第19話 封印する17歳そして18歳へ。
私は、寮に戻ってから、この件に関して大泣きした覚えがない。
ただただぼーっと日々を過ごしていた気がする。
悲しむ資格がないと思ってもいた。
目標がなくなって、仕事にも身が入らないまま
生きてるのか死んでるのかさえわからない状態のまま楽しい事も、嬉しいことも、私にはなくっていいんだ、そんな事を望んじゃいけないんだと思ってた。流されるままに生きていたと思う。
そんな時に、私が在籍していた原宿のチームが
空中分解した事を聞いた。
あんな老舗のチームでも終わる時がくるんだな。
どんな事にも、必ず終わりがあるものなんだ。
そんな風にぼんやり感じたのを覚えてる。
私が、彼といる以外に唯一楽しいと思えた場所。
私はそれが永遠に続くものだとその時は思ってたはず。でも、そのどちらも今は無い。
そして、その後にはホコテンも閉鎖してしまう。
あぁ、本当に何もかもが無くなって行くんだ・・・。
周囲に心配されながら、自暴自棄になりながら
時間は確実に過ぎていって、また冬が来る頃。
私の原宿での思い出と彼の思いをぐちゃぐちゃにしてしまう事件が起こる。これはその後の人生にも
影を落とすことになる。
でもそれは、誰のせいでもなく、またしても私自身が招いた結果だった。後悔しても仕切れない。
その時に、私は彼が死んだという事実を
自分自身ではっきり受け止めたんだと思う。
その時に、彼の死を初めて理解した。
夢を持ってたはずの仕事も辞めてしまった。
その事をきっかけに、私はロックンロールも
ポニーテイルもCOOLSも、その当時にまつわる
全ての事、彼の事を心の中の箱にしまって鍵をかけた。
思い出さないように、聞かないように、見ないように。
自分のあまりにも酷い行いが、恥ずかしくて、情けなくて、汚くて。
あの時あんなに後悔したのに。
もう謝っても謝りきれない。
彼に顔向けできなくなってしまった。
もう、彼を思うことも許されない。
きっと呆れ果てたに違いない。
私がいくら謝っても、きっと伝わらないだろう。
思い出までが滅茶苦茶になってしまった。
そして、そのまま時間は過ぎていく。
自堕落という川に流されていく。
そして、もうすぐ18歳も終わる。
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