第6話 作戦

 冴木所長を乗せたオッター号は溝呂木の運転で直ちに冴木科技験、SSTLへ帰還した。


 事務所に戻った二人は待ちかねていた他の隊員たちに囲まれる。


「どうでしたか」


 お帰りの挨拶もそこそこに問う檜山。皆も所長と溝呂木に注目している。


「うん。あれは何かあるな」


 眉間に皺を寄せて冴木がそう言うと、溝呂木もそれに同意した。


「私もそう思います。あれは何かを隠している」


 二人の反応に色めき立った檜山は手の平を拳で叩く。


「そうか! やっぱり!」


「あら、午朗さん密告電話を疑ってたんじゃなかったの?」


 檜山の発言に不思議そうな顔で問う浅川。


「あっ、いやあれは。あれはだね千紗ちゃん」


 浅川にからかわれ困惑する檜山をそのままにして、所長と溝呂木、大島と伊能姉弟が立ち話を続けた。


「アルゲンマスクに何か不備があるのは間違いないだろう、我々も躊躇などしていられないな。高度精細試験装置(HDTE)の準備をしよう。溝呂木君も大島君も手伝ってくれるね」


「わかりました」


「頑張ります!」


「ああ、それと檜山君と浅川君、それと修央みちお君は大永たいえい医器いきに動きがないか探ってもらいたい。よろしく頼むよ」


「はいっ!」

「はい」

「よろしくお願いします」


 思案を重ねる表情で冴木は呟く。


「これで彼らが動くのは間違いない。問題なのは何をどうするかだ……」

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