第3話 屈辱的で惨め

筆者も、さすがに発症から21年も経つと屈辱的で惨めとは思います。

筆者の場合は、加えて無様ですよ。

しかしながら、機械を操作して、曲がりなりにも単独で電動車イスとベッドの間を行ったり来たりしていますので、屈辱的で惨めと無様ですが、のほほんとできております。

SBMA(球脊髄性筋萎縮症)は、まず先に下位運動ニューロンから症状が進行することがわかっております。

通常、発症から10年から15年で完全な車イス生活になると言われています。

発症から15年から20年くらいで呼吸器疾患を併発して死亡するとされています。

この辺りまで勉強した時に筆者は思いました。

筋肉が萎縮して動けなくなるって本当に怖いんです。

めちゃくちゃ不安なんです。

だから必死で抗ってリハビリして無理に動いたりしました。

しかしながら、研究結果として公表されていることから、かけ離れたことを自分だけができるものでしょうか。

少し先伸ばしできたとしても、先伸ばしは先伸ばしでしかありません。

必ず皆さんと同じ道をたどるんでしょう。

ならば、そうなってからあわてるのが良いのか、準備だけ同時平行するのかという問いかけをしてくれる看護師さんがいました。

筆者にとってラッキーだったのは、この看護師さんの他にも、惜しみ無く自身の経験をもとにアドバイスをしてくれるセラピストさんがいたことでしょう。

本来なら使えないはずの機器を導入しています。

しかも、時期尚早と思われる時期に。

行政には、少なからず抜け道があるものです。

地方自治体の判断に委ねられている制度なら、なんとかなる場合が少なくないようです。

筆者の部屋には、訪問入浴用電動リフトが備え付けられていますが、この電動リフトを利用して電動車イスとベッドの相互移乗を考え出してくれた作業療法士と練習を手伝ってくれた理学療法士がいたことです。

この3人のおかげで、ある程度の自由と自立が確保できております。

もちろん、移乗用の器具ではありませんので、失敗すると危険があります。

加えて、リフトで吊り上がるのですから、ある程度の高さの空中で移動しますので、高所恐怖症の方には不向きですね。

車イスに座ってしまえば、意外に安定しますので、自室とリビングをウロチョロできるようになりました。

ほんの少しでも景色が変わると、気分は、かなり楽になりました。

ただし、電動車イスのパワーは予想外に強いので、床に敷物はやめる方が良いでしょう。

畳やパンチカーペット程度の物なら数日でボロボロになります。

患者本人も電動車イスの操作技術を磨く必要があります。

電動車イスは、かなりスピードが出ます。

筆者も、最初は、壁の角に激突してケガをすることが度々ありました。

電動車イスを自由に操作できるようになりますと、外出支援に関しては、プロの業者がありますので、散歩程度の外出なら出来るようになるかもしれません。

ここからは、居住の自治体によって、かなりの差があることは否めません。


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