第12話 疑惑の17歳

年が明けた頃から、私は仕事が忙しくなってきた。

私の仕事は技術職で資格が必要だったから、

取得のため勉強しなくちゃいけない。

仕事終わってから講習うけたりで毎日ヘトヘト。

学校辞めて、社会人になったのに、また勉強するなんて有り得ない!!

でも私、その仕事好きだったし、将来の夢ってのも

とりあえずあったから、勉強はしましたよ、必死で。仕事は拘束時間が長い、しかも終わってから勉強会。同級生がみんな、デートだ、スキーだ、旅行だって言ってるのを横目で見ながら頑張った。


だから仕事終わって先輩に迎えに来てもらっても、車に乗るとすぐ眠くなっちゃって、遊びに行くどころじゃあなかった。

あの頃はいっつも車で寝てて、寮の前で起こされる始末。高校生の彼とは、休みが一緒じゃないから

もうこの位しか一緒に居る時間もなかったのに。


ついでに、家を出たせいで交友関係も広がって来てたし彼と会ってばかりの毎日じゃなくなりつつもあった。まぁ、学校卒業したら毎日一緒だから。

今は忙しいから仕方ないけど、頑張るねって

お互い納得してしてたはず・・・だったんだけど。


そんな感じで一ヶ月くらい過ぎた頃だったかな。

たまたま日曜日に休みがもらえて

先輩と彼と日光にドライブに行くことに。久々のデェトだ!

先輩の彼女はデパガなんで、日曜日のその日は当然出勤。女の子は私だけだったので、一人で後部座席占領してたらとある物を発見した。


小さな青いマニキュアの瓶。


先輩の彼女はデパガ。青いマニキュアなんてしない。第一マニキュアしてんのなんて見たことない。

当然、私のでもない。


「ねぇ、コレ落ちてたけど・・・。」


運転席と助手席の間に、そのブツを差し出してみせる。

その時、後姿の男達の背中が、ほんの一瞬だけど

強張ったのを私は見逃さなかった。


「あっれぇ~?何で落ちてんだろうねぇ?」


白々しく先輩が言う。


「Kちゃん(先輩の彼女)のじゃないよね?

見つかると厄介なんじゃないのー?」


と茶化して私が言う。 無言の彼。


後に解るが、そりゃー、無言にもなりますわ。


まぁ、先輩が彼女以外の女のコ乗せることもあるよね。そんな事は私がとやかく言うことじゃないしな

と、その時はそう考えた。

でも、さっきの一瞬の緊張はなんだったんだろうねー?

なんか釈然としないままその日は遊んで帰り・・・

後日、その時撮った写真が出来てきたってことで

先輩の家に見せてもらいに行った。

写真屋さんでくれる、紙の表紙の小さなアルバムに

あの日の写真が何枚も収めてあった。

雪の残るいろは坂、華厳の滝、先輩の車、私と彼 etc

そして、そのアルバムの、一番最後にそれはあった。


裏返しにされた数枚が、一箇所のホルダーに挿んであった。

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