第14話 後悔の17歳

そんな状態で結局2週間以上が経って彼の学校は春休みに入ってた。

そしてついに、仕事帰りに私は捕まってしまった。

「ちゃんと話し聞けよ」と腕を掴む彼と「疲れてるからヤダ」と逃げようとする私。


その前に、短い時間だけど、電話では話をしてた。

仕事場にかかってきたから、居留守も使えず彼の言い分だけとりあえず聞いた。


例のオンナは、先輩と彼と後輩でナンパしたらしい。まず、彼女のいない後輩のためだったって嘘くさい言い訳。先輩の彼女も私も、日曜日が仕事だったから、退屈で遊び相手もいない彼と先輩は、暇つぶしで行っただけ。やましい事は何もないからと言い張る。 


退屈??遊び相手がいない??私のせいなわけ??



やましい事、ないって言うけどさ~。


内緒で遊びに行ってる時点で十分やましいだろ!!


ついでに仲良く写真まで撮っちゃって。

やましい事がないんなら、あの日光の時

そう言えばよかったんじゃーないのかしら?


そんな話を電話でしてて、顔見て話なんか出来るわけない。路上でもみ合ってるから、道行く人が不審そうに見ていく。


「とりあえず一回ちゃんと話し聞けよ。次、休みいつ?」


今夜話すのは諦めたらしく、彼が聞く。


「水曜。でも約束あるんだ」


答える私。でもこれ、嘘じゃなかった。


私達がいつになく険悪な状態でいると聞いて

スキマ産業の様に寄ってきたヤツがいた。

2つ上の先輩で、前にも何回か声かけられた事がある。よくない評判も聞いていたけど今回は私も相当頭にきてたのもあってお茶くらいならと返事をしてしまっていた。


すると、何故か彼が 「Mと約束?」とその先輩の名前を出した。

「なんで知ってんの?!」びっくりして思わず言ってしまった。

しまった!と思ったけどもう遅い。


「何時にどこで?」 彼の顔つきが変わる。

腕を掴む手に力が加わる。マジだ・・・。

私も答えなきゃいいものを・・・彼の勢いに押されて「10時に西口・・・」と答えてしまった。


彼は乱暴に掴んだ腕を放すと「行かせねーから」 とだけ言った。

このコは本当に私をよくわかってた。

この時もし、彼が「行くな」と一言でも言えば

ひどい言い争いになってたに違いない。

そして、意地でも行ってやる!って私は思う。

取り返しがつかなくなるのが目に見えてる。


言葉じゃなくて、行動で表す。


へそ曲がり真っ最中の天邪鬼の私には

言葉をいくつ並べたって通用しないって

彼は一番良くわかってた。


だけどこの日だけは、取り返しがつかなくなっても

「行くな」って言ってくれたらよかった。

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