第7話 恋と涙の17歳
そんなこんなで出発したセリカとローレル。
阿字ヶ浦まで抜き抜かれつ走り続ける。
・・・中森明菜聞きながら←自業自得
でも、セリカに乗ってる彼は、信号待ちなんかで
車が並んでも絶対こっちを見ようとしない。ムカッ。
先輩達には早く仲直りしろってせっつかれるし。
でも、もう私は彼の事気にするのも疲れてきた。
だって、あっちですごく楽しそうにしている。
きっと運転したがってるんだろう。
家の工場内ではよく運転してたもんな。当然同乗してたけど。
良い子の皆さんは真似しちゃいけませーん(汗)
リアシートでウトウトしながら明菜ちゃんの歌聞きつつ
「これで終わっちゃうのかなぁ・・・」
「そういえば赤いバラ持って迎えにくるっつったのに!」
「結局こないままだったじゃんか!ちっ!!ウソツキ!」
COOLSの恋のテディボーイの歌詞です。感化されすぎ。
COOLSが唄うような恋にあこがれた17歳。
まだまだ子供だった。
そして車は海岸駐車場に到着。
潮の香りと波の音、黒い海に白い飛沫。
潮風をまともに受けて一気に目が覚める。
ここは割りと夏の夜でも人がいない、穴場だったりした。これまでにも何回か来てて、夜中にツイスト大会した事もある。朝方になるとサーファー達もやってくる。
持ってきた花火やったり、波打ち際で遊んだりしてたらセリカが砂浜際に移動してきた。
なんと彼が運転してるじゃん!!
しかも、まだ無免許だろ!!
昼間やってる海の家で、真横までは車が入れるようにかろうじて道路になってる場所がある。
そこにエンジンかけたまま停車、ヘッドライトこっちに向けて運転席からじっとこっちを見てる彼。
遠目からでも解るあんな真剣な顔は
今まで見たことない。ふうん。そんな顔もできるんじゃん。
「行ってきなよ」って先輩に背中を押される。
濡れた足に砂が絡み付いて上手く歩けない。
でも、今行って話さないと、きっとダメになる。
いや、行っても別れ話かもしれないし。
心の中でいろんなことがぐるぐると渦を巻いて泣きそうになる。
話をしなきゃ・・・でも行きたくない・・・
走り出す気持ちと裏腹に、ゆっくり、ゆっくり歩いて助手席へ。ドア開けた瞬間
「なにそれ。男みてぇなアタマ」
「!!!!」
そのままドア閉めてやろーかと思いましたから!マジで!!!
でも
「いいじゃん。似合ってんじゃん??」
いつもの調子で笑いながら言うから、
私は泣き笑いしながら、涙が止まらなくなってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます