第4話 多感な17歳

彼はリーゼントはしてたけど、踊りに行ったり

原宿にたむろしたりするタイプのコじゃなかった。

家の商売柄もあって、車とバイクが本当に大好き。

でも暴走族って感じではなく、どちらかといえば

エンジニア気質?ツナギの似合う男の子だった。


今ならチョッパーとか転がしてただろう。


私達は、よく彼の家に修理に出された車に、夜な夜な忍び込んでは音楽聴いたりおしゃべりしたりしてた。今みたいに、高校生が気軽に遊びに行けるような場所もなかったし。

※良い子の皆さんは真似しちゃいけませんよ(笑)


そんなある時、彼が私に、もう原宿で踊らないのかって聞いてきた。

以前から話題には出てたんだけど、どーせ財布買ってきて、とかそんな話だと思ってたから気にしてなかったんだけど。

この時まさしく17歳。私が原宿で踊り始めたのは13歳。4年近くも通ってると、裏事情とかにも精通してくるし、私はチームを渡り歩くタイプでもなかったから、最初のチームと、その時所属していたチームの2つだけしか知らなかったけど、はっきり言ってチーム内の「馴れ合い」に飽きてもきてた。


ただ、やっぱりロックンロールが大好きなのは変わってなかった。


雑誌やテレビに出るのはそれなりに嬉しくもあったけど、なんか違和感も感じつつ、自分の望んでたものとは、ちょっと違うんじゃないかなと、小さな棘が胸をチクチクしていた頃だった。

踊りに行くのは辞めてもいいかな?でもチームの仲間とは会いたいな。

原宿駅を竹下口で降りた時に見える、カラフルな金魚みたいなリボンの海とポマードの匂いが大好きだった。








原宿に行かなくてもロックンロールが好きなのは


変わんないじゃん?なんでそんなにこだわるんだろう??


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る