2020/08/26『読後感』

 読み終えた後の、得も知れぬ幸福感と喪失感と虚無感と満足感で心を満たす快楽。エンドが読みたかった、しかしエンドを迎えたくなかった。そんな感傷的なジレンマ欲しさに、ただ無我夢中に没頭する。モノローグに期待しては、エピローグを反芻する。その繰り返し。結末のその先を知りたい。彼等がどんな人生を歩むのか知りたい。そんな欲求が止めどなく溢れ出るも、その先の世界が元より存在しないことなど自明の理。知り得るのは作者のみ、いや作者すら知り得ぬかもしれない。オープニングとエンディングが定められた、あまりに刹那的で儚い世界。私は結末の先を妄想する間もなく、そのままを心に残して、次なる世界を覗きに行くのだ。


 結末すら迎えられず物語を終わらせてしまった原作者には、本当に、憤りしかない。

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