスリート褒める言葉じゃないですか。しかも顔つきとか、生まれつきですよ!」
医者 「じゃ、生まれつきガン」
患者 「じゃ、って言うの辞めて下さい。面倒くさそうに」
医者 「ガンでゴザル」
患者 「ゴザルってなに? 武士? 武士気取り?」
医者 「わかりました。薬出しますよ。それでいいでしょ?」
患者 「薬? 効くんですか?」
医者 「効きませんよ。気休めだもん」
患者 「そんなの要りませんよ!」
医者 「いらないの? じゃ、あげない。下げたー!」
患者 「子供か」
医者 「まぁ、ガンですけど、気にすることないですよ。病は気から」
患者 「気にしますよ! 死んじゃうじゃないですか」
医者 「死んだらドラゴンボールに生き返るようにお願いしてあげますよ」
患者 「なにそれ、Z戦士?」
医者 「それか、ギャルのパンティー」
患者 「そんなものと私の命を天秤にかけないで下さい」
医者 「8:2でパンティーかな。それか若さ」
患者 「あんたはピッコロか」
医者 「天さんのことだー!!」
患者 「なにそれ!? モノマネ? 誰? チャオズ? 微妙にセリフ違うけど?」
医者 「続きまして……」
患者 「まさかのオンパレードするのか? モノマネを」
医者 「物理の岡田先生のモノマネ。ここ試験に出ますのぉ!」
患者 「薄い! キャラ立ちが薄い!! というか誰だ、岡田先生は」
医者 「あなた、私の言うことにいちいち突っかかるなぁ……不愉快だ」
患者 「不愉快って、人のことガンって言っておいて」
医者 「もう帰ってください。大霊界に帰ってください」
患者 「嫌ですよ! なんで殺したがってるんだ」
医者 「私の患者はあなただけじゃないんだ。もっと苦しい病気の人もいるんだ。それをなんだ、ガンだのウガンダだの」
患者 「いや、ウガンダは一度も言ってません」
医者 「ガン……タンク?」
患者 「そんな話もしてない! というか、私は本当にガンなんですか?」
医者 「そんなこと……まだ言える間柄じゃないから///」
患者 「なんで照れてるんだ。急に照れ屋さんか」
医者 「というわけで、吉川雁ノ助さん、お薬出しておきますから。食後に一回2錠ずつお飲みください」
患者 「また雁ノ助か。結局なんなの? ガンなの? ねぇ、ガンなの?」
医者 「ガーン。なんちゃって!」
患者 「いまさらそれか。なんちゃってか」
医者 「はい、じゃ、お疲れ様でした。次の患者さんどうぞー」
患者 「お疲れって、そんな……。」
看護婦 「藤村さーん、藤村さーん」
… 「……」
看護婦 「藤村さーん、虚言症の藤村さーん!」
医者 「あ。はい」
患者 「お前かー!」
暗転
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