第10話 自由を掴む17歳

戸惑ってる間になんと彼は玄関のチャイム鳴らす。

待って!心の準備が!


足音がしてドアが開いた。


うぅ!!殴られる!!!

目を瞑って、歯を食いしばる。・・・・が。

予想に反してドアを開けたのはかーちゃんだった。

思いっきりの呆れ顔、あはははは。

誰と居たかは大体予想はついてたみたいだった。


彼のお兄さんが、うちの父親と同じ会社で働いてた時期があって、話もしてたらしいし、彼との事は薄々知っていた。

彼はしょっちゅう家に電話かけてきていたし。

すぐさまとーちゃんを呼ぶ。すげー形相でやってくる鬼父(爆)


殴られなかったけど、すぐ自分の部屋へ行くように言われかーちゃんには出て行かないよう見張っとけと。そして、彼はとーちゃんと話をしてた。


すごーく長い時間に感じて、心臓が飛び出しそうなくらいずっとどきどきしてた。頼むから彼を殴ったりしないでよ!

どのくらいの時間がたったかな。

遠くで車のエンジンの音が聞こえて彼が帰ったのが解った。とーちゃんも会社に出かけてったみたいだ。

かーちゃんが

「今夜、パパが帰ってきたら話しをするから今日は家にいなさい」

彼はとりあえずは殴られず、話をして帰って行ったらしい。

窓からの脱出劇は、ご近所さんに何度も目撃されててとってもご親切なご近所さんは、私が出てった後にわざわざ我が家に教えてに来てくれたらしい。


どーもありがとうね、ご近所さん。


いつか火炎瓶放り込んでやるからな!

と、その時は本気で思ったよ・・・。


私、学校はとっくに行ってなかったから

その日はバイト休んで家にいる事になった。

夜までの時間が永遠くらいに感じられて

彼に電話もしたいし、居てもたってもいられない心境。何をやっても落ち着かない。頭が変になりそうだった。出かけようとすればかーちゃんから


「頼むから今日は家にいて。ママが怒られちゃうから」


と懇願される。

早く夜になれ!もう教護院でもなんでも来い!

そんな気持ちになった。 待て、その前に火炎瓶だ!

なんか・・・・

内容が「積み木くずし」っぽくなってきたぞ(汗)

オカシイなぁ・・・あはは。


まぁ、いいや。


今になって考えると、夜間徘徊くらいで教護院なんか入れられないって解るんだけど、その頃は事ある毎に鑑別所だの教護院だのって親に言われてたから

そんなもんかと思ってた。


そんな風にイライラして一日を過ごし夜を向かえた。PM8:00父帰宅。リビングに呼ばれる。


私の顔を見るなり、鬼の形相で


「貴様はゆうべどこに行ってたんだ!!」


貴様ときたよ・・・。 同期のサクラじゃないんだっつーの。

でも珍しく殴んないね?ヨカッタヨカッタ。

殴られると頭に血が上るけど、そうじゃない時は

結構冷静だから、じっと話を聞く振りをする。


「一緒に居たのは○○のとこの次男坊だろうが!

親の目ぇ盗んでコソコソしやがってお前らは!!

近所の人がなんて言ってるかしってるのか!

みっともない!子供のクセに!何考えてんだ一体!

○○んとこに、うちの娘連れ出すなって言ってやる!」


罵詈雑言とゆーのか、なんとゆーのか

大体こんな感じで、散々に怒鳴られたけど、右から左に聞き流す。

だけど、ある一言だけ私は聞き逃さなかった。


「出て行け」


今までうちの親が絶対言わなかった言葉だ。

「軟禁」までする勢いの親がついに漏らした一言。

やった!!家を出られる!!

「うん」 即答する私。

すると敵は 「今すぐ出て行け!!」

そう来たか。でも、ここでひるむわけにはいかない。

時代錯誤な親に振り回されるのはもうたくさんだよー。アカンベーw

私は黙って立ち上がって玄関に向かう。

私を止めるかーちゃんを、これまた止めるとーちゃん。「勝手にしろ!2度と帰ってくるな!」


そして、そのまま2度と親と暮らす事はないまま

現在に至ってます。 軽く20年以上は経ってるね。

今でもゆう、毒親の典型でしたね。


これが、私の手に入れた初めての自由。


それまでは何度も家出して連れ戻されの繰り返し。

今度はそっちが出て行けっていったんだよね?

もう、連れ戻しに来たりしないんだよね?

家を出た所で思わずガッツポーズ!!

とりあえず友人宅に走ったのだった。


心配だったのは、うちの親が彼んちに文句言いに

行くんじゃないかって事。それだけだった。



その後、親とは和解します。


あんまり遠くないうちにね。

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