第27話
生徒会室跡。
神主がはたきを振る。
「こんなのってあんまりだよな」
可楽須が言う。
「だってそうだろ。見てみろよ。この青空も、平和も。誰が守ったと思ってるんだ」
「生徒たちだって、笑顔を取り戻してる。別に誰に言われたわけでもないのに自主的に校内を片付けて」
「この光景、笹咲に見せたかったよ」
「先ほど判明したことですが、エネルギーの抽出量が最高を記録したのは、あの
「シャシャシャケー! 聞こえてるかぁ~!」
飾磨のその叫び声は、高い空に吸い込まれるように消えていった。
「……」
どこか乾いた沈黙が流れ、魔王が肘でつついてきた。
「いや、そんなでかい声で言われなくても聞こえてるから。なんか俺が死んだみたいな感じになってるけど。別に明日になれば眼帯だってとれるし、いまだってぼんやりと見えてる」
「惜しいところでした。いっその事どさくさに紛れてやってしまえばよかった」
祝桜が悔しそうに言う。
「余の方はすっかり回復したというのに」
怪獣から受けた傷も癒えた魔王は、普通に制服を着て横に立っていた。
「むしろ僥倖でした。目が腫れた顔は見られたくありませんから」
二億院が手で顔を隠して言う。
「ひょっとして、二億院白空も笹咲のこと好きなのか?」
「『も』ってどういったことでしょう、『も』って! 魔王様は異世界の方でいらっしゃいますから、『も』などという発言はおかしいのではないでしょうか」
「二億院様、いい加減、正気を取り戻してください。少なくとも人前でそのようなことは言われませんように」
「何言ってんだ。オレッチの相棒だぞ」
「やれやれ。大人気だな」
「僕も考えさせられました。こんなキャラが立ったサブキャラがいままでいなかったなんて」
「こういう、無鉄砲な奴がいると話が盛り上がるし。おいしいところはボクが持っていきやすい」
散々な言われようだ。
「しょうがないから、ここはオレッチがまとめるじゃんか。シャシャシャケはブラジャスマン、オレッチがブラジャスキッド、そしてマオーはブラジャスクィーン、二億院はブラジャスウーマンに祝桜はブラジャスガール、崇蔓はブラジャスボッチャン、可楽須はブラジャスメガネ、尖はブラジャスパイパイでどうだ」
「どうだって、どういうことだ。後半明らかに雑になってるだろ」
可楽須が斜め上に伸び上がった髪を振り乱して怒鳴る。
「そ、そうですよ。パイパイとかそんなのセクハラじゃないですか」
尖が両手で胸を隠すように身を縮こませて叫ぶ。
「やれやれ、俺はブラジャスボッチャンというよりもキングブラジャスエターナルゴッドの方がよくないか?」
崇蔓は涼しそうな顔で顎に指をやりながら妙な提案をする。
「なんでお前はのってるんだ。ボクなんかメガネだぞ、メガネ! そんなヒーローいるか」
可楽須の激しい剣幕を見て、飾磨は逆だった髪を両手で掴んで顔を近づける。
「あ、くそっ! なんでレンズにおでこの脂をつけるんだ、バカか! チクショウ、政治家に圧力をかけてレンズに触れる人間が死刑になる法案を作ってやる」
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