『小さなお話し』 その128

やましん(テンパー)

『秘密基地』

  【これは、引き続き、フィクションであります。】




 地下などに、【秘密基地】というものを作るのは、人類共通の夢である。


 やましんも、小さい時代には、他人様が作った廃車置き場や、資材置き場を、秘密基地にしたものだ。


 今、考えたら、結構、危険である。


 しばらく後には、子供用トランシーバーとかの、グッズが出回るのだが、まだ、その少し前のことであり、通話できない腕時計型通信機のおもちゃで代用していた。


 声が届く範囲しか、通信できない。


 しかし、基地の規模がでっかく、中身が核弾頭とかになったとしても、本質的には、なんら、こどもの遊びとかわるものでは、なさそうである。


 教授と、その、学生は、やましん、はとさぶろ、カージンゴ、ねこママ、幸子さんを引き連れて、その秘密基地に、ついに、入ったのである。


 『まっくら。ぽ。こりゃあ、わからない、ぽ。』


 『まてまて、ぼくが、小型懐中電灯を持ってる。LEDのだから、けっこう明るいはず・。。。。。。』


 やましんさんは、何時も離さない頭陀袋をまさぐっていたが、やがて、明かりが点いた。


 まっすぐな光跡で、あまり広い範囲は照らさないが、けっこう遠くまで届くようだった。


 『安心の日本製だからね。』


 『安心ぽ、か。』


 『ここは、女王様の会社よ。優秀そのものなんだから。』


 幸子さんが威張った。


 『へぇ、ここも、弘子さんの関連会社かい。』(女王さま=弘子さん=ヘレナさん。である。)


 『TOBで買い取った見たい。』


 『お盛んなことで。この通路、ずいぶん、下に向かって下がってるな。でも、弘子さんの会社は、ごきと関わってるのかなあ、ねえ、幸子さん。』


 『それは、極秘事項です。』


 『あそ。いいや、本人から聞くから。あ、ドアがある。』


 『実は、ほんごきも、見るのは初めてごきごき。ただ、以前見た資料では、ここには、パスワードを入力するキーボードがあり、さらにごき、人間であることが確認される必要があるごきごき。やましんさん。ごきごき。』


 教授が、やましんを振り向いた。


 『はいはい、髪の毛とかで、いいのかな?』


 『ほんとうは、歯を一本抜く習慣があったらしいごきごきが、まあ、それは、だんだん緩和されたと記録にあるごき。ごき。』


 『緩和後なら、いいにゃんこ。にゃあ。にゃんか、やましんさんが必要な訳がわかったにゃん。』


 『歯はダメだよ。大事な本物なんだからさ。』


 『まあ、やってみる、かあ~~~~~~~!』


 やましんは、髪の毛を一本提供した。


 白くなってる部分も多いが、分量はわりと、まだ、豊富であった。


 『ええと、ごきごき。やましんさん、このあたり、照らしてごきさい。・・・・・・おあごき。これごき。ごき。』


 『おおわ。確かに、人類デザインぽい、きーぼどがあるじゃない。』


 これは、幸子さんである。


 幸子さんは、基本的に、元人類である。


 『パスワードは、記録にあったごきごき。ええと、入れます。『ジンルイハイダイナリ・ジンルイハサイアクナリ。サヨナラ。』と・・・・』


 『なんだ、ぽ、それは。』


 『はあ、だいぶ、ひねくれてたようだなあ。』


 『あ、手が出てきたわ。』


 そうなのだ、おそらく、左手の掌が、すいっと、現れたのである。


 『なんかくれ、という、感じで、人類っぽいにゃん。』


 『はい、髪の毛。』


 掌は、さっとやましんさんの髪の毛を掴むと、奥に引っ込んだ。


 そうして、厚さが30センチ以上はありそうな、なんらかの金属製らしき扉が、ぐあらんと、外向きに開いたのである。


 『入りごきごき。』


 教授が、そう、言ったのである。


 みんなは、その後に、付いて、入って、行った。




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『小さなお話し』 その128 やましん(テンパー) @yamashin-2

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