家から
しら玉白二
第1話
厚い雲に覆われた
怪しい灰色の向こうで月が光っている
そこだけが白くもやって薄気味悪く
そこだけが星雲のように美しく
下ではまだ芽吹かない太い枝が
四方に両手を広げ伸ばし
細かい雨で黒く濡れたアスファルトは
生臭い臭いをいつまでも嗅がせる
冷たい雨が寒くて痛くて
傘を持つ手は真っ赤なのに
雲の隙間から
月が顔を出してはもらいたくなかった
それでもぼんやり光るおうし座の一等星は
それほど私を苦痛にさせず
今日はたまたま
星の巡り合わせが良かったんだろうと
友達を迎えに行く駅までの路地を
足早に歩かせる
家から しら玉白二 @pinkakapappo
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