夏休み

部活

香緒莉は今日で終業式か、早いね。夏休みって部活の予定ってどうなのかなっているの?僕は授業後に佐藤先生が美術室で配るって言ってたよ。香緒莉はそっか、夏休みだったら冷やかすクラスメイトも居ないから気にせず話をしたり出来るね、

終業式が終わり僕と姫川さんは美術室に向かった。

先生から渡されたブリントを見ると駅に掲載するポイ捨て防止のポスター作成や美術展に展示する絵を描く等予定が詰まっていた。

先生の予定で変更になることもあるから連絡歳を教えて欲しいと僕と姫川さんは電話番号と家のパソコンのメールアドレスを紙に記入した。

香緒莉はねぇ、萩原君電話番号を教えてよ。僕はいいよと連絡先を教えた。電話は誰が出るか分からないから何かあればメールしてきて欲しいと伝えた。

香緒莉はどうして電話だとダメなの?僕はだって誰が出るか分からないんだよ。すると香緒莉は畳みかけるようにでもさ運動会の時もこの前プリンを届けに行った時もお父さんもお母さんも出てきてよろしくって言ってたよ。

佐藤先生は仲良くするのはいいけど今から部活するよ。まずは福河駅(ふくかわえき)に掲載するポスター作成から書こうか。姫川さんは困った顔をしてポイ捨て防止のポスターってどうやって描いたらいいんだろう。僕はそれなら家に帰って調べてみるといいよ。

僕はポスターを描いて佐藤先生に見せた。悪くはないんだけど先生が思ってるのとはちょっと違うかな。2人はイメージが湧かないようならパソコン室で印刷してもいいよ。僕と姫川さんは職員室に行ってパソコン室の鍵を借りに行った、

そしてネットで調べてポイ捨ての写真を印刷してパソコン室の鍵を職員室に返して美術室に戻った。

僕は1つ気になった。ポスターの写真は何枚ぐらい描きますか?

佐藤先生は福河駅は快速電車も停車する大きな駅だから1人30枚は描いて欲しいかな。続くように姫川さんはちなみに何枚描くようにみたいなことは言われているんですか?佐藤先生は最低50枚、多くても100枚までって言われてるかな。だから2人とも1日で描きあげるというよりも1日何枚で何日で仕上げるのかを考えて描いてね。

僕はそれは早く描きあげてもクオリティが低かったらダメって事ですよね?佐藤先生は萩原君の言う通り。慌てないでゆっくり描けばいいよと伝えられた。

僕は1日10枚、5日間かけて描くことを決めた。先生に空き時間に別の事をしてもいいのかと尋ねた。

先生はいいよ、でも他のことをしていてポスターのクオリティを落とすことだけは絶対にしないって約束してくれるなら認めるよ。

僕は勿論です。空いた時間で4コマ漫画を描きます。

香緒莉は1日の部活時間は4時間で私は丸々時間使ってやっと10枚描き終わるかなって感じなのに萩原君は半分の2時間で仕上げて4コマ漫画を描ける時間まで作れるってスゴいな。

僕は幼稚園の時からずっと絵を描いてるから早く描くことが出来るんだよ。姫川さんも入った時に比べたら早く上手に描けるようになってると思うよ。

先生は私もそう思うよ。毎日続けてすることが大事だよと声をかけた。

僕は佐藤先生にポスターを渡して4コマ漫画を自由帳に描き始めた。時間があるし4コマをシリーズ化しようかなと残り時間で4コマ漫画を4本描いていると姫川さんもポスター10枚描き終わり一緒に家に帰った。


姫川さんの家に……

香緒莉はさっき描いてた4コマ漫画見せてよ。僕はいいよ、じゃあまた今度部活ある時に見せるね。香緒莉はいや、今から家に来てよ。姫川さんの家に僕が?いやいやランドセルどうするの?

香緒莉はどうするって2軒隣の家でしょ?そんな私のことイヤなの?僕はそうじゃないんだけどプライベートで女の子の家に上がるって緊張するというかいいのかなっていう思いだよ。

とりあえず1回家に帰って話してくるから少し待ってて。僕は家に帰り姫川さんの家に行くことを伝えた。晩御飯はどうするの?僕は姫川さんを手招きをした。香緒莉は萩原君呼んだ?

僕は4コマ漫画を読んだら帰ってもいいの?それなら自由帳渡せば済む話なのか。萩原君のお母さん聞いてください。いつもこうやつて私から避けるようなことを言うんですよ。酷くないですか?

母は姫川さんに本人がどう思っているのか分からないけど好きな女の子には意地悪する男の子はいることは確かだよ。すると姫川さんの前でそんなこと言わないでよ。

翔太郎、それで晩御飯はどうするの?香緒莉は母に萩原君の分も作ってもらっているので今日は私の家で食べて行ってもらいますと告げて僕は姫川さんの家に向かった。

そして僕は始めて女の子の家に入った。靴を並べてお母さんは萩原君いらっしゃい、ゆっくりしていってね。そして香緒莉ど書かれた部屋に案内された。今から女の子の部屋に入るのか、緊張するな。小声で言ったつもりだが姫川さんにも伝わり萩原君可愛いね。そして部屋に入って待つように言われた。

僕は部屋全体がピンクに包まれていてこれが女の子の部屋なのか、もう来ることもないかも知れないからしっかり目に焼きつけておこう。

姫川さんはチョコレートとお茶を持って部屋に入り萩原君何しているの?

ゴメン、女の子の部屋に入るの始めてで緊張してどうしたらいいのか分からなくて……。香緒莉はそんな緊張しなくてもいいのに。4コマ漫画見せてよ。

僕は4コマ漫画見せるのが目的だったねと自由帳を渡した。姫川さんは4コマ漫画を読みながら別に私は他の目的でもいいよ。

僕は姫川さんとお喋り出来るだけでも幸せなのにそれ以上なんて姫川さんに申し訳ないよ。雲泥の差って言葉があるでしょ。姫川さんと僕を例えるなら星と塵(ちり)ぐらいの差があると思ってるよ。

姫川さんは僕に怒った。萩原君はどうしてそんな自分を過小評価するの?私は塵なんて思ったことない。この4コマ漫画だって読んでてホント面白いと思うし絵が上手くて尊敬しているんだよ。

姫川さんはどうして僕に優しくしてくれるの?香緒莉はどうしてって転校して周りに友達がいなくて心細い時に傍にいたのが萩原君だったからかな。階段でケガをした時にノートを少し多めに持ってくれたりその後に一緒に保健室に行ってくれたでしょ。それにこの前付き合うのはどうなのかなって言ってくれたのに聞く耳持たないで怒って萩原君のいった通りになったのに怒らなかったよね。

僕はあの時は余計なお世話って言われても仕方ないかなって思ったよ。姫川さんが幸せならばって。

香緒莉は読み終わったよ。さすが萩原君だね、面白いよ。私には面白い漫画書けないや。漫画描いている時も部活で絵を描いている時も萩原君はこんなの描けて当然といった傲慢(ごうまん)な態度を取ったり他人を見下したりしないでこうした方がいいとかアドバイスをくれるし優しいくて人として見習わないとなってことはいつも思うよ。

僕は女の子にそんな風には言ってもったの始めてだよ。見た時にこんな可愛い女の子と仲良くなれたらいいなってぐらいにしか始めは思ってなかったからね。香緒莉食べるよとお母さんの超えが聞こえ、僕は姫川さんについて行くようにリビングに向かった。香緒莉は今晩は焼肉なんだ。

お母さんは萩原君お肉沢山あるからいっぱい食べてね。席について僕はお肉を食べるとお母さんは香緒莉は学校ではどうなのか尋ねられた。

僕は姫川さんはクラスメイトと仲良くしているし部活でも楽しそうに絵を描いていて僕も嬉しいなって思います。

お父さんは香緒莉が学校でいつも助けてもらってるって聞いているけど下心なしで優しいって聞いてるけどどうして?

僕は姫川さんを見て可愛い、こんな可愛い女の子とお喋り出来たら嬉しい。それ以上のことなんて考えてもなかったのでこんなに仲良くして貰えてること自体が奇跡だと思ってます。

香緒莉のお母さんは萩原君謙虚だね。香緒莉と仲良くしてね。お母さん、ちょっとやめてよ。

僕の方こそ太陽のように輝く姫川さんの笑顔に癒されてます。お父さんは香緒莉に、だってさ。

私、言いたいことあるの。転校してきてクラスの男の子は私に好かれようと優しくしたり他の学年の男の子は会う度に顔が可愛いから付き合って欲しいってばかり言われて嬉しいけど自分で可愛いとは思ってないけど可愛くなかったら喋りかけてくれないんだなと思ってさ。でも萩原君は違ったよね。他の人と違い私を優しく接してくれてフォークダンスで手を繋いだ時も手を添えるぐらいで頬を赤くしている姿を見て可愛い。こういう男の子の方が人間味に溢れているなって。

お母さんはたしかに手を繋いだだけで頬を赤くなるのは可愛いね。そんな男の子いたら揶揄(からか)いたくなっちゃうね。

僕は思わずお母さんに聞いた。男で可愛いってどうなんですかね?さっき香緒莉も言ってたけど人間味に溢れているしちょっかい出したくなるよ。

僕はすみません、お茶を頂いてもよろしいですか?

香緒莉は僕にノド乾いたの?私のお茶飲んでいいよ。僕は断りそれだと間接キスになっちゃうよ?

私は別にいいよ。間接キスしたいの?それかダイレクトでキスする?

僕は顔を真っ赤にして親御さんの前で何言ってるの?香緒莉は揶揄(からか)ってゴメンね。でも間接キスとかそんなこと気にせずお茶を飲んで。

お母さんは香緒莉の言う通り萩原君可愛いね。見ているとなんだか朗らかな気持ちになる。

お父さんは萩原君シュークリーム好き?焼肉食べ終わったし好きなら食べて行って。僕は遠慮なくいただきますとシュークリームを食べた。

姫川さんは僕を見てクスッと笑った。僕は顔になにか付いてる?香緒莉は動かないでねと言われ、僕は固まっていると姫川さんは僕の口に付いたクリームをティッシュで拭いた。

僕は付いてるなら言ってくれたら自分で拭くのに、姫川さんがティッシュで拭くってスゴいドキドキしたよ。お父さんは萩原君素直でいい子だね。

時計は午後9時を指していて香緒莉は僕に泊まっていく?お母さんは泊まるなら布団敷くよ。僕は今日は帰ります。またの機会にしますと姫川さんの家を出た。


駅でのポスター掲載、その後

夏休みに入って暑い日が続いていた。僕の家に電話がかかってきて母が電話に出た。翔太郎、美術部の佐藤先生から電話だよ。僕は電話に出た。

もしもし萩原です。どうしましたか?先生は明日福河駅にポスター掲載しに行くけど午前9時に学校に来て。暑いし駅まで少し離れてるから先生の車で駅に行くからさ。僕は分かりましたと電話を切った。

僕は暑いなら帽子かぶって行こうと準備をした。晩御飯を食べている時、母は佐藤先生なんだって?

明日福河駅にポスターを掲載しに行くけど車で行くから1度学校に来て欲しいって。

父は明日は暑くなるみたいだから帽子と水分補給しっかりしないとダメだよと注意喚起を促した。

母は姫川さんもいるの?僕は姫川さんも美術部の1人だからね。母はそっか、じゃあスポーツドリンク2本冷やしておくから1本渡してあげな、女の子には優しくしてあげないとね。

次の日、僕は帽子をかぶりスポーツドリンク2本をカバンに入れて家を出た。学校に向かい美術室には姫川さんと佐藤先生が待っていた。先生は萩原君来たしじゃあ駅に行こうかと車に乗り込んだ。

車で10分、駅に着いてポスターをそれぞれ30枚ずつ掲示板に貼った。僕は先生に残ったポスターどうしますか?

先生は学校に持って帰っても仕方ないからポスターを配ろうか。姫川さんはカバンからヘアゴムを取り出してポニーテールにして麦わら帽子を被った。

僕はしばらくの間、口を開けてポカンと姫川さんに見蕩(みと)れていた。先生は萩原君、萩原君と何度か声をかけて我に返った。僕も帽子を被らないと思い帽子をかぶりポスターを渡していた。

僕のポスターは15分で無くなると姫川さんはやっぱり絵が上手いからすぐにポスター無くなるんだね。私の描いたポスターだともらってくれる人なんていないのと落ち込んでいた。

姫川さん汗がスゴい出てるよ、スポーツドリンク2本あるから1本飲んでいいよと渡した。姫川さんは少しスポーツドリンクを口を飲んで再びポスターを配るのを再開した。ポスターを配り始めて1時間、香緒莉のポスターも無くなったが浮かない表情をしていた。

先生は暑いところにずっといると熱中症になるからと日陰に移動した。

僕は姫川さんどうしたの?

香緒莉はポスター貰ってくれたことは嬉しいけどサラリーマンの人が私の顔を見てニヤリと笑ってて。何だかイヤな気持ちになりました。

先生はそうだよね、私も同じ事されたらイヤな気持ちになるよ。萩原君はあんな大人になったらダメだよ。悪い見本はならないようにね。

僕は分かりました。先生も汗かいてますが僕のスポーツドリンク飲みますか?先生は萩原君優しいね。でもこのスポーツドリンクは自分で飲みな。

ポスター配りを終えて僕と姫川さんは先生の車で学校に戻った。先生から体調には気をつけてと伝えて僕たちは家に帰った。

お盆が過ぎて8月の半ばになり夏休みも終盤になっていた。僕はいつものように部活に行き美術室で姫川さんと先生を待っていた。

2人が美術室に入ると先生に尋ねた。美術展に出すものって何ですか?

先生はテーマは夏休みの思い出として提出しようと考えてるよ。勿論この前の駅でのポスター配りならそれを描いてもいいし他でもいいよ。

姫川さんは萩原君は何を描くか決めた?僕はまだ決めてないよ。私も何を描くかまだ決めてなくてさ。暑いしこの後一緒にプール行かない?

それは僕と姫川さんが水着を着て泳ぐってこと?香緒莉はそうだよ。プールに行って泳がずに眺めている人見た事ないでしょ?家に帰ったら水着持って市民プール行くよ。

僕はそれは後でね。今は部活だからと落ち着くように伝えた。とはいえ部活の時間にただ喋っているだけではよくないと思い先生に尋ねた。

僕は美術室にあるものだけでなく図書室の本を描いたりしたいと提案をすると図書室に行くなら鍵を借りてくるよ。別に美術室にあるものしか描いたらダメとは言わないから。僕と姫川さんは2人でお願いします。先生は鍵を借りてくるから少し待ってて。

しばらくの間2人で沈黙の時間を過ごした。

数分後、先生は職員室から図書室の鍵を持ってきて3人は図書室に入った。姫川さんは百科事典と窓際にある花瓶を持ってきて描き始めた。

僕も何を描こうと見渡していると図書室のテーブルに本を置いて描くことにした。

先生は僕たちに終わったら見せてねと伝え、図書室にある小説を何冊か持って椅子に座って読み始めた。

1時間後、僕は描き終わり先生に渡した。さすが萩原君だね。テーブル、本共に特徴捉えられてるね。

僕は姫川さんが描き終わるまで本を読んでいてもいいですか?

先生はいいよ。私なんてずっと小説読んでいるのに萩原君にはダメって言うのはおかしいでしょ。僕はそうですねとどんな本があるのか見ていた。

すると国語の教科書に載っていた宮沢賢治の注文の多い料理店が置いており読むことにした。

僕は注文の多い料理店を読み始めて1時間、姫川さんは描き終えて先生に持っていった。先生はスゴい萩原君もこっちに来て絵を見て。

僕は本を閉じて姫川さんの絵を見た。百科事典を忠実に再現しており花瓶に入ってる花を見てキレイ、僕にはこんな素晴らしい絵は描けないと絶賛した。

姫川さんは花瓶と百科事典を戻し、僕もまた注文の多い料理店を元の場所に返した。先生は図書室の鍵を閉めると職員室に返すから2人は帰っていいよ。今日の部活はこれで終わり。僕と姫川さんはありがとうございますと頭を下げて学校を出た。

家に帰る途中、姫川さんは執拗(しつよう)にプールに行きたいとお願いしてくるので僕はじゃあお昼食べてからプールに行こう。

1時間後、お昼を食べ終えて僕と姫川さんは近くの市民プールに向かった。僕は姫川さんにまた後でと更衣室に入り水着に着替えた。

僕はシャワーを浴び、眼を洗っていると萩原君お待たせと水着を着た姫川さんが声をかけた。僕は人混みスゴいね、軽く準備体操をしてから泳ごうか。

香緒莉は何かあったら萩原君助けてねと言ってプールに入った。水冷たいよと僕に水をかけた。これだけ人が多いと逸(はぐ)れるといけないから手を繋ごう。香緒莉は始めて萩原君から手を繋ごうって言われた。嬉しいと微笑んだ。

僕と姫川さんは手を繋ぎプールの中を歩いていた。姫川さんはもう少しちゃんと手を握って。僕は恥ずかしい気持ちで手を握って歩いた。

僕は人が多いからぶつからないように、そして痴漢にも気をつけないと周りを見ていた。香緒莉はずっと目を合わせてくれないけどわたしとプールに入るのイヤ?僕は姫川さんが可愛いから痴漢に遭わないように周りを見ているだけだよ。

香緒莉はありがとう。萩原君と来られてよかった。

プールには人が多すぎて泳げず歩いているだけだが僕は楽しかった。1時間後、プールに出て日陰に座ってプールを眺めていた。

香緒莉は僕に質問した。萩原君は私が傍にいると迷惑かな?さっきも痴漢されないか周りを見ていてスゴく心強いし守ってもらえて嬉しいなって思うけどそのせいで萩原君が楽しくないなら過剰に誘わない方がいいのかなって思うんだよね……。

僕はそんなことないよ、姫川さんの手を繋いでプールに入れるなんて嬉しいに決まってるよ。不器用で奥手でなんて言ったら伝わるのか分からないけどこの時間も幸せだよ。付き合うなんて烏滸(おこ)がましいけどまたこうやって2人でどこか行きたいな。姫川さんがよければの話だけど。

香緒莉は学校でも水泳の授業した時は男の子は私の水着をジロジロと見ていて男の子だから仕方ないけど何かイヤだなって女の子たちで話してたんだよね。

僕は頷いて話を聞き、姫川さんにでもその話を僕に?香緒莉は男の子で信用して話せるのが萩原君だけだからかな。

僕は手を繋いで顔が赤くなって奥手な自分でよければいつでも話してね。香緒莉はうんそうするね。

夕方になり僕は姫川さんにそろそろ帰ろうか。着替えて僕は外で待っていると姫川さんはタオルで髪を拭きながら出てきた。僕は姫川さんに可愛いね。香緒莉はありがとう、帰りに手を繋いで帰ろう。

香緒莉は萩原君相変わらずだね、顔を赤くして可愛い。僕は姫川さんを家に見届けて家に帰った。


美術展

2日後に僕は部活がある為、学校に向かった。姫川さんはどんな絵を描くのか楽しみだなと歩いていた。

美術室に入るとまだ誰も来ていないのならと4コマ漫画を描いていた。描くことに夢中になっていて肩を叩かれたが気づかず萩原君と呼ばれ振り向いた。

姫川さんは僕に4コマ漫画描くのはいいけど呼んでるのに無視するのは酷いよ。僕はゴメン、夢中になってて全然気がつかなかった。

あれ?姫川さんいつもと雰囲気が違うね。香緒莉は分かる?昨日ね、お母さんにこのクリーム色のワンピース買ってもらって着てきたんだ。似合ってる?

僕は似合ってるよ、なんか漫画に出てくるような女の子みたいだな。

香緒莉はねえ、じゃあ私をモデルにした漫画を描いてよ。僕はそうだね頑張ってみるよ。

2人で話をしていると先生が入ってきた。美術展に描く絵は決まった?姫川さんは私は決まりました。萩原君は決まったと首を傾けて聞いた。僕も決まりましたと伝えると先生は紙を僕と姫川さんに渡した。姫川さんはペンを動かし始めた。僕もペンを動かし、描き始めた。

1時間後、香緒莉は描きあげて先生に渡した。先生からすると互いに見せ合うからしばらく待っていて。姫川さんは席に座り背筋を伸ばし待っていた。

僕は少しスピードを上げて描き終えた。僕は先生に渡して互いの絵を交換した。

姫川さんが描いた絵はこの前のプールでの帰りに手を繋いでいるシーンを描いていた。僕はというと今さっき絵を描く姫川さんを横目にして描いていた。

姫川さんは思わず何これ。夏の思い出と言うよりも今さっきのやつでしょ、もう1回描いて。

僕は分かった、じゃあ1時間待ってて。姫川さんと佐藤先生は窓際に行って話していた。

1時間後、僕は描き終えて先生に見せた。すると姫川さんにも見せてあげてと渡した。すると姫川さんはやっぱり萩原君もプールの事描いたんだ。僕はプールに入って手を繋いでいる所を描いてこれなら大丈夫でしょ?

香緒莉はこれなら美術展に出してもいいよ。僕と姫川さんは作品を先生に提出した。また美術展に飾る日はまた連絡するね。

姫川さんはボツの作品ちょうだい、私の部屋に飾るから。僕はいいよと紙を渡した。


当日

作品を描いた3日後、先生から電話で明日美術館に掲載するから学校に午前8時に来るように伝えられた。僕は晩御飯を食べていつもより早く寝ることにした。

僕は家を出て学校に着き、美術室に行くと先生は絵を額縁に入れて準備をしていた。先生は重そうに額縁を持っていたので僕は1枚持ちますよ。先生は萩原君は優しいね、じゃあ1枚持ってもらおうかなと自分の作品を持って先生の車に向かった。先生の車に額縁を載せるとありがとう、助かったよと声をかけてくれた。

しばらくすると姫川さんがやって来た。先生は車に作品載せたしこのまま2人とも乗って。そして僕たちは会場に向かった。

30分車で走らせて美術館に着いた。そして僕は車から額縁を下ろそうとすると萩原君ちょっと待って。台車借りてくるからそれから額縁を下ろしてね。

僕と姫川さんは車の前で待っていた。5分後、先生は台車を持ってきて僕は額縁を置いた。

僕は台車で案内させる所まで慎重に運んだ。この部屋で壁にかけてくださいと言われた。しかし壁は高く僕、姫川さん、佐藤先生の3人の背では届かない。僕はどうやって飾ろうか考えた。肩車を考えたが首を痛める可能性がある。どうしよう……。

姫川さんは梯子(はしご)借りてきたほうがいい?

僕はそれだ、姫川さん梯子借りてきて。香緒莉は梯子を借りてきた。じゃあ私登って絵を飾るね。

僕は梯子に登って飾るよ。姫川さんミニスカート穿いてるのに梯子に乗るのはよくないでしょ。

香緒莉は気を遣ってくれてありがとう。じゃあ私は下で支えているね。僕は額縁を飾り梯子を降りた。

しばらく3人で額縁を眺めていた。先生は2人ともよく描けているね、互いの特徴を捉えられてるね。

30分後、他の作品も見て車で学校に戻った。

僕は美術展にどれくらい人が来ているのか気になり、家族で土曜日に美術館に行った。すると姫川さんも来ており同じ理由で来ていた。萩原家、姫川家の2家族で絵を見て回っていた。私たちの絵にも何人か足を止めて見ている人がいて嬉しい気持ちだった。

互いの両親は僕たちの絵を見て同じ反応を示した。

「このモデル2人だよね?」

僕と姫川さんはそんな4人で声を揃えなくてもいいのにと言いつつもそうですと答えた。

美術館の出口を出ると暑いですね、父はよろしければ今からご飯食べに行きませんか?姫川さんのお父さんは食べに行きましょうとノリノリだった。

近くのファミレスで話題は僕と姫川さんの話で終始盛り上がり恥ずかしい気持ちで席に座りご飯を食べてお店を出た。

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