142節

142 躑躅森馨之助

 俺はようやく事態を把握した。

「そうか、そういうことか。んじゃ、あれか? 結局佐藤の勘定は正しくって、」

「この馬鹿! 正しくないから私達は解放されていないんだよ。何かが、何かがおかしいんだ。計算の何処かが、しかし、でも、」

 綾戸のこの声に耳を劈かれた俺は顔を顰め、佐藤を見やった。

「おい。一体全体どうなっているんだ?」

 佐藤は歯切れ悪く、

「僕にも、何が何やら。分からないことだらけです。しかし、まあ、まずは外堀を埋めましょう。鉄穴さん、その最後の二人は、消去法で考えると井戸本組の続橋さんと井戸本さんになる筈なのですが、確かに彼らだったのでしょうか?」

「ええっと、そんなこと言われても、その、ツギハシと井戸本って二人の顔なんて知らなかったし、その上転がっていた首もまじまじと見た訳ではなかったから。ただ、多分、その二人が殺される時に私、近くに居たのだけれども、殺す方が、それぞれのそういう名前を呼んでいた気がするよ。あんまり良くは聞こえなかったから、然程自信はないけど。」

 井戸本組の成員の最期となれば、当然、最も興味を示すのは綾戸であって、

「どういうこと、それ?」

「私が抱いていた感触では、敵というよりも味方が、介錯をしようとしている雰囲気が、」

「そこについての疑問あるけれども、まず何より、何故あなたが井戸本様と続橋の最期に立ち会っている訳? あなたが仕留めたというならまだしも、そうでないようだし。もう言ってしまうけれども、あの日の私達はあなたの事を殺そうと血眼になっていたんだよ。何故、あなたは井戸本様や続橋と出会したのにもかかわらず生き延びているの?」

 カンナは困ったような顔になってから返した。

「いや、私、ずっと隠れていたから。それで、私が身を潜めている内に、外で何度も殺し合いが起こったのよ。そうしたら最後のほうにええっと、……エバタ、と呼ばれていたかな、その人が、仲間に泣く泣くとどめを刺そうとしているような会話をして、そして、……それをさせたような物音が、さ、聞こえて、」

 これを聞く綾戸は懸命に眉間へ皺を寄せて、少し悩ましげな間を取ってから、

「近くに、その殺された二人のものと思しき聖具か何かはあった?」

「ええっと、あれかな、分からないけれども、鋸が転がっていたような気も、」

 綾戸は背を反らしつつ、半端に両手を挙げた。

「諒解、私はあなたの言う事を信じるよ。それは恐らく続橋の聖具。ということは、残りの一人はやはり井戸本様だったということになるだろうね。絵幡がそういう真似をしたというのも、実に状況に合致する話だ。」

「と言う事は、」再び佐藤。「外堀が埋まってね。もう種切れですので、こうなると、真実を見抜く為の取っ掛かりとなる筈の矛盾、と言うより寧ろ、その矛盾を見出す手がかりを見つけるところから始めなければなりません。つまり、これまでの話の中におけるおかしな点や、違和感を探さなければいけないという事です。皆さん、何かありますか。」

 反対側のハコオロシが喋り始めた。

「ひとつ気になるのはさ、ああ、いや、本当に大分前の話になってしまうけれども、残りが百人になった通知って二回来たよね? つまり、この通知が存外いい加減なものであるという可能性ってないのかな、と思うんだ。」

「いや、その、通知の、重複は不具合、以外の説明を、与える、ことが出来る、」

 俺の右隣のタマバが発言を始めていた。何だろうな、ウチの鸚哥の方がもう少し上等な喋り方をしたと思うんだが、なんでこんな、むず痒い言葉の紡ぎ方をするんだこいつは?

「説明って何さ?」と返すハコオロシ。

「迚野良人という、男が、居た。アイツは確か、中途参加者だった筈。」

「中途参加? 何それ?」

「文字、通りの意味、アイツは、この戦いが始まって二ヶ月、経過したあたりからの参加者。つまり、そう、残り人数が百人となった直後、あるいは直前に、アイツが参加した事で、生き残りがきっかり百人になる、機会が二回発生した、そのように、私や周姉様は、理解していた。」

「その話って確か? ええっと、だからその、トテノって人が中途参加だというのは、」

「同じ論理になる、けれども、この状況を、あの時の迚野が予測出来た可能性は、やはり、ゼロ。そもそも、中途参加であることを、騙って、得する事があるだろうか、舐められたり、恨まれたりするのが、関の山、というの、に、」

「まあ、それはね。確かに私も正直面白く思わないよ。だって、ずるいじゃん。二ヶ月生き残るだけでも物凄く大変だったのに、それを免除されるような奴が居るだなんてさ。そのトテノってのがどんな人物だったのか知らないけれども、」

 ハコオロシは佐藤に一瞥を喰らわせてから続けた。

。もしも最後まで彼が生き残っていたら、その不公平が大きな問題になっただろうし。」

 佐藤は、眉を寄せつつ口では笑って、

「あなたも手厳しいですね、箱卸さん。そう虐めないで下さいよ。まあ、とにかく、通知の信頼性が毀たれる材料はこれでなくなりましたね。では、他に何が考えられるでしょうか。」

「ちょっと待って。」

 カンナに注目が集まった。

「何でしょう、鉄穴さん。」

「タバマさん、その」

霊場たまばです。験灼かな、所、『霊場れいじょう』と書き、ます。」

「……失礼。霊場さん、その話って確かなの? 別の原因で残り百人の通知が重複したって可能性は本当に無いのかな。」

 霊場は、その能面のような顔を全く動かさないまま、そのかわりの懸命な所作としてか、首を大袈裟に傾げてから、

「どういう意味、で?」

「いや、私。さっき、と言っても数時間前だけれども、一回経験したんだ。」

「何、を?」

「鏑木さんが死んでからの、そう、私の端末に佐藤以外の名前が無くなってからの話なんだけれども、私が思い巡らしの助けにしようとして端末の通信先選択画面を覗いてみたら、そこに彼女の、鏑木さんの名前が浮かんでたんだよ。」

 皆揃ってざわついた。

 それを突き破るように、綾戸が、

「何よそれ、鏑木の死はあなたが確認したと言っていたのに、息を吹き返したという事? ねえ、どういう意味? ちゃんと、死体を確認したのではなかったの? そもそ」

 突然綾戸が言葉に詰まった。俺の位置からはその表情を窺うことが出来ないが、後ろ姿から滲み出ている雰囲気から察するに、綾戸が深く動揺しているらしい。その原因は明らかで、向こうのカンナが、目とその周りを風邪を引いたように紅くつつ、透明な雫をそこらから溢し始めたのだ。顫えながら、ぐすんぐすんとしゃくり上げる彼女を前に、綾戸はますますふためき出して、

「ちょっと、な、何を泣いているのさ、めてよ、ねえ、落ち着いて、」

 カンナはずるずると鼻を鳴らしながら、なんとか漏らすように、

「私ね、さっきはぼかしてしまったけれども、私、鏑木さんを殺したんだ。彼女にそうしてくれと頼まれて。」

 相手の肩を摑まんとする勢いで身を乗り出している綾戸が、悲痛な響きの声で言う。

「なんで、また、味方殺しだなんて。その、鏑木は、瀕死の重傷でも負っていたの? まもなく死ぬような、」

 カンナはしとどに濡れた顔を振った。

「もしも、そうだったのなら、私も楽だったろうけれども、鏑木は、五体満足だったの。怪我もない、出血もない、骨折もない――私達をこんなところに連れ込んだあの忌ま忌ましいヴィールスを除けば――変な病気もない、全くの健康体。それでも彼女は、私に殺してくれと何度も懇願してきたし、ついには、私も、肯んじてしまった。この上なく大切な、彼女の首を裂いてしまった。」

「何故? 何故、その必要があったの?」

「綾戸さん、それは多分、あなたのお仲間のせい、そう、身を潜めていた私が聞き及んだところによると。あなたの仲間の、エバタさんを介抱した人が、確か、凄まじい光量を発する聖具を持っていたと思うのだけれども、違う?」

 綾戸は、いかにも居心地悪そうになり、そして自らを閉じこめるかのように両の二の腕を反対側の手で摑んでから、少々身動ぎして、ようやく応える。

「もしかして、その鏑木は、目が、」

「そう、彼女は完全に失明していた。だから彼女は絶望して、このままでは足手纏いにしかならないから殺してくれと、何度も何度も、……何度も! 私に懇願してきて、そう、そして私はそうしてしまった。

 だから、私は、彼女の首に致命傷を与えた後、その場を逃げるように立ち、いえ、駈け去ってしまったの。だから、正確な意味では、彼女の死を確かめていない。でも、最早確実でしょ? 私は彼女を殺す気だった、彼女は殺される気だった、そして、その時点ではもう、鏑木を助ける動機を持つ人間は一人も残っていなかった筈、ならば、そう、誰も彼女を介抱しなかっただろうし、彼女自身も、生き延びようとして何か悪足搔く筈がない。つまり、彼女は確かに死んだ筈。」

 言葉に詰まる綾戸に代わるようにして、佐藤が口を開いた。

「成る程、しかし、直接確認した訳ではないのですね。では、鏑木さんの死は、ほぼ確実ですが、しかし、厳密に百パーセントという訳ではない、というところですかね。」

 カンナは泣きじゃくるのに忙しくて、そして綾戸は物怖じするのに忙しくて、この佐藤の言葉はなんら反駁無しに受けいられた。しかし、だからどうしたという話でもある。盲目の、しかも突然そうなった人間が、何か俺達を騙くらかすことなど可能だろうか。やはり、ツミキはそのまま大人しく死んだという可能性が、ほぼ百パーセントだろう、少なくとも、ほぼ。

 次に発言したのはミノモだった。

「よく分からないことだらけだが、では次に、この端末、というよりはこのサバイバルにおいて、生死がどうやって判定されているかを調べるべきでないだろうか。その判定方法によっては、判定上で死んだり生き返ったりというややこしい事が起きて、僕達、というか佐藤の目が眩まされる事があり得るかもしれない。」

 俺が素直に、

「いまいち意味が分からんのだが。」

 俺は左隣の綾戸が、「この低能。」と――弱り切った声に精いっぱいの冷たさを載せつつ――呟くのを無視しながら、ミノモの言葉を聞いた。

「だからさ、ええっとまず、十中八九生死の判定はこの端末によって行われていると思うんだよ。脱着が禁止されている事、故障をしたら修理してもらえる事、そして、常時僕達に纏る唯一の物品である事、全てがそれを裏付けている。他に、僕達を何らかの手段で監視していると思しき物体がいっさい存在しないんだ。

 そうなると、例えば、この端末を脱着する事で、生死判定を切り替える事が出来るとか、そういう裏技が可能なのかもしれない。」

「成る程、しかし、どう外すんだこんなもの。がっちり手首に巻きついているし、脱着する為の機構が全く見当たらんのだがな。」

「むしろ外せたら困る。外れるようならば、生死判定に使えない。」

「なんだそりゃ、じゃあ、結局どうしようもないじゃないか。」

「この端末を製作したり僕らに取り付けたりした者は、外されることが無いように取り計らっているかもしれないが、しかし、僕らがそういう人物の想像の内に収まるとは限らない、特に、こいつだ。」

 ミノモはそう言いながら、後ろに引っ込めていた聖具、冗談のように長い庖丁を掲げて見せた。奴の両脇は、信頼しあっているのであろうハコオロシと、そんなものを目に入れている場合ではない、歔欷に溺れたままのカンナだから、大きな混乱は起きなかったが、しかし、おいおいおい、

「簑毛さん! 収めて下さい!」

 佐藤の窘めに、ミノモは気不味げな表情を浮かべつつ、大人しく従った。

「失礼。驚かすつもりはなかった。とにかく、そう、僕達の持つ聖具であれば、端末をばっさり取り外す事は可能かもしれない。ただ、身を傷つけずに、となると、聖具の種類や手段がかなり限られるだろうね。何せ、端末は金属帯によって皮膚と殆ど密着しているのだから。」

「成る程。」俺が返す。「しかしな、ミノモよ、外すのはそういう乱暴な手段で良いとして、取り付けはどうするんだ?」

「いや、それなんだけれども、確かに、困るよな。でも、まあ、少なくとも刹那的には、左手で押さえつけるとか、そういう方法がとれると思うが。」

「何だいそりゃ。そんな方法で上手くいくものかね。」

「やってみないと分からない。と言う訳で、実験してみたいのだが、流石に、我々のいま着けている聖具を外す訳にはいかないだろうね。外した瞬間にその者以外が生存者として確定してしまったらあまりにも居たたまれないし、そもそも、故意の端末破壊で失格になるかもしれない。」

「ならば、そこら辺の、死体から、ベルトを切って、もぎ取って、」

「いや、タバマさん、そうはいかないかもしれない。」

「霊場ですが、何故?」

「と、失礼、とにかく、定められたルールは『故意に端末を破壊すべからず。』というだけだ、生き死にの但し書きが無い以上、少々危険だろう。」

「そう?」と、いつしか少し気を持ち直していた綾戸。「私達は、誰かを仕留めた後は当たり前のように端末を破壊していたけれども。ほら、折角私達が握った、誰それが死んだという情報、通りすがりに知られてもつまらないじゃない。」

「君達はそんなことをやっていたのか? しかし、そういう中盤というか、平時での破壊行為は見逃されるかもしれないけれども、今の最終盤ではやるべきでないだろう。サバイバルが終わる前にも後にも、何らかの調査が行われるかもしれない。」

「終了前の調査、というのは乱暴な想像だと思うけどね。今まで死体回収や補充以外に、外の連中が私達に干渉してきた事が一度でもあったかな。で、終了後の調査なら、折角の生き残り七人から失格者を出すような真似はしないでしょう。助けられる命が一つ減ってしまうのだから。」

「いや、それは視野狭窄さ、綾戸さん。」

「何故? ミノモ、」

「この手のサバイバルが行われているのはここだけじゃない。国内数ヶ所で行われているんだ。そして、ここの終了が最後である保証はない。ならば、ここでの救命者を六人にしつつ、他の場所での被治療者枠を増やす事も出来る。」

 綾戸は少し考えてから、

「そんなことになるかな。」

「僕だって確実にこうなるとは思わないけれども、しかし、荒唐無稽な可能性とも思えない、だからこそ、死体の端末を剥ぎ取る事は避けたいんだ。しかし、出来ることであれば、実験材料としての端末が欲しい、どうしたものか。」

「ああ、いや、それなら心配しなくても良いよ。」

 綾戸は、この言葉で怪訝そうな表情になったミノモに向けて、なにやらブレザーの内から取り出したものを放り投げた。受け取ったミノモは、それを良く矯めつ眇めつしてから、

「こりゃ、端末じゃないか、しかも拘束帯が切断されたりしていない、完全な形状の。」

「うん。そう。」

「どこでこれを手に入れていたんだ? 確かに端末を得る機会は、つまり君が死や死体に接する機会はこれまで数知れずあったろうけれども、しかし、何だってこれをわざわざ入手するなんてことを、」

「ああ、それは、こいつ。」

 いきなり指さされた俺はぎょっとした。

「待て待て、何の事だ。お前のような怖ろしい奴、俺はここで会うまで知らなかったぞ。」

「私とは会った事ないかもしれないけれども、しかし、私達とは会った事あるでしょうに。ほら、緑川を殺した、というか、仕留めたのは、ひょっとするとあなた達じゃないの?」

 俺はよくよく考えてから、

細木ほそき隆也たかやって奴と一緒にいた女か?」

 綾戸は眉を顰め、口に手を翳しつつしばらく考え込んでから、ようやく得心したかのように言った。

「ああ、そう。その女子。」

 俺はこれまでに受けた揶揄いの分をやり返ししようとして、

「仲間の名前もロクに覚えてやれないとは、大所帯も大変だなあ、おい。」

「この馬鹿、話に関係ないから流そうと思っていたのだけれども、彼の名前は細木さいきと読むんだよ。それで戸惑っただけ、寧ろアンタの読み違いせいで。」

 もしかすると佐藤から何か小言を言われるかもしれないとは予測していたが、しかし、よもや綾戸から切り返されるとは思ってもみなかったので、俺はまた強か参らされた。続けてその、先程とは違う理由で顰められた、眉根の下にある脣が蠢いて、

「訳の分からない理由を持ち込んで私を、あるいは私達を貶めようとしても、そうはいかない。事実として私達は大所帯だったけれども、しかし、井戸本織彦という偉大なる人間の下に一致団結していたんだ。何も言われる筋合いはないね。」

 しかし綾戸はちょっと表情を暗くして顔を背けた。

「でもまあ、確かに、顔と名前は知っていても、一度もきちんと会話をした事のない面々が居たのは否めないね。こうなってみると、つまり一人きりになってみると、まあ、悔いがないといえば嘘になるかな。」

 佐藤が如才なく、

「綾戸さん、その、端末と緑川さんの話をしてもらえますか?」

「ああ、御免。ええっと、だから、そう、この躑躅森、あるいはその共謀者が、緑川の右手を跡形もなく破壊したんだ。……いい? だよ? つまり、右手首に縛められた端末を、すっぽ抜かす事が出来たんだ。」

 俺はあの時の光景を朧げながら思い返してみた。成る程、右か左かは正直忘れてしまったが、とにかく、その女の手に俺の攻撃が命中した記憶がある。で、そのあと彼方組の女から攻撃を受けて、

「そこまではともかくとして、」俺を置き去りにしてミノモが話し始めていた。「綾戸さん、なぜ君は、その端末を今日までずっと大事に持ち歩いていたんだ? 何かの役に立つのだろうか。」

「いんや、何にも。もともとはさ、緑川と仲の良かった絵幡がそれを遺品代わりに持っていたんだよ。そう、彼女は本当に緑川と仲が良かったんだ、その、介錯を務める程度にはね。」

 思わず顔を渋くした俺になど一瞥もくれず、ミノモの方を向いたままで綾戸は、

「絵幡はその緑川の端末をしばしばいじっていたし、また、私も少しこね回してみたけれども、基本的には何の役にも立たないね。『緑川唯: 死亡。装着者の死亡により操作出来ません。』……だっけ? とにかくそんなエラーメッセージが出ているだけで、ねえ、そうでしょ?」

 ミノモは手中のそれを少し弄ってから、

「確かに、何ら機能しないな。しかし、このメッセージも有力な情報かもしれない。そもそも、これをメッセージと呼ぶのはいかがなものだろうか。端末が体から取り外された場合、完全に正常な死亡判定が下されるのだと、解釈すべきだと思う。」

「とにかく、」霊場が出し抜けに、「ミノモ、それを、……の、言う通りに取り付けて、みるべきでは。まず、その拘束帯を、一度切り裂くか何かして。その聖具、……刀? なら、それも。容易、そして、その様な入手の都合であるならば、その端末の奪取にかかる、処罰、ないし処理は、全て今は亡きエバタにかかるべき、また、破壊についても同じように、責任を転嫁出来る筈。つまり、今からそれを切り刻んでも、罰せされる心配が。ない、」

 ミノモは、まるでそのつっかえつっかえの聞き苦しさには耐え兼ねるとでも言うように、平手を突きだしつつ派手に頷いて霊場を黙らせた。

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