新入部員

嘆き

夏休みが終わり2学期が始まった。姫川さんは僕に話しかけた。2人で部活でしてるでしょ?私は楽しくていいんだけどもう少し人数増えないかなって思うんだよね。僕は美術部があるって知っている人が少ないからじゃない?ビラ書いて掲示させてもらう?

姫川さんは何か手を打った方がいいと思うよ。僕はそうだね、でも勝手に貼るのはよくないと思うから1度佐藤先生に聞こうよ。それからでも遅くないよ。

始業式が終わり、僕と姫川さんは美術室に向かった。僕は佐藤先生に新入部員の募集のビラを書いて掲載してもいいか尋ねた。佐藤先生は私の一存では決められないから他の先生にも聞いてみるから分かり次第また2人に伝えるね。

僕は姫川さんに僕らも出来ることしよう。例えばクラスの部活してない人に声をかけるとか。香緒莉はクラスの人は信用出来ないから他のクラスや違う学年に声をかけよう。

僕は姫川さんに深く理由は聞かなかったがきっとクラスメイトにまた何か言われるのがイヤなんだろうなと思った。ビラを掲載の許可が出るまで自分たちで声をかけることにした。

そんな簡単に話を聞いてくれる人もおらず習い事で忙しいから、他の部活入ってるからと全く相手にされない。僕はビラの掲載がダメなら来年以降に声をかけようと姫川さんに伝えた。

姫川さんはそうだよね、私みたいに転校生が来たら声をかけるんだけど来るか来ないか分からない子に念じるしかない。僕はタイミングが合えば誘いたいけど転校生が来るかどうかは分からないからね。

佐藤先生は美術室にやって来た。ビラを書いて掲載してもいいし配っても大丈夫だって。2人ともよかったね。僕はビラを書くのにどんな言葉にしたらいいか考えていた。どうすれば来たくなるかなと考えていると姫川さんは佐藤先生にあることを聞いた。

佐藤先生、近々転校生が来るって話聞いてないですか?

佐藤先生は私は転校生が来るって話は聞いてないよ。知らないだけでそういう話があるのかも。

香緒莉は情報が入ったらすぐに教えてください。その子に声をかけるので。

佐藤先生は姫川さんの言いたい事は分かった。今日は2人ともビラを書くように。美術部に入ると楽しいよって思わせるようにね。

僕と姫川さんは2人で話し合いこんな言葉を入れた方がいいのか、どうしたらいいのか考えていた。

僕は絵を描くことは得意だが文字を書くのは苦手なんだと改めて気がついた。僕は考えた末の文章は

「絵が好きな人、苦手な人みんな大歓迎」

僕はなんて書いたらいいか分かりませんがと先生に渡した。姫川さんが描き上がるまで待っててと僕は4コマ漫画を描いて待っていた。

10分後、姫川さんは描き上がり佐藤先生に渡した。

「私たちと一緒に楽しく絵を描きましょう」

絵を見ると僕と姫川さんと思われる絵が描かれていて可愛い、これならビラを見てこんな絵を描きたいと思うよ。

姫川さんはこれも萩原君のおかげだよ、ありがとう。佐藤先生はじゃあ今から職員室でコピーしてくるから美術室で待ってて。

僕は姫川さんと再び転校生の話をしていた。

佐藤先生はビラを50枚ずつコピーをして僕たちに渡した。姫川さんはこのビラを見て1人でも多く目に止めてくれたら嬉しいな。僕はそうだね、ビラ配りも欠かさずやらないと。

僕と姫川さんは新入部員を入れようと色んな手段を考え登下校なので人が集まりそうな時間に校門でビラ配りを行った。


ウワサ

僕と姫川さんはいつものように授業後に美術室に向かった。僕は4コマ漫画を描いていると姫川さんは萩原君また新作描いてるんだ、よくそんな色々と出てくるね。僕は姫川さんも4コマ漫画描いてみたら?今の姫川さんなら出来るよ。僕は独自の4コマ漫画の描き方で姫川さんに色々と教えた。

佐藤先生は嬉しそうに美術室に入ってきた。2人に朗報だよ。詳しい日にちは分からないけど萩原君、姫川さんと同じ4年生の子が来るみたいだよ。男の子か女の子か分からないけど仲良くしてあげてね。

残暑が過ぎた10月、担任の先生が皆さんと同じクラスメイトになる転校生を紹介します。入って。

誰なのかなと水色のランドセルを背負ったショートカットの女の子が教室に入った。始めまして東京から来ました小鳥遊琴里(たかなしことり)です、よろしくお願いします。

僕は東京出身の転校生と聞いてどこかで聞き覚えがあるなと思った。1時間目が終わると姫川さんは転校生の小鳥遊さんに声をかけた。

小鳥遊さんはじめまして、私姫川香緒莉です。よろしくね。琴里はしばらく1人で徐々にクラスの子と仲良くなるのかなって思ってたから姫川さんが声をかけてきてくれて嬉しいよ。

香緒莉は小鳥遊さんに声をかけたのは理由があって、私も5月に東京から転校してきて心細かったからきっと小鳥遊さんもそうじゃないかなって思ってさ。

琴里は姫川さん今東京から転校してきたって言ってたけど小学校はどこ?香緒莉は多摩川の近くにある横町第2小学校だよ聞いたことあるかな?

琴里は聞いたことあるも何も私、横町第1小学校に通ってたよ。じゃあ名前知らなかっただけで近くの商店街で会ってたかもしれないね。香緒莉はたしかにそうだね。

転校生2人は地元が同じで小学校も近くて地元トークで盛り上がっていた。

2時間目が終わった。休み時間に僕は姫川さんに話しかけた。小鳥遊さんと話が盛り上がっていたみたいだけど行きなり美術部に入ろうとか誘わないように。まずは仲良くなって距離を縮める所からだよ。

香緒莉は分かった、それとなく趣味を聞いて誘導するね。


小鳥遊派、姫川派

最近転校してきた転校生の小鳥遊さん、5月に来た姫川さんとこのクラスには2大美人で男子の中では小鳥遊派なのか、姫川派なのかで話題で盛り上がっていた。

僕は正直姫川さんは姫川さんのロングヘアで可愛いところあるし小鳥遊さんは可愛い子だけど東京から転校してきたショートカットで水色のランドセルを背負っていたということしか情報がない。この状態でどうやって判断するのか分からなかった。

琴里は転校してきて初日で姫川さんになんか男の子が私派なのか姫川さん派なのかって盛り上がってるよ。そんなの100対0姫川さんで決まってるのに。

香緒莉はそんなことないよ、小鳥遊さん見て可愛いなって思ったよ。それに顔だけで判断するのは酷いよね。私は小鳥遊さんの味方だよ。

琴里は姫川さんって優しいね。転校初日にこんなに優しくしてもらえて嬉しい。これからも仲良くしてね。香緒莉は勿論だよと話した。

授業後、僕と姫川さんは美術室に行こうとした。小鳥遊さんは姫川さん、今からどこに行くの?

香緒莉は今から美術室に行くよ。私と萩原君は美術部に入ってるからさ。

琴里は迷惑じゃあなかったら私も美術室に行ってもいいかな?姫川さんはいいよ。私たちは大歓迎だよ。僕は形式上体験入部ってことで。とりあえず僕と姫川さんの様子を見て決めてくれたらいいからさ、僕と姫川さんそして小鳥遊さんと3人で美術室に向かった。

僕はいつものように待っている間4コマ漫画を描いて待っていた。琴里は萩原君何を描いてるの?

僕は4コマ漫画描いてるよ。琴里は上手だね。私も漫画書いてるけどこんなに上手くないよ。

僕は小鳥遊さん、漫画見せてくれないかな?琴里は水色のランドセルから自由帳を取り出した。

僕と姫川さんは自由帳を見て驚愕(きょうがく)した。姫川さんは何この話、めっちゃ面白い。僕はストーリーの構成教えて欲しいな。

3人で話をしていると佐藤先生が美術室に入り、あれ?新入部員?2人ともよかったね。

琴里は自己紹介をした。始めまして東京から転校してきた小鳥遊琴里ですよろしくお願いします。

佐藤先生は小鳥遊さんも加わったことだし今日は美術館に鑑賞会に行きましょう。3人とも荷物をランドセルにまとめて、私の車で美術館に行くからさ。

3人は言われるがまま荷物をランドセルにまとめて佐藤先生の車に乗った。小鳥遊さんは先生にこの近くに美術館ってあるんですか?

佐藤先生は歩いていくにはちょっと遠いから車ならそんなに時間かからない所にあるよ。佐藤先生、姫川さん、小鳥遊さんの3人は車の中でガールズトークをしていて僕は肩身の狭い感じがした。

車を止めると姫川さんはここって前に美術展で来た美術館だよね?僕はそうだよ。今はどんな作品があるんだろうね。

車を降りて4人で美術館に入った。すると夏休みの美術展の作品がまだ展示されていた。琴里はこの作品どことなく姫川さんと萩原君に似てるね。

僕は夏休みに2人でプールに行ってその時の思い出を作品にしようって。琴里はじゃあ他の作品も見て回ろうと館内の作品を感動していた。私、絵や彫刻を見てこんなにも感動したの始めて。佐藤先生、私も美術部に入っていいですか?

先生は私はいいけど姫川さんと萩原君の話も聞かないと。琴里はそうですね。姫川さん、萩原君私も美術部に入ってもいいかな?

僕と姫川さんは見つめて頷き、こちらこそよろしくねと僕は3人目仲間を迎え入れることになった。


新たな漫画

僕は小鳥遊さんの漫画を見て4コマ漫画もいいけど1つの漫画、作品を描きたいと考えていた。授業後、部活の始まる前、家に帰ってからと時間がある限り新作に時間を費やしていた。

1週間後、僕は漫画を描き終わり授業後に部活前に美術室で姫川さんと小鳥遊さんに漫画を見せた。

僕は2人に下手だけど読んでもらえると嬉しいな。小鳥遊さんはこのヒロインの女の子姫川さんに似てるね。ずっと気になってたけど萩原君って姫川さんのこと好きなの?

姫川さんと僕が釣り合う訳ないでしょ。雲泥の差、いや星と塵ぐらいの差があるんだよ。琴里はそうかな?私は萩原君優しいしお似合いだと思うよ。

姫川さんは小鳥遊さんに耳打ちをした。

琴里は笑顔で僕の手を握った。僕は小鳥遊さん、いきなりどうしたの?琴里は萩原君、頬を赤くして可愛い。

姫川さんは小鳥遊さんに可愛いよね。他の男の子は私たちのことどっちが可愛いのかって派閥分けるようなことしているけど萩原君は違う。女の子に手を握られただけで頬を赤くして目を合わせてくれないシャイな男の子で可愛いんだよ。琴里はたしかにそうだね、なんかちょっかい出したくなるよね。

2人とも男に可愛いはないと思うよ。琴里はシャイな男の子いいと思うよ、人間味があって。萩原君が好きなのは姫川さんかも知れないけど私にも優しくしてくれたら嬉しいな。

僕は姫川さんのことが好きなんてとんでもない。こんな可愛い女の子とお喋り出来るだけでも幸せなのにそれ以上のことは求めてないよ。

琴里は萩原君って謙虚だね。女の子とお喋り出来るだけでも幸せっていうことが可愛い。私とも沢山喋ろうよ。僕でよければと顔を真っ赤にして答えた。

佐藤先生が美術室に入ると姫川さん、小鳥遊さんもあまり萩原君を揶揄(からか)うのはよくないよ。琴里はと言っても女の子に手を握っただけで顔が赤くなっちゃう男の子可愛くないですか?佐藤先生はそうだね、私も萩原君可愛いと思うよ。姫川さん、小鳥遊さんた同じぐらい可愛い生徒だなって。

姫川さんは小鳥遊さんに家ってどの辺なの?

琴里は学校を出て森里駅あるの分かる?その近くにあるコンビニの近くに住んでいるよ。香緒莉はそれなら萩原君の家、私の家の近くだね。琴里はじゃあ帰り3人で一緒に帰らない?萩原君がよければだけど。

僕はいいよ、小鳥遊さんも一緒に帰ろう。

先生は話が終わったら部活やるよ。今日は水筒を描いてみましょう。1本の水筒を3人で描いていた。

最初に姫川さんが描き終わり先生に紙を渡した。続くように僕、小鳥遊さんと渡してそれぞれの水筒の絵を見て批評しあった。

下校時間となり僕、姫川さん、小鳥遊さんの3人で学校に出た。小鳥遊さんは萩原君、真ん中に入って。私たち両サイドで歩くからさ。僕は分かったと言われるがまま可愛い女の子の真ん中に入った。

僕が歩いていると姫川さんの右手、小鳥遊さんの左手が僕の手に触れた。小鳥遊さんはねぇ萩原君、手を繋ごうよ。姫川さんと小鳥遊さんの言うように手を繋ごうよ。僕はおそるおそる2人の手を添えた。

琴里は萩原君、それ手を添えてるだけだよ。ちゃんと手を繋いでよ。僕は2人の手を握ると顔を赤くしてもうこの年で人生の絶頂が来た感じだな。

香緒莉はホント萩原君って可愛いよね。私も小鳥遊さんも男勝りでゴメンね。小鳥遊さんは僕の手を離して心臓に手を当てた。スゴい心臓の鼓動が早い。もしかして緊張してるの?

僕はそうだよ。こんな可愛い2人の女の子と手を繋いで歩いてドキドキしない男がいないよ。香緒莉と琴里は可愛い。まるで乙女の男の子と男勝りの女の子って感じだねと微笑んだ。

香緒莉は私の家がここで2軒隣が萩原君の家だよ。琴里はそうなの?私の家は姫川さんの家の向かいだよ。3人とも住んでいるの近所だったんだね。

いつもなら学校から歩いて10分なのにこの日は家に帰るのに30分もかかった。


ことりが2羽

琴里は転校してきてばかりで香緒莉と同じくどこの通学団に入ったらいいか分からずにいた。香緒莉は小鳥遊さんおはよう。1人で学校に行くのは危ないから私たちの通学団と一緒に混じって一緒に学校に行こうと誘った。そして僕、姫川さん、小鳥遊さんと通学団の下級生たちと共に学校に向かった。

小鳥遊さんは職員室に行くから萩原君と姫川さんは先に教室に行っててと僕らは先に教室に行った。

小鳥遊さんは職員室に行き通学団の話をすると萩原君と姫川さんの所に入るように伝えられた。

そして小鳥遊さんは教室に行き、机の中を覗いた。入っていた紙を取り出して泣いていた。姫川さんは小鳥遊さんのもとに駆け寄った。

香緒莉は小鳥遊さん泣いているけどどうしたの?琴里は姫川さん、こんな紙が入っていてと見せた。

「ことりが2羽遊んでいる」

香緒莉は何これ?何かの暗号なのかな?琴里は私の名字の漢字が「高いに梨」じゃなくて「小鳥が遊ぶ」のたかなしなんだよね。それで名前が琴里だから小鳥が2羽遊んでいるって言うことだよきっと。

香緒莉は人の名前をそんな言い方するなんて酷いよね。琴里って可愛い名前なのに男の子は何を考えてるのかね。同性で相談出来るのは姫川さんしかいなくて。香緒莉は私でよかったらいつでも相談に乗るよ。僕は姫川さんと小鳥遊さん話しているけど何かあったのかなと2人を見ていた。すると僕が呼ばれた。

姫川さんは僕に紙を渡した。こんなことするなんて酷くない?僕は誰がやったのか分からないけど朝の会の時間使って注意するね。

琴里は萩原君私の為にありがとう。

担任の先生が教室に入り朝の会を始めた。終わる前に僕は手を挙げて教壇に立った。紙を貼りこのような人を傷つけるような嫌がらせはやめるように注意した。僕は標的(ターゲット)が自分になってもいいから小鳥遊さんが嫌がらせがなくなればそれでいいと考えた。

担任の先生からもみんなで仲良くしましょう。イジメ、嫌がらせを見かけたらすぐに先生に言うように。


キャラクターの名前

授業後、3人で美術室に行って僕と小鳥遊さんは漫画を描いていた。琴里はそういえば萩原君、この前描いてた漫画のタイトルって何?僕は決めてないよ。琴里はじゃあ何か分かりやすいタイトル付けたら?僕はそうだね、ヒロインの女の子にちなんだタイトルとかいいかなって思うんだよね。

香緒莉はあのキャラクターってモデル私だよね?なんて名前なの?僕は名前とかは後で決めようかなってまだ何も決めてないよ。

3人でヒロインの名前を考えていた。琴里は姫川さんに似た可愛い女の子だから……紡希(つむぎ)、星河紡希(ほしかわつむぎ)って言うのはどう?

姫川さんは可愛い名前だね。次はタイトルだね。

僕はタイトルの提案をした。

「つむぎちゃんのラブストーリー」って言うのはどうかな?

小鳥遊さんはタイトルも可愛いしいいよ。萩原君、これをもとにもう1回漫画描いて。僕はまた描いたらまた2人に見せるね。

先生が美術室に入り今日は3人それぞれの似顔絵を描きましょうと伝えた。僕はまず小鳥遊さんの似顔絵を描き、その後姫川さんの似顔絵を描いて先生に渡した。姫川さん、小鳥遊さんも先生に渡してそれぞれの描いた似顔絵を見せあった。

僕のもとに姫川さん、小鳥遊さんが描いた似顔絵を見ると頬が赤くなったのを見て僕は2人に聞いた。さっき描く時に頬赤くなってた?姫川さんと小鳥遊さんはスゴく赤くなってて可愛かったよ。

2人は僕が描いた絵を見て可愛く描いてくれてありがとう。でも実物より可愛くしすぎだよ。僕はそんなことないよ、見たままを描いただけと答えた。

下校時間となり部活帰りに僕が真ん中で両サイドに姫川さん、小鳥遊さんといういつもの並びで手を繋いで家に帰った。


名前で呼んでよ

ある日の朝、授業後に部活が休みだから姫川さんは僕と小鳥遊さんと3人で公園に行こうと誘った。

僕はいいよ、小鳥遊さんはどうする?琴里は特に用事ないからいいよ。3人で公園に行こう。

僕と小鳥遊さんは3人で公園?公園で何して遊ぶのだろう?その事が気になって仕方がなかった。

僕は言われるがまま3人で学校の近くにある公園に行った。琴里は姫川さん、公園に呼んだのは何かあるの?僕も何かあるなら遠慮なく言ってよ。

香緒莉はじゃあこの際だから言わせてもらうけど萩原君、なんで未だに姫川さん呼びなの?

僕は姫川さんは姫川さん。小鳥遊さんは小鳥遊さんでしょ?名前を呼び間違えたわけじゃないよ。香緒莉はそういうことじゃなくて私が言いたいのは出会って半年にもなるのになんでまだ姫川さん呼びなのかって事だよ。香緒莉って呼んでよ。

僕は反論した。姫川さんは僕のことを萩原君、小鳥遊さんのことを苗字で呼んでいるでしょ?それと一緒でしょ?琴里は姫川さん確かに苗字で呼んでいるね。私は転校してまだそんなに経ってないから2人のこと苗字で呼んでいるけど半年経っているなら香緒莉ちゃんとかでもいいと思うけどな。

姫川さんは僕に顔を近づけて名前で呼べない理由があるの?僕は女の子の名前、それも呼び捨てなんて恥ずかしくてそんなこと出来ないよ。

香緒莉は小鳥遊さんに尋ねた。萩原君に琴里って呼ばれるのイヤ?琴里はそんな事ないよ。むしろ仲のいい男の子には名字で呼ばれるよりも名前で呼ばれたいかな。

香緒莉はやっぱり女の子は名前で呼ばれたいよね。仲良くもない人に言われても嬉しくないけど。僕は女の子ってそうなんだと聞いていた。

姫川さんは僕に言った。ねぇ、香緒莉って呼んで。

僕は顔を赤くしながら香緒莉よろしく。香緒莉はそんなんじゃあダメ。ちゃんと私の目を見て言ってよ、香緒莉って。僕はなぜか映画のテイク2のようにまた名前を呼ぶことになった。

僕は心臓がバクバクしながらも姫川さんの目を見てこれからは香緒莉って呼ぶね、よろしく。香緒莉は萩原君ありがとう。

続くように今度は小鳥遊さんが僕を呼んだ。私のこと琴里って呼んでよ。ちゃんと目を見て言ってね。

僕は小鳥遊さんの目を見てこれからは琴里って呼ぶね、よろしくね。

香緒莉と琴里は笑っていた。琴里はホント萩原君って素直で可愛い。それも恥ずかしがって目を合わせる時顔を真っ赤にして心が乙女だよね。香緒莉はそこが萩原君のいい所だよ。何か私たちがキュンキュンしちゃうよね。私の事は姫川さんじゃなくて香緒莉でいいよ。琴里は私の事も小鳥遊さんじゃなくて琴里でいいよ。それなら僕も萩原君じゃなくて翔太郎でいいよ。

琴里はイヤだ。翔太郎って名前だから翔ちゃんって呼ぶことにするね。香緒莉は翔ちゃんか、いいね。可愛い萩原君にはピッタリの呼び方だね。

3人の呼び方は姫川さんは香緒莉、小鳥遊さんは琴里、僕は男なのになぜか翔ちゃんとそれぞれ呼ぶことに決まった。

その後、僕は香緒莉と琴里に対して翔太郎と呼んで欲しいと再三お願いをしたが受け入れてもらえる事はなかった。


小学生漫画コンテスト

数日後、琴里は廊下を歩いていると佐藤先生に会って部活休みだけど美術室に来るように伝えられた。僕と香緒莉は給食を食べ終わったお昼放課の時に琴里に呼ばれた。僕は琴里どうしたの?

琴里は今日なんだけど部活休みだけど佐藤先生が美術室に来て欲しいって。理由は聞いてないけど。

香緒莉はなんだろうね。夏の時みたいに美術展に出すものを考えて欲しいとかなのかな?僕は多分急ぎで伝えないといけないことなんだよきっと。

授業後、美術室に入ろうとすると鍵が閉まっており外で待つことにした。

10分後、美術室の鍵を持った佐藤先生がやって来て鍵を開けた。

僕、香緒莉、琴里の3人は今から何を告げられるのかスゴいドキドキしていた。

佐藤先生は僕たち3人に紙を見せた。ネットで見つけたんだけど小学生漫画コンテストっていうのがかあるみたいなんだけどどうかなって。僕と小鳥遊さんは漫画を書くし、姫川さんは2人の漫画をよく見るからさ。1人で描いてもいいし、2人でも3人でもいいし。応募するか3人で話し合ってね。

僕は思いがけないコンテストに嬉しく琴里、香緒莉3人で漫画を描こうよ。香緒莉は私、1人で漫画描いてみたい。絵の上手い翔ちゃん、話を書くのが上手い琴里なら絶対面白い漫画が描けるよ。

僕は香緒莉に問いかけた。ホントにそれでいいの?琴里と香緒莉3人で漫画を描きたい。なんかムリしてない?

香緒莉はそんなことないよ。

琴里は翔ちゃん、香緒莉が1人で描きたいっていうならムリに3人で描かせるのはよくないよ。香緒莉が何かあったら2人でサポートすればいいんだからさ。僕は香緒莉、それでいいかな?

香緒莉はうんそうだね。何かあったら2人に助けて貰うかも知れないけどその時はよろしくね。

佐藤先生は今から職員会議があるから私は抜けるね。美術室出るなら鍵を閉めて鍵を職員室に持っていくし、残るなら鍵を職員室に返しに来て欲しい。

3人で話し合い美術室を出て帰ることを決めた。佐藤先生は鍵を閉めて3人とも気をつけて帰ってねと僕たちは手を繋いで学校を後にした。

琴里は2人とも私の家に来てよ。1人よりも3人の方が色々アイデア出てくると思うよ。香緒莉は誘ってくれてありがとう。でも1人で考えたいから今日はそのまま家に帰るね。方向性とか決まったらその都度2人に伝えるね。

琴里はそっか、分かった。また誘うね。じゃあ翔ちゃん一緒に行こう。僕は琴里の家に向かった。

僕は琴里の家に上がると琴里はちょっと私の部屋で待っていて欲しいと琴里の部屋で待っていた。僕は小鳥遊さんの部屋を見るとパステルカラーのカーテン、水色の枕カバー、そして大きなクマのぬいぐるみと絵に書いたような女の子の部屋で普段ちょっかい出してくる小鳥遊さんだがやっぱり女の子なんだなと感じた。

琴里は部屋に入った。翔ちゃんお茶とプリンどうぞと渡された。僕はプリンを食べながら琴里にコンテストだけどこの前描いた「つむぎちゃんのラブストーリー」をもとに描こうと思うけどどうかな?

琴里はそうだね。私がストーリー考えるから翔ちゃんは絵を描いて欲しい。僕は琴里にじゃあストーリー書けたら見せて。それをもとに絵を描くからさ。

琴里は分かった、ストーリー書くね。待っている間翔ちゃんどうするの?僕は部屋を見渡して漫画借りて読んでてもいいかな?琴里は少女漫画しかないけれどそれでもよければ。僕は始めて少女漫画を読んで琴里が書き上がるのを待っていた。

1時間後、翔ちゃん出来たよと自由帳を渡した。僕はありがとう。一通りストーリーを読んだ上で絵を描いた。再び琴里に見せた。紡希ちゃん可愛い。もっと可愛くする方法あるよ。

僕はどうするの?琴里は着ている服を白いワンピースで髪型をツインテールにすればもっと可愛くなると思うよ。明日香緒莉にその格好で着てもらってまた考えよう。

僕はそうだね。じゃあ家に帰ってメールで明日その格好で来て欲しいって伝えておくね。

次の日の朝、通学団で集まり学校に向かった。校門に入り僕と琴里、そして香緒莉は下駄箱で靴を変えていた。香緒莉はなんで私がこんな格好しなきゃいけないの?自分で鏡見てめっちゃ恥ずかしかったんだけど。

琴里はつむぎちゃんのモデルは香緒莉なんだから香緒莉にしてもらわないとどんな感じなのか分からなくてさ。僕は香緒莉に似合ってる。やっぱりイメージした。いや、それ以上に可愛いよ。

香緒莉は2人が可愛いって思ってくれたのならそれでいいけどこれで可愛くないとか言われたらどうしようかと思ったよ。

僕はつむぎちゃんの絵のイメーシが湧いたよ。ところで香緒莉は1人で描くって言っていたけど何を描くか決めたの?香緒莉は今はナイショ。教室に行ったら見せてあげる。僕たちは教室に向かった。

3人はそれぞれの席にランドセルを置いて香緒莉は僕と琴里を呼んだ。自由帳には妖精が描かれていてすごろくで旅をする話で途中困っている人を助けるといった話で僕と琴里は食入るように読んでいた。琴里は香緒莉に質問した。この妖精さん誰かに似てる。誰かに似てるような気がする。もしかしてこの妖精さんのモデルって翔ちゃん?

香緒莉はそうだよ。可愛く描けていると思うけど琴里はどう思う?琴里は所々顔が赤くなる所とか翔ちゃんそっくりで可愛い。それでタイトルは?

香緒莉は首をかしげてタイトルなんだけど「妖精さんのすごろくゲーム」って考えているんだけどうかな?琴里はそのタイトル可愛い。でも妖精さんに名前付けて妖精○○のすごろくゲームだともっといいと思うよ。

香緒莉はそうだね〜、じゃあパンクシーとか。妖精パンクシーすごろくゲームにするよ。僕はすごろくゲームの漫画って斬新で面白いと思うよ。琴里、僕たちもつむぎちゃんをもっと面白くしないとね。

授業後、3人で美術室に行くと佐藤先生から応募する専用用紙を渡されて僕と香緒莉は明日提出しますとこの日もまた3人で手を繋いで家に帰った。

香緒莉はこの前はゴメンね。今日は私の家に来て欲しいと僕と琴里を誘った。香緒莉は自分の部屋に案内をして軽くお茶とカステラを食べて僕と琴里は「つむぎちゃんのラブストーリー」、香緒莉は「妖精パンクシーのすごろくゲーム」を描きながらそれぞれアドバイスをして描きあげた。

次の日の部活で僕と琴里はコトリショウのペンネームで「つむぎちゃんのラブストーリー」、香緒莉は「妖精パンクシーのすごろくゲーム」でペンネームはヒメちゃんでそれぞれ佐藤先生はそれぞれ提出した。最優秀賞に選出されれば雑誌に掲載されるみたいだから結果は追って連絡するね。

1ヶ月後、佐藤先生は萩原君、姫川さんと小鳥遊さんの3人に話があるから授業後美術室に来てね。僕は分かりました、2人にも伝えておきます。

僕は香緒莉と琴里に佐藤先生が授業後美術室に来てって。琴里はこの前漫画コンテストの結果が出たのかもね。香緒莉は3人とも頑張って描いたもんね。

授業後、僕たちは美術室に向かった。僕は自分たちの作品の作品よりも最優秀賞に選ばれる人の漫画読んでみたいよねと琴里と香緒莉に話していた。

10分後、佐藤先生が美術室に入ってきて3冊の雑誌を僕、香緒莉、琴里3人にそれぞれ渡した。

雑誌を読み進めると最優秀賞はヒメちゃん作の「妖精パンクシーのすごろくゲーム」が選出されていて僕と琴里は香緒莉に握手をしておめでとうと伝えた。そして読み進めると特別賞としてコトリショウ「つむぎちゃんのラブストーリー」が受賞で掲載されていた。僕は琴里にありがとう。琴里のおかげて受賞出来たよ。琴里もまた翔ちゃんのおかげだよと共に称えあっていた。

香緒莉はまさか3人が描いた作品が選ばれるってスゴいねと話していると佐藤先生は記念に写真撮るから3人とも雑誌を持ってと僕たちは記念の雑誌を持って使い捨てカメラで写真を撮った。じゃあ写真が出来たら3人に渡すねと美術室を出た。

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