21日までの話

 一つ目の話を書いて、このままだと猫の話をしただけで終わってしまうなと思った。猫が亡くなってからのあれこれについて考えられてない気がするが、まぁ、もう少し状況説明を続けよう。

 ミクは、老猫になっても割と元気な子だった。もちろん、老猫になった故に階段の昇り降りが遅くなったとか、ジャンプがしづらそうになったとか、そういうのはある。でも、老猫にしては元気だった。

 あまりいいことでは無いのだろうが、ミクは外の散歩が好きだった。リードをつけて、家の周辺を適当に歩いて帰ってくる。元気な時は突然走り出したりしていたし、かと思えば突然座り込んでいた。

 ミクは、梅雨の時期の雨の日でも散歩に行きたがった。雨に濡れてても本人(猫)はとりあえず散歩に出て、歩いて、戻ってきた。


 そんな状況が変わったのが八月頭のこと。梅雨も開けて、暑さが酷くなってきた頃。ミクはあまり外へ行きたがらなくなった。暑いし当然かと思っていたが、見るからにぐったりしている。お気に入りの場所にで一日中ずっと寝ていて時々ご飯や水を口にするために起きてくる。後には、そういったことも減り明らかに痩せていった。

 私たち家族は、ご飯を食べやすく工夫したり、ちゅーるを口元まで持っていったり、水の設置場所を増やしたりミクのお気に入りの場所近くに置いたりした。

 病院にも連れていき、点滴もしてもらった。しかしあまり状態は良くならなかった。

 それでもなんとか回復してほしいと、この夏を乗り越えてほしかったのだけど、難しかったということだ。

 8月21日の朝、美紅は風呂場で寝転がっていたので、ちょっとだけ頭を撫でてから仕事に行った。それから昼頃に美紅が死んでしまったと連絡を受けた。あの時の衝撃は、なんというか、形容しがたいものである。『家族』がしんでしまってものすごく悲しい気持ちと、やっぱりあかんだかというそんな気持ちと、こう、頭の中や胸の内が妙な感じになった。そんで昼食が殆ど食べられなかった。

 夕方帰ってきてから確認したら、風呂場で眠っていた。でも、硬くて、変な感じがした。改めてものすごく泣けてきた。長毛ゆえにふわふわであったかいんだけど、硬いんだよ。目は綺麗なんだけど、こっち見てるんだけど反応ないし、肉球も冷たい。うーん、これ、ここまで細かく書く必要あるのかな? よくわからないけど、まるで眠ってるようだった。美紅、と読んだら反応しそうな感じなんだけど、反応しないんだよ。

 そこから暫く虚無で、家事もろくにできぬまま寝て、なんとかご飯を食べて、ペット火葬をしてくれるところを探した。役所に持ってくのはなんか嫌だった。家族として、相応にちゃんと送ってあげたかった。

 唯一そういうのを反対しそうな人が身内にいたので物凄く不安だったけど、その相手はあっさりと OK してくれた。杞憂だった。

 そんなこんなで休日に火葬をしてもらうことになったのだが、そのひと出来事が、自分が色々と考えるようになったきっかけになるのだ。

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