第16話 悪夢を見る17歳
その後、一体何をどうしたのか覚えていないけど
私はM君の車で彼の家に連れて行ってもらった。
多分事情を話したんだろう。
彼の家まで車で30分以上かかったはずだけど
車の中で何してたかもさっぱり覚えてない。
彼の家にはなぜかうちの近所のおばちゃんがいて
私を家の中に入れてくれた。
彼は広い茶の間に敷かれた布団に寝ていて
枕元には、御箸が刺された白いご飯があった。
なんだ、この風景。
まず、そう思った。彼のご両親はおらず、そこにはお兄さんがいた。
「お前のとこ、行くんだったんだろう?」
無表情で私にそう言った。
彼は、まだ暖かかった。
顔にいくつかの小さな傷があるだけで本当に眠っているようだった。髪はいつものリーゼントで、ポマードの香りがした。綺麗に撫で付けてあったのを鮮明に覚えてる。
布団の側にCREAM SODAの櫛があった。
なんだ、これ。
私も彼も、ここで何してるんだろう?
バイクに乗っててカーブの道で
ダンプと正面衝突したらしい。
即死だったらしい。
誰かがそんな事話してる。でもさ。暖かいじゃん?死んでないじゃん?
寝てるんじゃないの?目が覚めるんじゃないの?
一体なんだっていうんだろう?夢?
その後はどうやって帰ったかも覚えていない。
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