中編
第11話 ◉ビーストの旅立ち
このところパークでは地震が頻発し、大型セルリアンがよく目撃されるようになっていた。
この日もサバンナで大きな地震が起きた。
たまたまそこにいたビーストは木の上で休んでいたが、激しい揺れで起き上がった。
すると離れたところから大型セルリアンの気配がした。彼女は自分に注意を引き付けるため雄叫びを上げた。
声は届いたはずだが、気配はこちらではなく駅の方向に向かってゆく。もしかしたら誰かが襲われているのかもしれない、そう考えた彼女は急いでそこに向かった。
駅ではモノレールが、テレビカメラに3本の巨大なドリル状の足が生えたような形をした大型セルリアンに襲撃されていた。モノレールの背後からレールを突き破って現れたカメラ型セルリアンは、そのままレールの上を物凄いスピードで走り出した。モノレールは懸命に逃げているが、徐々に距離が縮まってゆく。
と、カメラ型セルリアンが一瞬身をかがめた後、モノレール目掛けてハエトリグモのように飛びかかった。
もはや一刻の猶予もない。彼女はビースト化して地面を思い切り蹴ると、そのまま大型セルリアンの横腹に一直線に飛び込んでゆき、強烈な爪の一撃を叩き込んだ。
その際、横目でモノレールの中の様子をうかがうと、サーバルとカラカル、そして帽子を被った子供が一瞬見えた。
一撃を受けたセルリアンの巨体が吹き飛び、粉々に砕け散った。
そのかけらが散らばる中、ビーストはモノレールを見送りながら、帽子の子の事を考えていた。顔ははっきりとは見えなかったが、シルエットがあの子にそっくりだった。
どういう事なのかは分からなかったが、とにかく『会いたい』と思ったビーストは、モノレールの跡を追いかけた。
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