卒業間近

5年生

僕たちは5年生に進級しクラス名簿を見ていた。僕と琴里は同じクラスだったが香緒莉とは別のクラスとなった。僕はため息をついていると琴里が寄ってきた。

琴里は翔ちゃん同じクラスなのが私でゴメンね。ホントは私じゃなくて香緒莉と同じクラスがよかったでしょ?僕はそんなことは絶対にない。2人ともいなかったら寂しいしむしろ琴里がいてくれてよかった。

琴里は翔ちゃんってホント優しいね。5年生になったら林間学校があるみたいだから一緒の班になれたらいいねと話していた。私も香緒莉に可愛くて華のある女の子だったらよかったのにな。

僕は香緒莉も琴里も2人とも可愛くて女の子の鑑(かがみ)だと思うけどな。こういう言葉聞いたことない?琴里はどんな言葉?

僕は勝るとも劣らない。2人とも美人で可愛くて傍から見たらなんであんな男がこんな可愛い女の子と喋っているんだって思うよ。琴里は思わず上手いこと言うね。でも翔ちゃんが好きなのは私じゃなくて香緒莉でしょ?僕はその好きってどういう意味?

琴里は好きって1人の女の子としてだよ。私も男の子だったら香緒莉のこと好きになってると思うよ。

僕は藪から棒に何を言い出すの……。

琴里は別に翔ちゃんが香緒莉のこと好きになって付き合っても私は2人の邪魔はしないよ。その代わり私とも今まで通り仲良くしてよね。僕は香緒莉と付き合うか〜、考えたこともなかったな。

琴里は互いに漫画の登場人物に出すぐらいだからきっと大好きなんだよ。翔ちゃんがホントに香緒莉のことが好きで付き合いたいって思うならちゃんと口にして伝えないとダメだよ。

僕は確かにそうだね。自分が香緒莉のこと好きなのか考えてみるね。香緒莉はどう思ってるんだろう。僕は明日の部活帰りにも聞こうかなと考えた。

ある日の授業後、いつものように3人で歩いていた。小学生漫画コンテストで受賞した僕、琴里、香緒莉は学校のみならず近所の人からも声をかけられる機会が増えた。

香緒莉は僕と小鳥遊さんにちょっと神社に行こうと声をかけた。僕と小鳥遊さんはうんいいよ。神社に向かった。

僕は香緒莉に尋ねた。話ってなに?香緒莉は私たちスゴい注目されて漫画にしても美術展に出す作品にしてももっといい作品を描かないとっていうプレッシャーに押しつぶされそうで。琴里は提案した。

香緒莉、私はいつでも友達だし困ったら相談に乗るよ。でもそれ以上に好きな人が傍にいた方がいいんじゃないかな?好きな人とかいないの?

香緒莉は好きな人ね。考えたこともなかった。琴里は香緒莉ってどういう男の子がタイプなの?香緒莉はどんな時でも味方で私の事を考えてくれる人かな。例えば翔ちゃんみたいな。琴里はどうなの?

琴里は私か〜、正直頭がよくて勉強が出来てスポーツが上手くてっていう人よりも出来なくても一生懸命頑張っているような可愛い男の子かな。

香緒莉は先に切り出した。じゃあ琴里が好きなのは翔ちゃんだね。絵を描くことに関しては私たちよりも抜きん出てると思う。他の科目や体育の競技をやっても見ていられない所があると思う。

僕は思わず香緒莉はそんなこと思っていたの?自他ともに認める運動音痴で勉強が出来るわけでもないからね。

香緒莉はだからこそ転校生だった私や琴里に優しく接してくれたんでしょ?あの時翔ちゃんがいなかったらと思うと今頃どうなっていたんだろうって思うよ。

琴里も続くようにそうだよ同じ境遇の香緒莉がいてくれた、それ以上に翔ちゃんに出会えてよかった。正直言うね、私は翔ちゃんのことが好きなの。その気持ちはきっと香緒莉も一緒だよ。私と香緒莉どっちと付き合いたい?1人の女の子として。

僕は2人にそんなこと決められないよ、香緒莉と琴里を天秤にかけるなんて出来ない。2人とも大事な友達だしこんな可愛い女の子と付き合うなんて今の僕には出来ないよ。

琴里は翔ちゃん、1つ聞いてもいい?もし私がまた転校するってなったら私の事はパサッと切って香緒莉と付き合うの?

僕はそれはその時にならないと分からないけど仮にどちらかが転校して付き合うってなってももう1人のことを切ったりしない。イヤって言われたのならば仕方がないけど僕からは絶対にそんなことはしないよ。勝手にこの3人は絆で繋がっていると思っているからさ。

香緒莉は思わず絆ね、確かにそうだね。私も翔ちゃん、琴里の事が大好きだしこの2人だからこそ言えることもあるからさ。

琴里は香緒莉や翔ちゃんがいなかったらどうなっていたんだろう。名前が小鳥遊琴里だから男の子から小鳥が2匹遊んでいるって言われた時に2人がいなかったら誰に相談していたのかな。相談せずに家に引きこもって学校に行けなかったかも知れないって考えたら奇跡だと思うし絆だと思うな。

僕は今のところどちらかと付き合うつもりはない。3人で仲良くしようと香緒莉と琴里に伝えた。


班決め、林間学校

僕たちのクラスは男子19人、女子17人と男女共に奇数で前年までは林間学校の宿泊はロッジのベットで寝ていたがこの年からは自分たちでテントを張ってその中で寝ることになった。飯盒炊爨での火起こす役、ご飯をよそう役、テーブルに並べる役等クラス単位でそれぞれ決めなくてはならなかった。

僕は自分たちで飯盒炊爨って自然の中だからより一層美味しく食べられるんたような。クラスメイトの男の子が僕に声をかけてきた。林間学校だけど飯盒炊爨を食べた後に男女でフォークダンスするんだって、どの子と手を繋いでフォークダンスしたいとかあるの?僕は地味だしまともに女の子が相手してくれないと思うから1人で踊ることになるよ。

男の子はそんな事言うなよ。萩原とフォークダンスしたいっていう女の子いると思うよ。でもこのクラスは男女共に奇数だからどうなるか分からないけどね。

飯盒炊爨の班を決めた後に男女で行うフォークダンスのペアを決めることになった。担任の先生から公平を期すためにくじ引きで決められることになった。僕はクジを引くと7、琴里もまたクジを引くと7で僕が席に戻ろうとした。すると琴里はフォークダンス一緒に手を繋いで踊れるね。よろしくねと目を見て言った。僕は琴里よろしくね。

次にテントで寝る人たちを決めようと思う。琴里は手を挙げて男女1人ずつ余ります。私は萩原君と同じテントで寝ますと先生に伝えた。

担任の先生は小鳥遊はこう言っているが萩原が賛同するなら後は男女それぞれまたクジ引きをするけどどうする?

僕は小鳥遊さんの意見に賛同します。いかがわしいことは絶対にしないことを神に誓います。担任の先生はそうか、でも念の為見回りするからその時に何かしていたら反省文だからな。僕は分かりました、

林間学校の班決め、フォークダンスとテントで寝る人たちとそれぞれ決まった。

僕は琴里のもとに駆け寄った。琴里は翔ちゃんどうしたの?僕はどうしたもこうしたもないよ。フォークダンスだけならまだしも思春期なのに同じテントで寝るってそれってどうなの?琴里は反論した。このクラスは男女共に奇数だから人が余るでしょ?ならばと思って先に手を打ったよ。

僕はなるほどね、でもホントに僕でよかったの?

琴里は他の男の子だったらどんな子か分からないし何をされるか怖くて。それだったら信頼出来る翔ちゃんがいいなっていう話だよ。僕は琴里に言った。僕も男だしテントの中で一線を超える可能性もあるよ。琴里は僕の目を見てじゃあテントの中で一線を超える?

僕は琴里何言ってるの。そんなことして先生に見つかったら反省文だよ。琴里は翔ちゃんゴメンね、揶揄(からか)うとかじゃなくて林間学校楽しみだな。僕はありがとう、その気持ちは一緒だよ。

授業後、美術室に行くと琴里は香緒莉にそのことを伝えた。

香緒莉は翔ちゃんと一緒琴里羨ましい。翔ちゃんの事だからフォークダンスしてる時に顔を真っ赤にしてダンスしてそう。その後テントで一緒に寝るんでしょ?翔ちゃん琴里に緊張して寝れないかもね。

僕は香緒莉に言った。男女奇数だから1人ずつ余るとはいえ琴里が僕の名前を指名した時には驚いたよ。琴里はフォークダンスはくじ引きでまたまた同じ番号で引き当てたけれど全く知らない男の子と同じテントで寝るなんて出来ないよ。

香緒莉はもし私が琴里の立場だったとしても同じ様に翔ちゃんを選んでいるかな。知らない男の子というよりも心を許している翔ちゃんとの方がいいな。

僕は色々あって琴里とテントで寝ることになったけれど担任の先生からいかがわしいことをしたら反省文書かせることを条件になっているからさ。

香緒莉は先生からすると男女で同じテントで寝るってことは万が一の為にって事だよね。琴里、一緒にいてどうだったかのかをまた教えてね。琴里はうん分かった。翔ちゃんがどんな顔をするのか楽しみ。

3人で話していると佐藤先生がやって来た。今から職員会議が入って時間がかかりそうだから今日の部活はなしで。3人とも気をつけて帰るように。

琴里は1週間前だが林間学校が楽しみでルンルンだった。


林間学校

1週間後、美濃町小学校は1泊2日で林間学校に行く為に学校からバスに乗り少年自然の家に向かった。

バスの中では飯盒炊爨が楽しみ、男の子はフォークダンスで女の子と手を繋げるなんて楽しみとクラスのみんなが林間学校が楽しみなんだなと感じた。

林間学校が楽しみなのは僕、そしてバスの隣に座る琴里もそうだった。翔ちゃん、林間学校楽しみだね。僕は男として琴里が困っていたら助けないと。

バスは少年自然の家に到着して1度荷物をロッジに置いた。

その後僕たち生徒一同は自然の家の奥に入り一通りの説明を受けた。まず午前中は自然にある物で写生大会が行わることになり紙と色鉛筆が人数分配布された。

僕と琴里は山を散策していると香緒莉が声をかけてきてせっかくなら3人で絵を描こうと誘った。琴里はいいよ3人で描こうよ。

僕は携帯用よ虫除けスプレーを取り出して琴里、香緒莉ともスプレーかけた方がいいよ。香緒莉はありがとうと手足にスプレーをかけた。琴里は翔ちゃん女子力高すぎでしょ。私たち以上に女の子みたい。

僕は何を描こうかなと周りを見渡していた。

香緒莉はスズメを見つけて可愛い。私はあのスズメ描くことにするよ。琴里と翔ちゃんはどうする?

琴里は私もあのスズメ描こうかな。翔ちゃんも一緒に描こうよ。僕は2人がスズメを描くならそうしようかなと3人で描くことにした。

写生大会は2時間予定されていたが僕たちは1時間で仕上げて先生に提出した。

僕は時間までどうしたらいいか尋ねた。散策していてもいいしベンチで座ってお喋りしていてもいいしていても好きにしていていいよ。時間近づいたら集まってくれれば後は任せるよ。

琴里は集合場所の近くにあるベンチを見つけてここに座ってお喋りしようと3人で座った。香緒莉は林間学校では琴里と翔ちゃんと楽しくお喋りしてって出来るのは写生大会だけなんだよね。

僕はこの後の予定ってどうなっているんだっけ?

琴里は翔ちゃんしおり読んでないの?この後はお昼ご飯を食べてから各クラスでレクレーションして飯盒炊爨で晩御飯を食べてからキャンプファイヤーとフォークダンス、そしてテントを自分たちで張ってという流れだよ。

3人で話していると集合場所には徐々に人が集まってきて僕はじゃあそろそろ行こうかと集合場所に向かった。

全員が集まりクラス単位で焼きそばが振る舞われ、自然の中で食べるとより一層美味しく感じた。

クラス対抗のレクレーションを行い僕は今まで話したことのない男の子や女の子と話した。僕は横目で琴里を見るとスゴい笑顔で可愛いなと思っていた。

日没となり、飯盒炊爨の準備に取りかかった。僕と琴里は薪を取りに行き火を起こしていた。

ご飯とカレーが炊きあがるの待っている間に僕は使い捨ての紙皿と割り箸、各テーブルに置かれた紙コップにお茶を入れて待っていた。

30分後、ご飯が炊きあがったのを確認して僕は人数分のご飯をよそいカレーをかけて食べた。琴里はみんなで作るご飯は美味しいね。次のキャンプファイヤー、フォークダンス楽しみだねと話していた。

みんながご飯を食べ終わり生徒たちが飯盒炊爨の片付けをしている間、先生たちはキャンプファイヤーの準備に取りかかっていた。

片付けを終えて準備をしていると先生から整列するよう言われて場所を移した。クラスの何人か代表で火の舞を披露しているのを見て感動していた。

キャンプファイヤーが終わり、フォークダンスの時間となり男の子も女の子も楽しみな時間になった。

そして男女が横に並んで音楽が流れた。僕は琴里の手を軽く添えた。手を繋いでフォークダンスを踊った。僕は琴里を見るとニコッと笑った。その姿を見て僕は可愛い、ずっとこの時間が続けばいいな。

音楽が止まりフォークダンスは終わった。時刻は午後8時半、それぞれの寝るテント為のテントの設計図が配られた。琴里は設計図を見て目が点になった。僕は琴里を見て組み立てやるから琴里は釘やテントを支えていて欲しいと伝えた。

僕はテントを組み立てる為に四隅を釘を打ち琴里に手伝ってもらいつつテントを組み立てていった。開始すること1時間、僕は何とかテントを完成させた。琴里、テント出来るの遅くなってゴメンね。

琴里はそんな事ないよ。私1人だったら絶対にテント組み立てられなかったからさ。

僕はじゃあテントの中に入ろうかと2人で入った。琴里は僕の手を繋いで翔ちゃんの男の子っぽい所初めて見たよ。僕はさっきのフォークダンスで琴里がニコッと笑っていて可愛かったよ。琴里はテントって薄暗くて怖いね。寝る時に手を繋いで寝てよ。

僕は手を繋いで寝るって……。でも顔は見ないようにするね。琴里はえっ、どうして?私の事イヤなの?琴里の寝顔見ていたら欲情するから絶対ダメ。

琴里は私、翔ちゃんならいいよと首を傾けて言った。僕は動揺して琴里何言ってるのと大きな声で言った。すると足音が聞こえ、見回りの先生がやって来てそれぞれのテントに消灯時間だから寝るようにと伝え回っていた。

担任の先生は僕に約束はちゃんと守るように。守らなかったら分かっているな?僕はもちろん分かってます。僕から何かすることは決してありません。そして担任の先生はテントを出た。

琴里は満面の笑みで僕を見つめた。僕は琴里に笑顔でどうしたの?琴里は今の翔ちゃんが私に何かしたら反省文って事でしょ?っていう事は私が翔ちゃんにする分には問題ないよね。

僕はそういう問題じゃないと思うよ。もう眠いから寝るねと琴里の手を繋いで横になった。琴里は安心したかのように眼を閉じた。

僕も琴里が寝たしじゃあ寝ようかなと眼を閉じようとするが全く眠れない。琴里が可愛すぎて寝られない、こうなったら家に帰ったらちゃんと寝よう。この日はとりあえず疲れを取るために眼を閉じた。

翌朝、琴里は目を覚ました。寝ている間ずっと手を繋いでいてくれたんだ。先生が各テントに起こしに来た。僕は知らない間に熟睡していた。琴里は翔ちゃん早く起きてと何度も起こした。

5度目でやっと僕は意識が戻った。琴里は翔ちゃんやっと起きたね。僕は寝てた?琴里が隣で寝てる姿を見て中々寝られずにいてさ。琴里はそっか、ずっと手を繋いでいてくれてありがとう。先生がテントを畳んで集まるようにだって。

僕はじゃあ早く畳まないとね。琴里も手伝ってねと2人で片付けていた。僕は琴里に帰りのバスで寝るからその時は手を繋がないからね。琴里は分かった、学校に近づいたらまた起こすからゆっくり寝てね。

1時間後、テントをたたみ終わり集合場所に集まった。荷物を持って僕たちはバスに乗った。僕は琴里におやすみと告げて学校に戻った。学校に着く直前、琴里は僕の手を添えて耳元で「翔ちゃん起きて」と囁(ささや)いた。僕はなんで起こすの?そんな手を添えて耳元で囁かれたらドキッとするでしょ。琴里は翔ちゃん可愛い。ドキッとした?僕はそれで起こした理由はなに?

琴里はなんでって学校着いたら起こしてって翔ちゃん言ってたでしょ?もうすぐ着くから起こさないとなって思ったのにそんな言い方しなくても。

僕は琴里ゴメンね。学校着いたら起こしてって言ったのにそんないい方しちゃってゴメンね。家に帰る時はいつもように香緒莉と3人で帰ろうね。

学校に着き、解散となり3人で帰っている時に琴里は香緒莉にフォークダンスやテントでの話をした。


卒業制作

6年生になる時の春休み、部活に行く為に3人で学校に向かっていた。美術展に行くと佐藤先生が待っていた。萩原君、姫川さん、小鳥遊さんおはよう。今日は少し気が早いけど卒業制作で何か作るの物を考えようかなって。

僕はそうか6年生なるってことは運動会にしても最後になるのか。卒業制作なに作る?

琴里は先生、どういう物を作ったらよろしいですか?佐藤先生は特に決まりはないよ。

香緒莉はせっかくなら3人で1つの物を作ろうよ。僕は何を作ろう、香緒莉と琴里は何かいい案ある?

香緒莉は3人の彫刻を作るのはどうかな?琴里は出来るか分からないけれどこの前漫画コンテストで描いたキャラクターを彫刻でするのはどうかな?

僕は佐藤先生に2人とも彫刻を考えてますが彫刻でも大丈夫ですか?佐藤先生はいいよ。何か必要な物があれば用意するね。

僕と香緒莉はじゃあまず紙に下地としてキャラクターを描いていた。僕はつむぎちゃん、香緒莉はパンクシーの絵を描いて琴里に見せた。このままでもいいけどつむぎちゃんにリボン、パンクシーには何か棒を持たせた方がもっと可愛くなると思うよ。

僕は香緒莉にとりあえず1回描いてみようと僕は自由帳の1冊を香緒莉に渡してそれぞれ自由帳で描いてみた。

僕と香緒莉は琴里に見せた。琴里は翔ちゃんも香緒莉もやっぱり絵が上手いね。つむぎちゃんもパンクシーもこっちの方が可愛いよ。僕はじゃあこれをもとに制作しようとなった、

春休みの間、彫刻の制作が始まった。

春休みが終わり、6年生のクラスは3人とも同じクラスになった。琴里は香緒莉、翔ちゃんと同じクラスになれて嬉しい。最後の思い出を3人で作ろうと話した。そして話は終始卒業制作に向けてどうするかの話が多かった。


夏休み

香緒莉はもう1学期終わったのか、早いね。僕は2学期は学芸会あったり、修学旅行があったりと行事がめじろうしだよね。夏休みの期間に彫刻を少しでも進めばいいねと3人で話していた。

佐藤先生から夏休みに彫刻が完成したらタイトルを付けて提出するからね。

琴里は僕と香緒莉になんでも言ってね。私は絵を描いてないから出来ることは手伝うよ。香緒莉はそんな事ないよ、このパンクシーのアイデアくれたのは琴里でしょ。みんなで頑張って作ろうね。

7月が終わり、8月のお盆の時期が迫っていた。僕は夏休み時間があれば3人でどこか行こうと誘った。香緒莉と琴里は翔ちゃんが誘ってくれるなんて珍しいね。僕はまず彫刻を完成させてからだよと伝えた。

そしてお盆明け、僕たちは彫刻制作を再開した。毎日のように学校に行って取りかかりやっと完成させた。夏休みが終わる前日の8月30日に完成させたがタイトルを考えていた。琴里はタイトル考えるね。

「パンクシーとつむぎちゃんの道しるべ」

やっぱりタイトル長いかな?僕はいいと思うよ。香緒莉はどう思う?私もいいと思うよ。佐藤先生に彫刻とタイトルを書いた紙を渡した。

佐藤先生は3人と2つの彫刻と共に写真を撮った。続け様にこの作品を美術展に提出してもいいかな?終わったら返してもらうようにするから。

僕は別にいいですよ。作品が返ってこなくても3人で作れた事が楽しかったのでと伝えた。香緒莉と琴里は私たちもこの3人で作れた事が楽しかったし写真も撮って貰えたので後は佐藤先生に任せます。

そして佐藤先生はじゃあ作品を送るね。もし返ってこなかった時は写真と文書を書いて欲しい。

こうして3人の小学校生活最後の夏は終わった。


修学旅行、作品の結果

2学期に入ってすぐみんなの話題は修学旅行だった。この年は修学旅行で東京に行くことが決まり宿泊の班決め、バスや新幹線で座る席を決めたりと着々と決まっていった。

修学旅行は10月半ばで日に日に早く1泊2日の修学旅行が楽しみと周りもその話題でもちきりだった。

僕は東京に行ったことがなく香緒莉と琴里に尋ねた。東京って何が有名なの?

香緒莉は高い建物があってオシャレなお店とかも多くて遊園地は全国から集まるよ。

琴里は有名な動物園や水族館が沢山あってイルカやペンギン、特にパンダはめっちゃ可愛い。香緒莉は食いつくようにあの動物園だよね?あそこの動物園にいる子どの子も可愛くない?

修学旅行当日、学校に集まり福河駅までバスで行きそこから電車や新幹線に乗り継いで東京に向かった。新幹線の止まる駅で途中下車をして各クラスバスに乗って名所を回った。

何ヶ所か巡っていると琴里が言っていた動物園に着いて僕は香緒莉と琴里の3人で歩いていた。香緒莉はここの動物園来るの何年ぶりなのかな。香緒莉と琴里は歩いていると色んな動物を見て可愛い、写真撮りたいと動物園内にあるお店で使い捨てカメラ3つとパンダのカチューシャを3つ買った。

僕は香緒莉と琴里はやっぱり可愛いね。2人は翔ちゃんも付けてよ、僕もカチューシャを付けると可愛い、琴里は1枚写真を撮った。

時間を許す限り3人は可愛い動物をバックに写真を撮って現像出来たら焼き増ししてねと話をしていた。

再びバスに乗って夕方になり旅館に向かい荷物はそれぞれの部屋に運ばれた。豪華な晩御飯を食べた後ゆっくりしていた。明日は東京の遊園地で遊ぶことになっており何を乗ろうか考えていた。

次の日、旅館を出て遊園地に向かった。僕は琴里と香緒莉の3人で周ろう。僕は先に伝えた。

ジェットコースター乗れないから乗るなら2人で乗ってきてね。琴里は翔ちゃん可愛いね。香緒莉はじゃあ何に乗る?僕はコーヒーカップとかメリーゴーランドとか乗るものは沢山あるよ。

香緒莉はそうだね。翔ちゃんが乗れるもので楽しもう。僕は2人に申し訳ない気持ちだった。

僕が乗れる数少ないアトラクションに乗って遊園地で半日が過ぎた。お昼ご飯を食べて僕たちは新幹線で地元福島に帰った。

数日後、美術室で3人は使い捨てカメラを現像して見せ合いどれを焼き増しをするのかを話していた。

琴里は全部焼き増ししよう。やっぱり私はパンダのカチューシャを付けた翔ちゃんが1番かな。香緒莉はやっぱり?実は私もそうなんだと話していた。

佐藤先生は息をあげて僕達にあることを伝えた。

夏に出した作品なんだけど最優秀賞で総理大臣賞だって。僕たち3人は喜んだ。

そして妖精パンクシーのすごろくゲームとつむぎちゃんのラブストーリーはそれぞれ単行本の出版も同時に決まった。

後日、僕たちは東京に行って記念盾をもらい、その帰りに出版社に行き単行本について色々と話をして書類を家族の人に見せて欲しいと伝えられた。

僕の家族はおめでとう、せっかく出版出来るチャンスがあるのならばしなよと後押しされて単行本の話が進んでいった。


冬休み

ある日、登校日で学校に来ていた。香緒莉は浮かない表情をしていた。僕は香緒莉に最近何あった?あったら話して。香緒莉は翔ちゃん、琴里冬休み3人でどこか行こうよ。琴里は遊びに行けるのは今だけだからね。僕は夏休みは彫刻作るのに費やして結局どこも行けなかったからどこか行こうよ。

琴里は香緒莉どこに行きたい?香緒莉はそうだね、この近所にバーベキュー出来るところがあるみたいだからそこに行こうよ。料金は少し高いけど1グループで用具とかも準備しなくてよくて食材も自分たちで選べるみたいなんだよね。明日とかどう?

僕はじゃあそれぞれ家に帰って行くことを伝えないとね。琴里はそうだね。パパやママに話して保護者として来てくれるかみるよ。琴里悪いけど僕と香緒莉に連絡もらえる?琴里はよくても悪くても伝えるね。

僕と香緒莉は家族に伝えた。香緒莉の家では小学生だけで行くのは危ないからお母さんがついて行くよ。香緒莉は今、琴里の家族が連れて行ってくれるのか確認してもらっている所。電話かかってきたらまた伝えるね。僕の家でも同様の話をしていた。

琴里は母親を連れて香緒莉の家に行って軽く挨拶をすると僕の家のインターホンが鳴った。

僕は外に出ると琴里、琴里のお母さん、そして香緒莉がいて話していた。すると僕の母が出てきて明日はお願いしますと挨拶をし、朝の10時に車でバーベキュー場に行くことが決まりまた明日ねとそれぞれの家に帰った。

次の日、僕と香緒莉は琴里の家に行った。僕はインターホンを鳴らすとまだ家に出られそうにないから家に上がって。僕と香緒莉はリビングで出してもらったお茶を飲みながら待っていた。琴里は何を着るか悩んでいると萩原君も香緒莉ちゃんも待っているんだから早くしなさい。

そしてお母さんは2人ともゴメンね。香緒莉は琴里さんの気持ち分かります。私も出かける時何を着るのかで悩んでよくお父さんに怒られているので。

10分後、琴里は着替えを終えて部屋から出てきた、香緒莉は琴里その服可愛いね。何着ていこうか悩んでいたら待ち合わせの時間過ぎちゃってゴメンね。

琴里も準備出来たみたいだから早速行こうかと車でバーベキュー会場に向かった。

僕は携帯用の虫除けスプレーを香緒莉に渡した。香緒莉はスプレーをかけて翔ちゃん女子力高いねと琴里に渡した。琴里は軽くスプレーをかけるとママもスプレーかけたら?琴里のお母さんは私はいいよ。萩原君がまだスプレーかけてないから返してかけなよ。僕は家を出る前にかけてきたのでよかったらスプレー使ってください。

琴里のお母さんは軽くスプレーをかけた。

僕は火を点けると材料を持ってきてトングでお肉や野菜を焼いていた。琴里、食べてばかりいないで焼くの手伝うように。

僕は焼くの好きなので。それに食べる時は琴里さんに食べさせてもらおうかなって思って。琴里は翔ちゃん、あ〜んとお肉や野菜を食べさせてもらった。

琴里のお母さんはホント萩原君も香緒莉ちゃんも琴里と仲良くしてくれてありがとう。これからも仲良くしてねと家に帰っていった。


告白

クリスマスイブの日、僕と琴里は神社に来て欲しいと香緒莉から連絡か来た。

僕と琴里は約束の時間より早く来て話していた。琴里は翔ちゃん香緒莉から告白されるんじゃない?

僕はまさかね……。そうだったらどうしよう、緊張してきた。

5分後、香緒莉は神社にやって来た。いつも可愛い笑顔なのに涙を堪える感じだった。僕は香緒莉どうしたの?香緒莉は2人に伝えないといけなくていきなり呼びだしてゴメンね。

琴里は何かあった?香緒莉は実は……私転校することが決まったの。それで2人に伝えたくてさ。

僕はこのタイミングで転校って寂しくなるね。こんなこと言ったらワガママだけど香緒莉と琴里、3人で小学校を卒業したかったな。

香緒莉は私も卒業するまで待って欲しいってお願いしたんだけどダメって。だから2人にお手紙書いてきたから読んで欲しいの。

琴里はそっか、家に帰ったら手紙読むね。

香緒莉は琴里と僕に握手してハグをした。琴里ちょっと翔ちゃんと話があるからちょっと待っていて。

香緒莉に呼ばれるがまま僕は神社の裏の大木(たいぼく)に来た。私の最後のワガママ聞いて。次、翔ちゃんにいつ会えるか分からないからキスさせてと僕は緊張しつつも香緒莉とキスをした。

僕と香緒莉は少し話して琴里のもとに戻りそして3人で写真を撮った。香緒莉は琴里に卒業式で2人が桜が舞う所写真を撮って送ってね。

琴里は分かった、袴を着る予定だから翔ちゃんと2ショット取って香緒莉に送るね。

そして香緒莉引越しをして3学期を迎えた。卒業式まで数日しか学校に行かないとは僕と琴里は寂しい思いでいた。僕は香緒莉がいなくなって寂しいね。すると琴里はその気持ちは私も同じだよ。でもね翔ちゃん、いつまでも俯(うつむ)いていたら香緒莉が悲しむよ。

そして卒業式を迎えた。僕は琴里に袴姿似合っている可愛いね。琴里はありがとう、一緒に写真を撮って香緒莉に送らないとね。担任の先生に写真を撮ってもらいお世話になった佐藤先生とも写真を撮って僕と琴里は美濃町小学校に別れを告げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る