◉ビーストの旅立ち〜◉理解者まで
プロットの続きです。特にホテルでの戦いあたりは、本編と大きく異なっています。
◉ビーストの旅路
サバンナにいたビーストは、大型セルリアンの気配を感じて雄叫びを上げた。
こちらに向かってくる気配はない、どうやら駅に向かっているようだ。彼女はセルリアンの気配を追って、駅へと向かった。
駅では、モノレールが大型セルリアンに襲撃されていた。
彼女はビースト化し、大型セルリアンに向かって一直線に飛びかかると、横腹に強烈な一撃を叩き込んだ。
その際、横目でモノレールの中の様子を窺うと、サーバルとカラカル、そして帽子を被った子供が一瞬見えた。
一撃を受けたセルリアンの巨体が吹き飛び、粉々に砕け散った。
セルリアンのカケラが散らばる中、ビーストはモノレールを見送りながら、帽子の子の事を考えていた。顔ははっきりとは見えなかったが、シルエットがあの子にそっくりだった。
どういう事なのかは分からなかったが、とにかく『会いたい』と思った。ビーストはモノレールの後を追いかけた。
そんな彼女の様子を、上空からじっと見つめる2つの影があった。カンザシフウチョウとカタカケフウチョウのフウチョウコンビだった。
カタザシ「古のけものが動いた。何を思い、何処へ行くのか。」
カンカケ「己の道を見つけたか、あるいはただの気まぐれか。」
2人は羽音一つ立てずに宙を舞い、どこかへ消えた。
モノレールは速い上に匂いも残さないので、追跡は困難だった。
ビーストは知らないうちに、モノレールを追い越してしまった。
そうとは知らずに走っていると、ジャングルが見えて来た。
そこに入ってしばらくすると、妙な気配がした。
その場所へ行ってみると、木々が途切れて開けた所に出た。
そこは住人達から『みんなの広場』と呼ばれ、親しまれていた。暖かな日差しが降り注ぎ、泉がキラキラと輝いている。とても気持ちの良い所だった。
そこに2つの影があった。見た目はフレンズのようだが匂いがしない。セルリアンには見えないが、それに近い気配を感じる。
彼女はそれを敵と判断し、飛びかかった。
すると影は音もなく身を翻し、彼女の爪をすり抜けた。
空を切った爪が、勢い余って地面を大きくえぐった。
彼女は間髪入れず何度も飛びかかったが、爪が影を捉えることは無かった。代わりに木々がへし折れ、泉は裂け、辺りに生々しい爪痕が広がった。
しばらくすると、2つの影はフワリと宙に舞い上がり、ジャングルの奥へと消えていった。ビーストはそれを追いかけた。
後には、見るも無残に破壊された広場だけが残った。
ジャングルに入って数日、ビーストは影を探し続けていた。
すると、ゴリラ達ジャングルのフレンズに混ざって、サーバルとカラカル、そしてあの子の匂いがした。彼女は探索を中断し、無我夢中でそこに向かった。
そこではみんなが紙相撲で遊んでいた。しかし遠くから様子を窺っていた彼女には、地面を指で叩いて遊んでいるように見えた。
みんなの中にあの子がいる。そう考えると居ても立ってもいられなくなり、ビーストはその輪の中に文字通り飛び込んだ。
周りの木々より高く跳躍し、みんなが叩いていた地面を、体重を乗せて思い切り叩いた。
その一撃で紙相撲は粉々になり、地面は粉砕され周囲のフレンズは吹っ飛ばされた。キュルルはカラカルに抱えられ、間一髪難を逃れた。
いきなりの事に、ゴリラ達は慌てふためいた。
ゴリラ『フレンズ離れしたこの力、もしかして、彼女が広場を荒らしたのか?』
ビーストは鼻をひくつかせた後、子供の方を見た。
『やっぱり間違いない、またあの子に会えたんだ。』
彼女は嬉しさのあまり、我を忘れて飛びかかり、子供を抱きしめようとした。
すると子供は尻餅をつき、怯えたような、困惑したような眼差しでビーストを見た。それに気付いた彼女は、すんでのところで立ち止まり、子供をじっと見つめた。かつて記憶を失い、キョトンとした顔で彼女を見ていた、あの子の姿が重なった。
よく見ると、あの子とは何かが異なっていた。姿と匂いは一緒、でもこの気配は…?追いかけていた2つの影とよく似ていた。
彼女は戸惑った。
そこへキュルルを助けようと、カラカルがビーストの背後から飛びかかってきた。殺気を感じ取り、彼女は振り向いて、カラカルに向かっていった。
互いの爪がぶつかり合うかに思われた瞬間、ビースト化したサーバルが間に入り、2人を受け止めた。顔を鷲掴みにされ、ビーストは驚きの表情を浮かべてサーバルを見た。
ビースト『この子、私と同じ力(ビースト化)を使えるんだ。』
彼女はその手を跳ね除け、後ろに跳んで一旦距離を取った。
ラッキーさんからの知らせを受けて、かばんさんは車で現場に向かった。そこには予想通りビーストがいて、みんなと揉めている。
かばんさんは以前ビーストに会ったことがある。それに加えて、
研究所の資料などから彼女のことを学んでいた。
彼女の特性上、意図せず周囲やフレンズを傷つけてしまう可能性があるため、一旦みんなから離す必要があった。
かばんさんは、助手席から紙飛行機を取り出した。
※紙飛行機案①(漫画版)
助手が車から飛び出して先陣を切り、煙を放つ紙飛行機を何個も飛ばした。この煙には少量のトウガラシが含まれていて、吸い込むと咳やくしゃみでしばらく動けなくなるのだ。
煙が辺りに充満した後、かばんさんが車に乗り込み、みんなを乗せてビーストから離れた。
煙が晴れ、ビーストが軽く咳き込みながら姿を現した。彼女の周囲には誰もいなくなっていた。
彼女は口を手で拭うと、車が走り去った方向を見つめながら、あの子供のことを考えていた。
※案②
かばんさんはセルリアン対策として、大きな音や煙が出るもの、匂いがついたものといった、何種類もの紙飛行機を用意していた。
だがまだ試行錯誤の段階で、役に立たないものもある。
その中には、どういうわけかネコ科の子の注意を引きつける、マタタビを染み込ませたものがあった。これには目印として、先っぽに小さな赤いリボンがついていた。
かばんさんが、ビーストに向けてその紙飛行機を投げた。
それはリボンを炎のようにチロチロと揺らしながら、彼女の目の前を通過していった。
突然現れた紙飛行機に彼女は興味を抱き、後を追いかけた。
ビーストの注意が逸れたことを確認し、かばんさんはみんなを車に乗せて、その場から離れた。
※案③
かばんさんは以前ビーストに会ったことがある。それに加えて、研究所の資料などから彼女のことを学んでいた。
彼女の特性上、意図せず周囲やフレンズを傷つけてしまう可能性があるため、一旦みんなから離す必要があった。
かばんさんは、助手席から紙飛行機を取り出した。
これはセルリアンの注意を引きつけるだけでなく、フレンズの力比べを中断させるものでもあった。
ジャングルにはヤンチャな子もいて、時々フレンズ同士で力比べが行われていたが、白熱しすぎてけが人が出そうになる事もあった。
ゴリラから、安全な解決策はないかと相談されたかばんさんは、エネルギー発散の場として、広場で運動会を開く事を提案した。
それは競技を決めて優劣をつけるのではなくて、自分の得意分野をみんなの前で披露するのが目的の大会だった。
それでも万が一のために、大きな音や煙が出るもの、匂いがついたものといった、何種類もの紙飛行機を常に用意していた。
その中には、どういうわけかネコ科の子の注意を引きつける、マタタビを染み込ませたものもあった。これには目印として、先っぽに小さな赤いリボンがついていた。
かばんさんは狙いを定めて、その紙飛行機を投げた。
それはリボンを炎のようにチロチロと揺らしながら、ビーストの目の前を横切って、ジャングルの奥へと飛んでいった。
突然現れた紙飛行機に彼女は興味を抱き、後を追いかけた。
ビーストの注意が逸れたことを確認し、かばんさんはみんなを車に乗せて、その場から離れた。
彼女は紙飛行機を捕まえてじゃれていたが、車が走り去る音で我に帰った。そちらを見つめながら、あの子供のことを考えた。
ビースト『あの子供は一体何なんだろう?少なくとも、あの子じゃない。」
突然、ビーストの背後から、得体の知れない気配がした。
振り向くと、あの2つの影がすぐ傍に浮いていて、冷たい笑みを浮かべながら彼女を見ていた。
ビーストは影に飛びかかった。すると影が弾け、漆黒の闇が彼女を包み込んだ。闇の中から声が響いた。
カンザシ「束の間の寝床を用意した。」
カタカケ「しばし休まれよ。」
気がつくとビーストは、何も無い真っ暗な空間に立っていた。
あたりを見回しても何も見えない。音も匂いもまったくしない。
それから数日間、彼女は闇の中をさまよった。
あれから何日経ったのか、時間の感覚が完全に無くなった。
一体どれだけ歩いたのだろう。周りは闇だけで、今自分が寝ているのか、起きているのかもはっきりしない。サンドスターは底を尽きかけ、体は疲弊しきっていた。ここで倒れたら、もう起き上がる事は出来ないだろう。
そんな闇の中に、ポツンと明かりが見えた。ビーストは体を引きずりながらそこに向かった。
しかし行けども行けども、明かりは大きくならない。意識が朦朧となり、とうとう彼女は仰向けに倒れ、気を失ってしまった。
助手は研究所の近くで倒れているビーストを見つけ、かばんさんに報告した。かばんさんが助手と一緒に駆けつけると、そこには酷く衰弱したビーストが倒れていた。
かばんさんは気絶している彼女を研究所へ連れて行き、お風呂に入れて毛皮をブラッシングし、温かいベッドに寝かせた。
彼女が目覚めると、優しい言葉をかけて落ち着かせ、ご飯を用意して一緒に食べた。
それから数日間、ビーストは研究所で過ごした。その間かばんさんの優しさが、輝きとなって彼女の体に染み渡った。調査から戻ったアライさんとフェネックも、彼女のお世話をした。
こうして日を追うごとに、彼女は元気になっていった。しだいに顔色が良くなり、毛並みもフサフサになっていった。
ある日、ビーストが昼寝をしていると、窓の外から2つの影がこちらを覗いていた。彼女はベッドから飛び起きて、臨戦態勢をとった。だが窓の外には誰もいなかった。
しかし外の川から気配がする。それは川の流れに乗って、下流へ移動していた。彼女は研究所を飛び出し、追いかけた。
それはイエイヌのおうちで強力なセルリアンとなり、彼女は囚われてしまうが、キュルル達の活躍で撃退した。助けられたビーストは、巨大なセルリアンの気配を感じ、一人でホテルへと向かった。
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