ミステリー畑の作家さんのためか、リアリティ重視ですね。どこにでもいそうな男女の愛憎を、女性を軸に回転させた一連のシリーズです。二十年前に書かかれたということで文体や題材にはレトロ感が否めませんが、プロットも構成もしっかりしていて充足感があります。所々にミステリーのテイストがあり、トリックやどんでん返しの色が濃い作品もちらほら。ただし、ラスト一行でスパッと落ちるタイプが好みの方には向かないかも知れません。