第3話 夢見る17歳
17歳とは言ってるものの実際、この時は私も彼も16歳。 お互い早生まれだったものですからね。
で、例の告白事件。
後で聞いたら、あまりにも周囲が焦れてしまって
先輩にうちの前で車から降ろされちゃったってことで、引き返せない状況になってしまったらしい。
ただね。
私、彼に面と向かって「好き」って言われたの
それが最初で最後になってしまった。
だから、押してくれた先輩には感謝しなきゃいけないね。
その後もこの先輩は、私達をよく愛車のセリカLBで
海や山へ連れて行ってくれた。
彼の事件があった後は、心配してくれて仕事先まで半年くらい毎晩迎えに来てくれて、部屋の電気がつくまで見届けてくれてた。
今ではきっといいお父さんだろうね。元気かな。
で、話は戻って。
あの夜の告白がきっかけとなり、私達はなんとなく付き合うことに。
私も前の彼氏とはもう終わってたし、彼が私を好きだったのは私以外はみんな知ってる状況だったらしく、周囲からは祝福ムード。ちょっと嬉しいよね、こうゆうの。
もう原宿にもほとんど行かなくなってた頃だったけどモチロン、彼と私はポニーテイルにリーゼント。
決してすごくキマってた2人じゃなかったし
どちらかといえばダサかったかもしれないけど
それでも私達は毎日楽しかった。
男の子と付き合うって事を実感した。
彼氏がいるってこんな感じだったんだなーって。
毎日夢の様な話ばっかりしてて、こんな時間がずーっと続くんだと思ってたあの頃。
小さな喧嘩はしょっちゅうあったけど
私が一番好きだったのは彼の「絶対ひかない」ってとこ。すねて怒って、2度と会わない、もう別れるって、いくら私が言っても、絶対うんとは言わないコだった。
私の天邪鬼をしっかり見抜いてた。
だから、いくら喧嘩の後でも約束してたら絶対くるコ。
一歩間違えたら、今ならストーカーなんだけどね。
で、結局元通りになっちゃうから、周囲からは
「あいつらまたモメてるわー」とバカにされっぱなし。
唄のうまいコだったからね、よくCOOLS唄ってくれたんだけど「愛してるなら」の「すねていないでこっちを向いて~」って歌詞で誤魔化されてたアホな私。
※興味持たれた方はYouTubeで検索してみてくださいね。
あの頃は、聞きすぎて伸びかけたCOOLSのカセットテープとCREAM SODAの櫛がいつも傍らにあった。
この前、そのコーム数十年ぶりにちゃんと見た。
もう涙は出なかった。
いつかきちんとした自分になって会いにいけたら
その時に置いてこようと思ってる。
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